NHKから国民を守る党(現政治家女子48党)の酷さが際立つ事案について。

この界隈の連中は下劣である。

党首(自称現事務局長)の立花孝志をはじめ構成員は万事言い訳と申し開きでその成分100%が構成されているが、久しぶりに沸点を超える下劣な言い訳をする輩が出た。

 

(12) 【緊急謝罪会見】【記者会見LIVE】 - YouTube

 

泣きながら会見するのは、防衛医科大学校の看護学科を卒業したという吉川蓮民という人物である。

 

防衛省に所属する自衛官、技官、事務官はいうまでもなく、防衛医科大学校や防衛大学校、高等工科学校の生徒なども法律により身分を保証された国家公務員である。国家公務員はその身分保障とともに俸給を得て、その代わりに国家のために尽くすことが義務付けられている。国の独立を守る自衛隊を構成する人員は、その特性上副業が原則禁じられているのである。いうまでもなく当然の事と受け止めていたので根拠となる法律の条文を調べ直してみたが、自衛隊法にも防衛省令にも明確に「自衛官及び防衛省職員等の兼業を禁止する」という明文規定は存在しなかった。そんな愚か者がいる事を法律が想定していないのであろう。

国家公務員である自衛隊関係者の兼業を禁止する規定は国家公務員法の規定が準用されるものという定めとなっているようである。

 

国家公務員法第103条

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

国家公務員法第104条

職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

 

これらの規定の他、国家公務員法第99条に信用失墜行為の禁止、国家公務員法第100条守秘義務、国家公務員法第101条職務専念義務等、付随して何故国家公務員が兼業してはならないかというルールが定められている。

私の経験で思い出してみても、約30年前に陸上自衛隊に入隊する前も、入隊した後も、兼業するという発想はなかった。入隊後の各種教育を思い返してみても、兼業してはならないという指導はなかったように思う。その兼業禁止について今にして確認してみると、この兼業禁止という事実の厳重さを認識するところである。上記国家公務員法第104条の条文の厳しさはどうか。

 

その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する

その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する

その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する

 

「報酬を得て」「いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも許可を要する」

 

つまり本職以外の報酬を得る活動が原則禁じられているのである。

これは私企業に雇われて労働して報酬を得る事だけでなく、厳密には親から受け継いだ不動産による賃貸収入も、ギャンブルで得る雑所得も許可なく行ってはいけないということになるのである。

公務員の身分保障は法律によるところであり、大変手厚い。どんな不況でも解雇されないし、倒産もない。その対価として本業に専念せよというのが我が国の自衛隊関係者をはじめ、国家公務員に課せられた絶対原則なのである。

 

その前提を踏まえていうが、政治家女子48党の吉川蓮民という輩の公開自白は酷いものであった。

 

①防衛医科大学校を卒業し、所属部隊配属後に依願退職をし、その後に風俗業に従事していたと述べていたところ、実は現職時代から当該事業に従事し副業所得を得ていた。

②その動機は自衛隊法第99条に定められた「償還金」を返済しなければならない規定に備えるものであった。

③兼業しないと返せない奨学金は問題。若い人が病まずに暮らせる社会を作りたい

④この自供を行った動機は「政治を志すものとして嘘をついていてはいけないと思った」ためである。

 

これを涙ながらにSNSを通じて動画で自白したのであるから絶句する。勘違いも甚だしいのである。言語道断である。

①について

冒頭述べた通り、全ての自衛隊関係者には兼業は禁止されている。風俗業だからではない。兼業が禁止されているのである。国家公務員法により明確に報酬を得て事業を行ってはいけないとするところ、堂々と法令違反を自白したのである。自衛隊関係者に限らず、公務員が現職在職中に兼業した場合、ニュースで報じられる多くの事例では懲戒免職処分を受けている。手厚い身分保障を受ける公務員が、その身分を奪う、職業人としての死刑宣告である懲戒免職相当と判断される事例である。

