解離性障害に付随してくる「トラウマ」とは何か?
人間とは安心して生活できる平凡な毎日を求めている。
ある程度の刺激が欲しいと言う人もいるかも知れないが、多くの人々は「昨日と変わらない今日、今日のような明日」「何事も無く過ごせる日々」を求めている。
決して退屈な日々というわけではなく、そのような「平和」を求めているということ。
しかし、自然災害や事故等、突然の出来事はこうした日常の連続した平和を壊し、人が生きるための大切な基盤である「平穏」に亀裂をいれる。
こうした体験をトラウマという。
トラウマは、自然災害や事故だけではなく、人間によって故意につけられるものもある。
そのようなものの方がもっと複雑なトラウマを植え付ける事にもなる。
他人からの攻撃、暴力、そのようなものの方が、人の心に破壊的に働くからである。
その典型的な例が「戦争」。
しかし、戦争の場合は自分と同じような被害を受けている多くの犠牲者がいる。
自分一人が特定の他人からの攻撃を受ける状況では、トラウマはさらに酷いものになる。
強盗や強姦、虐待などの被害にあって、自分が獲物のように扱われたとき、被害の痛みの他に「被害の犠牲にあってしまう自分」への自信と肯定感をも失ってしまう。
そのような事件に巻き込まれた後、悲惨な記憶はなかなか脳裏を離れてはくれない。忘れようと思っても、忘れられるものではない。
夢の中でも、生活の中でも、悲惨な記憶は遠慮なしに入り込んでくる。
そのため、安楽に眠ることも出来なくなり、普通の生活を送ることも出来なくなる。
友達や恋人、親しかった人との関係もおかしくなってくる。
電話や来客があっても出たくない。話したくないと思ってしまう。
それは「どうせあの人には、私のこの苦しみなんて分からない」等という考えにとらわれるから。
こうして次第に人とは疎遠になり孤立し、憂鬱な気分はいつまでも続いていく。
周囲の人には「あの人はもともとああいう人なんだ」等と思われてしまい、尚更孤立していく。
こうしてひとつのトラウマが一人の人間の人生を支配し続けることもまれではない。
トラウマが原因で起こりうる症状は身体的なものと精神的なものがある。
身体的なものとしては・・・
● 呼吸器系、消化器系の障害
● 生理痛や不正出血
● 性交疼痛等の生殖系の障害
● 月経前緊張症
● 慢性の頭痛
● 思春期、青年期にまで続くアトピー性皮膚炎や喘息など
● パニック発作と呼ばれるような、呼吸不全や心拍増加あるいは呼吸不全を伴う恐慌状態
精神的な症状としては・・・
● 抑うつ
● 無気力
● 自殺願望
● 自傷行為の繰り返しなど
● 衝動コントロールがうまくいかない
● 過食
● ギャンブルなどを含む嗜癖
● 対人恐怖など