今回の花組さんのお話は、比較的現代に近くて自分はまだ生まれていないにしても、祖父母なんかから話を聞いたりで案外記憶にあるエピソードもでてきます。

 

三国同盟のドイツ、イタリア、日本。考えてみるとよく、ファシズムにならんかったなぁ、日本は、と思いつつ今から思うとその影響は受けていたのではないかと、思ったりもします。いわゆる軍国主義とかね。

 

陥落の危機があったのは、むしろパリよりもドイツの首都ベルリンだったのではと、この「アルカンシェル」観る前には思っていて、いまいち歴史的な背景に印象の薄さを感じていたんです。

 

パリよりベルリンの退廃的な雰囲気が好きだったせいもあるけれど、ブロードウェイミュージカルの「キャバレ」ーや宝塚だと谷正純先生の「秋冬へのプレリュード」そんなカラーを思っていたんですが、少しそれを引いているようにも思えます。

パリに舞台を設定したのが花組らしくれいちゃんらしい作品となったのかも。

 

物語の中で、セーヌ川が台詞にも、背景にも登場しますが、パリにとってかけがえのない川、それでこの時代の少し前なんですが、

思い出すことがあるんです。自分周辺のお仕事関連ですが、

 

20世紀初頭に、セーヌ川から一人の少女の遺体が引き上げられた。身元は分からずおそらく自殺したのだろうと思われたのですが、その引き上げられた時の顔があまりにも穏やかで美しく微笑んでいるようでもあった。デスマスクをとったそのお顔が後に、心肺蘇生の訓練用のマネキンに採用されることになり、そのお人形が「レサシアン」と名付けられました。緊迫する場面を想定しての訓練に、受講生が緊張しないようにとの思いも込められていると聞きました。某所での心肺蘇生の訓練用のお人形も私たち「レサ子ちゃん」と呼んでいました。おそらく救命救急の講習で心臓マッサージをするときのお人形で、見たことのある人も多いのではないかと思います。

 

セーヌ川ってパリの、様々な歴史を見つめ続けてきた川なんだろうなぁ。

自分が淀川のほとりで生まれ育ち、今は隅田川のほとりで生活しているせいもあり、街の中を流れる川に対してその流れに何かを思ってしまうのかもしれません。

ちょっとストーリからは外れたところで、想いが飛躍していた作品でもありました。