諸々の規定を再確認したところ、懲戒免職処分はあくまでも当該人が在職している前提でとられる処分であり、既に退職して身分を喪失している場合には遡って処分が下されるルールは存在しない。自衛隊関係者も労働者である事実から労働法にてらして考えてみて、一般私企業での懲戒解雇処分後の事例を調べた結果、自主退職後に在職中の就業規則違反があった場合、その退職が自主退職ではなく懲戒解雇であると認る事実が存在すると、本来満額支給されるべきではない退職金の支給があれば、自主退職と懲戒解雇の間の差額の返還請求が認められるという事例がみられるだけであった。旧NHK党の立花孝志がよく用いる論法であるが、「法律に禁止規定があっても、その条項に罰則がなければ違反しても構わない」(もっといえば罰則規定のある法であっても司直により裁かれなければ構わない、裁かれたとしても強制的な刑罰が科されなければ構わない)というのは明らかな間違いである。この国は法律により統治される法治国家である。国家が個人や法人の自由を制限しなければならない事態というのは本来それが望ましくないにもかかわらず、それでもなお原則から離れた措置を講じなければルールが維持できないという最悪の結果、事態である。その事態が生じなければ独りよがりなルール違反をしてよいというのは政治関係者としてというより我が国日本国民として失格である。

 

②について

自衛隊法第99条「償還金」には次の通り規定がなされている。

防衛医科大学校卒業生は、当該教育訓練の修了の時以後初めて離職したときは、防衛省設置法第十六条第一項第一号の教育訓練を修了した者にあつてはその修了後九年以上の期間、同項第二号又は第三号の教育訓練を修了した者にあつてはその修了後六年以上の期間隊員として勤続していた場合を除き、それぞれ同項各号の教育訓練に要した職員給与費、研究費その他の経常的経費の当該教育訓練を受ける者一人当たりの額を超えない範囲内において、当該教育訓練の修了後の隊員としての勤続期間を考慮して政令で定める金額を国に償還しなければならない。

 

法律の面倒な点は、その法律に関わる法や政令、省令、設置規則等のルールの引用を多用するため、その引用までさかのぼらねばならない点である。第99条既定の防衛省設置法第十六条同効第二号というのは「保健師及び看護師である幹部自衛官となるべき者の教育訓練」。つまり、防衛医科大学校の看護学科に規定の学科を卒業したものを対象としたもので、第99条本文の定めによると、その終了後六年以上の期間隊員として勤続した場合を除き、政令で定める金額を国に償還しなければならないと定めているのである。このルールは様々な学生待遇、候補生待遇で入隊するもののうち、防衛医科大学校の学生にのみ限定して適用される特例ルールである(防衛大学校の学生についても、2012年2月10日に「卒後6年以内に退職したものには勤続年数に応じた償還金を徴収する」と閣議決定がなされたものの、本書記載時2023年3月24日現在自衛隊法等の規定はなされていない)。

このルールが特例なのは、「労働者への事前援助と引き換えに、資格取得後、一定期間労務提供をさせるが、それが達せられない場合に、援助相当額を返還させる事」を労基法第16条に違反すると見做されるべきところ(昭和23年7月15日基収2408号)、その原則を逸脱して防衛医科大学校の学生に自衛隊法第99条明示の償還金の返済を命じる判断がなされているところである。

一市民として、「勤務先が労働者を募集し教育訓練を施し、その訓練に応じた成果をあげずに退職するのはけしからん」という理屈とともに、「いやいや、労働者には職業選択の自由があり、教育訓練の機会が与えられたとしても、その事実をもって隷属的に進退を決する自由を奪うのは許されない」という理屈も当然思考にのぼるのであるが、このいずれも発想としては正しい。こうしたどちらも正しいと理屈付けられるような事例が生じた場合には、当事者間で決着がつかず裁判という公の場で公正な法律のプロ、裁判官により判決が導かれるのが法治国家日本のルールである。

調べたら当然のようにいたんですね。防衛医科大学校を卒業して相応の免許を取得してばっくれたあげく、償還金を返すのは嫌だと持論を述べた方が。

 

