母は買い物依存症である。
私は中学1年まで父の会社の社宅に暮らしていた。
5階建て全40部屋ある建物が2棟。
ヒマな主婦たちのおしゃべりにも花が咲く。
小学校から帰ると、よく母は近所の人たちと外廊下でおしゃべりしていた。
ランチや習い事、ショッピング。お気に入りは伊勢丹。
社宅の同世代の女性たちと楽しそうにすごししていた。
子供ながらに、母がじゃぶじゃぶお金を使っていることがわかった。
母の買い物依存症はこの頃からだったんじゃないかと思う。
父は仕事が忙しくてどこまで知っていたかはわからない。
30万のコートを買いたいと母がねだり
「安いのよ。元値は〇〇なの」と熱弁をふるっていたのを見て
さすがに30万は相談するのか、とおもった。
ちなみにその頃の私のおこづかいはひと月1000円だった。
(母の日に一番安いエプロンも買えなかったので、よく覚えている)
母が父にモノをねだるとき、
私が知るかぎり、それが叶えられなかったことはない。
「じゃあ今度いっっしょに見にいこうか」という言葉を
引き出せたら既に母の勝利だ。
直後の週末に母は父と買い物に行き、満面の笑顔で帰ってくる。
母は浪費家である。
家計簿はつけていない。
外食が好き。洋服を買うのが好き。
超ハイブランドのものを買うわけではないが
デパートをぶらぶらして、ちやほやされるのが好きで
2~3万の服は「あら安いじゃない」と即決、
4~5万もちょっと迷うが買う、10万は父に内緒で買う
20万以上は父に(いちおう)相談して買う。
そんな、恐ろしい金銭感覚だった。
年金暮らしになって少し落ち着いたように見えたが
デパート⇒西友⇒しまむらになっただけで、
ほぼ毎日買い物にでかける暮らしは70歳を超えた今もかわらない。
そうして買いすぎてしまったものたちの言い訳に
私たち家族にも何か安いものを見繕っておまけで買ってくる。
旅行、帰省、冠婚葬祭。
人にあう予定があれば買い物は更にヒートアップする。
「お義姉さん、来るたびにいつも違うお洋服でくるって
わたし言われてるみたい」と、祖母か叔父に聞いてきた言葉を
そのまま私に報告する。少し嬉しそうに。
まさか褒められたと思っているわけではないよね?
と思いながらも、母の様子に何も言えなくなる。
母はお金がない、お金がない、が口癖だが
この40年、母が無駄な洋服類を買わなければ、
きっと今頃は家がもう一棟くらい建ったのではと思う。
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