突然、消えた彼。



探しても居ない。



これ以上、私はどうする事も出来ない。







スマホを見ても

何の連絡も来ていませんでした。















え…さっきので最後?

もしかして、もう、彼に会えないの?











そんな事すら

頭よぎりました。












でも、次の瞬間

私はもう、決めていました。







私の中に

他の選択肢はありません。













そう。

大好きちゃん、お家に帰る。





この一択のみ。














余計な事を

考えるのは、時間の無駄です。














私は

切り替えが非常に早い。














私ができる事はしたつもりです。





彼が居なくなったのだから

仕方ない。











そう思って

駅に向かって

歩き出しました。













駅まで行く途中に

橋があるんです。









もう少しでその橋に辿り着く…










そんなタイミングで






前方から

なんと、彼がこちらに向かって

歩いて来る姿が












視界に飛び込んできました。














どういう事?






益々パニックになりました。





駅の方から歩いて来るって

なんで?







ジャスミンティーを買いに行くって

行って

お部屋から出た彼





コンビニは

建物のエレベーターをおりた

1階にあるんです。






なぜ、駅の方から来る必要があるの?








彼が私の元に

辿り着くまで

凄い勢いで、頭の中

考えてみましたが




全く分かりませんでした。













と、彼が、汗だくになりながら













これ。どうぞ。


って、ショッパーバッグを

私に渡して来ました。












地獄に突き落とされていた気分の私は

なに。



とだけ、言って

それを受け取りました。






ありがとう…。

小声で言うのが

精一杯でした。









なに、なんなの。

混乱しながら

ショッパーバッグを見ると





それは

ルピシアのものでした。









ルピシア?

え?

やっぱりコンビニのジャスミンティー

と言ったのに



ルピシアに買いに行ったって事?


そう思って彼に尋ねました。










どういう事?

ジャスミンティーを

わざわざルピシアに買いに行ったの?






いえ。

違います。


それは、今日、お渡ししたくて

事前にご用意してありました。







え?

じゃあ、ジャスミンティーは?

あなた、さっき

買いに行くって言って

お部屋から出て行ったのに…。





やっぱり

納得いかなくて





本当は大好きなルピシアの

サプライズギフト



とても嬉しい筈なのに




このタイミングで渡されて

正直、その喜びも感じられなくて






更に

困惑、パニック。








黙る私。







相変わらず

ジャスミンティー

買って無いし。









何しにさっきものの2、3分で

お部屋から出たのか?
















少し歩いたところで

彼が




じゃあお食事に行きましょうか。




と、にこやかに軽やかに言うものだから





大好きちゃん

そこでブチギレました。











いえ、暴れたわけではありません。



ヒステリックに

まくしたてたりも

しない。












ただ、静かに














私、帰る。






と、言っただけ。








そのひと言で

十分、察しはつくでしょう。













彼は一瞬で

固まっていました。






そして、すぐに





いえいえ、ご飯は食べて行ってください!













いやだ。

私、帰る。









そんな事、言わないでください。

あまり、深い事は、考えないでください。








深い事、考えないから

もう考えるのをやめる為に

私、お家に帰るの。





無理っ。












そう彼に言って

大好きちゃん、また

黙りました。









彼は明らかに困った様子でした。





そこで、どう

なだめられて

お店に行く事になったか





私、覚えていません。






ただお店に行くまでの間

ずっと

後ろからおさえられていました。



彼から大好きちゃんが

離れてしまわない様に

彼は常に

大好きちゃんの腰あたりに

手を当てていました。




でも

この時は添えてエスコートというものではなく



とにかく

逃がさない。

という感じの強さでした。







捕まえられている状態。











一方

私は、機嫌悪くし

帰ると言ったら

本当にすぐ帰る女で







これまでも

コース料理の途中でも

帰った事があります。









大きな声では言えない

予定全てキャンセルで

その場から居なくなった事

数知れず。







そのくらい

自己中な女です。











イヤなものはイヤなのです。

納得できない事を

うやむやにするのはイヤ。










不機嫌全開のまま

私は、彼に捕まえられた状態で





レストランに連行されました。








レストランは

私の大好きなベトナム料理のお店でした。





私、フォーが大好きで

いつも食べたいって

言っていたから



彼がそれを覚えていて

私を連れて来たんだなって

直ぐにわかりました。











だけど

私の中にまだ渦巻いている

納得いかないものが

あるので












彼と向き合わせに座っても

私から笑顔は消えて

疑いの眼差しでしか

彼を見てないし











彼が私に謝って

私の

手に触れようとして来ても


パンっと、払い避ける状態。











気安く私に触れさせてなるものか。

と強く、思っていました。






彼はずっと

困った表情をしながら








お料理が運ばれて来るまでの間に


箱の包みを開けて

中を見てみてください。



と言うので





黙ってそれに従いました。









基本的に

こちらから

何かを発する事はありません。






彼の言う事に

黙って従っているだけの状態。






まだ、帰らずに

この席に

おとなしく座っているだけ

マシだと、

大人になった、と客観的には

思っていました。












そのくらい、私

秒で帰る女です。











相手の気持ちなんて

知ったこっちゃ無い。









私を納得させられない

きちんと説明すらできない

お前が全て悪いのだ。















こういう思考です。