東京地方裁判所 昭和63年 (ワ)2918号(防衛医大事件)

結論からいうと、「ルール通り償還金を払え。年14.5%の利息付」である。この判例では原告は国、被告は元学生。看護学科ではなく医学科の卒業生が対象者である。判例はWebにアップされているので事件番号で検索をどうぞ。

判決理由の一部をピックアップすると次の通りである

以下引用

被告は、自衛隊法九八条の二の償還金の実質は「教育訓練に要した職員給与費、研究費その他の経常的経費」の返還であるところ、このような金員は労働ないし訓練の対価として支給されるものであるから返還すべき性質のものではない旨主張する。

しかしながら、防衛庁設置法は「防衛医科大学校は、医師である幹部自衛官となるべき者を教育訓練する機関とする」(一八条二項)と規定し、この規定と〈証拠〉を併せ考えると、本件の償還金制度は、社会的に高い評価を付与され、その育成に莫大な経費を必要とする医師となり得る資格を国費によって取得した者が早期に自衛隊関係の職から離れることは、防衛医科大学校の設置目的からみて望ましくないため、国費による受益の公平をはかろうとする見地から設けられた制度というべきであるから、自衛隊法九八条の二第一項所定の「当該教育訓練」とは、医学に関する高度の理論及び応用についての知識などを修得させるための教育訓練を意味するものというべく、したがって、同項所定の「経費」は、専ら医学修得に要する経費のみを指し、自衛官の資質の練成に関する経費を含めその他の経費は含まれていない。

そうすると、医学修得に関する経費は、労働の対価とはいい難いものであるから、この点に関する被告の主張は前提を欠くものであり、採用できない。

また、被告は、本件で問題となる償還金制度は、防衛大学校卒業生が防衛関係の職から離れても償還義務を負担しないことと不均衡であると主張する。

たしかに、防衛大学校卒業生は何らの償還義務を負わないけれども、本件の償還金制度は、前叙のとおり医師養成のため必要な医学に関する理論、知識を修得させるには多大の費用を要するために国費による受益の不均衡を是正するために実際に要した経費に限り償還させようというものであるから、防衛大学校の卒業生が離職しても償還義務を負わないことをもってただちに不均衡ということはできない。

したがって、この点についての被告の主張も採用できない。

引用終わり

 

判例から読み取れる通り、防衛医大の卒業生に返還を求められる償還金は労働の対価ではないと判断されている。また、「育成に莫大な経費を必要とする職となり得る資格を国費によって取得した者が関係職から離れることは、防衛医大の設置目的からみても望ましくないため、国費による受益の公平をはかろうとする見地から設けられた制度とも判断されている。この「受益の公平」という概念は、日本の裁判上大変よく用いられるものである。裁判は当事者双方が言い分をぶつける場であるところ、お互いの言い分を聞いて、当事者含め社会的に公平な目線で見た時に、譲れない一線をその裁判事例の上でひいて、世の中で類似の争いが起きた時にできるだけみんなが納得できるように決めたという意味である。

国の経費で教育訓練を受けて免許資格まで受け取っておいてルールに定められた期間も我慢せずにケツまくってバックレた愚か者には当然金返せヴォケ

と判断がなされたわけである。裁判官は内心はともかく冷徹に冷静に、事実関係から適切で穏当な判決を下す。下品な言葉遣いは公的にはなされるものではない。

 

そして、防衛医大事件の判決文の理由には次の通り続く

以下引用

被告は、償還すべき金額は隊員として勤務したにすぎないものがただちに償還できる性質のものではなく自衛隊法施行令一二〇条の一六は労働基準法一六条に反する旨主張する。

しかしながら自衛隊法一〇八条によると、労働基準法の規定は隊員に適用されないというのであるから、被告に償還金に関する規定を適用するについて、労働基準法一六条違反が問題になる余地はない。

