年ごろの女の子が、

自分の父親の存在を気持ち悪く思う時期。

 

父親の下着と一緒に洗濯ものを洗われるのはイヤ!

とテレビのインタビューで断言する女の子たち。

そんなシーンが、私の中高生時代にもちらほら見られた。

 

でも、私の家は父のものも全て一緒に洗っていた。

子供は私と妹の娘二人だったが、二人とも一度も文句は言わなかった。

 

そんなこと言っても無駄、というのもあるが

言ったら父が可哀相だという思いがあった。そもそも

父の下着が気持ち悪いなどと、思う事すら憚られるような環境だった。

 

妹がどう思っていたのかは知らない。

けれどきっと同じような気持ち(=気持ちよくはないけど仕方ない)

だったのではないかと思う。

 

でも、どうしても受け入れがたいこともあった。

幾つか列記してみる。

 

*一番つらかったのは夜中のキスだが、

 その吐き気のするような不快感だけでなく、

 私のファーストキスは父なのだという絶望が心を裂いた。

 大切なものを汚された自分自身へのいいようもない嫌悪。

 そして、なぜ私にだけ?という、惨めさ、屈辱感。

 

 

*私は、小学校5年頃から胸がふくらみはじめ

 小学校6年の夏に初潮を迎えた。

 

 その頃、父は私の身体をみるたびに

 「〇〇(私の名前)も知らぬ間に随分大きくなったな。

 もう幼女でもないし少女でもないかな。

 女性は幼女から少女へ、少女からレディになっていくんだ。

 今はその成長過程なんだな」

 と、しみじみと言った。 

 

 ここで言う”大きくなった”はもちろん、胸のことではなく

 身長のことだ。 (と、思う)

 

 けれど、まだブラもしておらず、

 バストの中央だけが ちょこんと上に隆起してきたばかりの

 自分の身体の変化が気恥ずかしかった11、12才。

 そんな年ごろの娘に対して、身体の変化をめざとく見つけて

 の言葉を投げかけてくる父に

 どうしようもなく嫌な感情がこみあげてきた。

 

 父にしてみたら、胸のことじゃないよ、というつもりで

 幼女⇒少女⇒レディへの成長、という言葉を使ったのかもしれないが

 ”見られてる”という思いが、ギュッと私の心を緊張させた。

 

 キスに気づいたのはそのころだったから、余計に嫌だった。

 

 

*小学校3、4年生くらいまでは

 父・私・妹でお風呂に入っていたと思う。

 

 私は父と入るのが嫌いだった。

 父は風呂でも自分流のプチスパルタが苦痛だったのもあるが

 そもそも私は父の裸が大嫌いだったのだ。

 

 父はものすごく毛深く、まさに毛むくじゃら。

 母の白くやわらかな肌と違って、色黒な身体全体に

 毛虫のようにウジャウジャと巻き付いている毛が怖かった。

 何より、赤黒いイチモツが、怪物のようで

 子供心にも見てはいけないものと、目をそらしていた。

 

 そして、父に身体を洗われるのも、本能的に嫌だった。

 自分なりにめいっぱい父親擁護の観点から考えると

 男親が幼い女の子の身体を洗うのは戸惑いもあったのかもしれないが

 そう同情的に考えてもやはり、記憶は鮮明で、私を解放してくれないのだ。

 

 父は、私の股間を洗うとき、石鹸で泡立てた手で

 まず前から手を入れて前後にぬるぬる、

 次に後ろから手を入れて前後にぬるぬる、と洗ってくれた。

 

 そのお尻あらいが、幼児だった私はなぜかとてもイヤで

 (今でも感触をはっきり覚えているのだから余程いやだったのだと思う)

 小学校に上がる前には、自分で洗う!と宣言して

 父に手を出される前にちゃっちゃと自分のお尻を洗って入った。

 

 

*父は、海水浴のときも、

 私や妹の水着の上から、胸やお尻をごしごしと

 入る前のマッサージだといって上下にこすった。

 

 これも苦手だったが、イヤと言ってはいけないように思われ

 じっとその時間が過ぎるのを待った。

 

 母は、私と妹に、子供用のビキニを着せて、可愛いと喜んでいた。

 父が胸を上下にマッサージする最中、 子供の小さな乳首はあらわになり、

 ひもで吊るされた三角形の布切れ(ビキニのブラ部分)は

 上へ下へ、父の手と共に動いた。

 

 海水浴場の、たくさんの人がいる砂浜でのことである。

 子供だから、と言わないでほしい。子供だって恥ずかしいのだ。

 さわられるのも、みられるのも、嫌でしかたなかったのだ。

 

 ちなみに、父はロリコンではない。 (と、思う)

 ただ、スキンシップが過剰なのだ。 (と、思う)

 

 海水浴のときは、もっと苦手な父の”教え”があったので

 それに比べれば苦痛の度合いは少ないようにさえ思えていた。

 

 父は、耳にツバを入れれば水が入ってこないと頑なに信じていた。

 そして、それを私たち姉妹に強要した。

 父は口から、わざと泡立てたような真っ白のあわあわの塊を手にため

 それを私と妹の両耳に交互に押し込んだ。

 

 私はこれが大嫌いだった。

 今でも思い出すとゾッとするほど気持ちが悪い。

 

 父に、ツバはやめて欲しいと言えるはずもないほど

 私たちは幼かった。

 

 

 

(つづく)

 

 

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