したがって、自衛隊法施行令一二〇条の一六が、実質的な労働の強制を緩和、救済するものではないとの被告の主張について判断するまでもなく先の被告の主張は採用できない。

引用終わり

 

自衛隊法とは特例法である。国家公務員の中で、国防を担う特別職国家公務員という特殊な位置づけから、一般職の国家公務員や市井で勤務する労働者とは異なる身分を保証され、かつ求める事が定められたものである。例えば、通常の労働者には適用される労働時間の制限や労災が自衛官にはない。労働基準法に定められたルールから逸脱したきまりが自衛隊法に存在するのである。前記した判例(昭和23年7月15日基収2408号)では、労働基準法から、「労働者への事前援助と引き換えに、資格取得後、一定期間労務提供をさせるが、それが達せられない場合に、援助相当額を返還させる事を労基法第16条に違反すると見做される」ところ、防衛医大事件では自衛隊法の特例でバックレなんか許すかヴォケと判断しているのである。

 

と、我が国日本での制度上の事実を示した所で、吉川なるものの申し開きはあまりに稚拙である。防衛医大事件の判決日時は昭和63年である。昭和の大昔からそんなルールは存在していたし、当然、防衛医大の入試を受ける段階で広報官がきちんと説明しているのである。ちなみに、こういうルールが適用される事は採用段階で改めて周知されているし、当人と、いざ償還金を払う段階に至った場合に保証人となる保護者等にも書面で同意を得るのがルールである。自衛隊も国家機関の一部である以上、定めには書類があり、記名押印がなされているのである。NHK党の立花孝志の得意な論法を持ち出すなら「どうぞ裁判してください」である。防衛省は過去の判例を引用した上で然るべき書庫に保管されている当人等が記名押印した書類が証拠書類として提出されることとなる。

 

その上で。「償還金を返済するために兼業をはじめた」という理屈はさらに稚拙である。防衛医大事件でふれられていない点を述べておくと、自衛隊法第99条の規定は「卒後」何年の勤務実績がないと償還金を払えというものである。どうしても償還金を払うのが嫌だ、無理だというのであれば、卒業前に辞めてしまえばよかったのである。辞めたいです、はいそうですかと素直にいかない事情は理解できる。入隊させた以上、簡単にドロップアウトしてもらっても困るのである。それでもなお、償還金を支払いたくない強固な意志があるのであれば、とりうる別の手段が存在したのである。

 

③について

そもそも、上記防衛医大事件の判例でも示されている通り、防衛医大の卒業生に求められる償還金は奨学金ではない。さらに、「返済がもとめられない教育機関」は世の中には山ほどあるのである。但し、そこで学ぶ費用は無償ではない。当然、サービスを享受するには相当の対価を支払う必要があるのである。タダでサービスを受けておいて、その対価に当たる費用を請求されたらそれが不当であるといわんばかりの姿勢はただのモンスタークレーマーである

また、私見を加えるなら、仮にそれが奨学金だとしても、だからどうしたとしか言いようがない。日本国にはおよそ奨学金と名前がついているものであっても、それは教育機関卒業後に返済を求められる実質ローンである制度が大半である。政府が主導する日本学生支援機構(旧日本育英会)の制度はまさに有利子の教育ローンそのものである。もう一度言う。だからどうした。この国は豊かな国なのである。出自が裕福な家庭でなくても、学生は自らの責任で学資と生活資金を貸与されて、学業に専念できるのである。私も借りた学部、修士、博士課程。総額は軽く1000万円を超えました。だからどうした。その程度の自己負担で自分が満足いくだけ学問を追求し没頭できたのである。それが嫌ならさっさと働けばいいだけの話である。学びたい?働いて学資を稼いでから学生に戻ればいいだけの話である。一般社会のレールから外れるって?だからどうした。それは自分の責任でおこなった決断である。

 

④について

当人は大ウソつきである。自分で防衛医大という進学先を選んでおいて、兼業禁止規定に違反して稼いだ上、辞めて償還金に不平たらたらである。そんな身勝手な理屈を自分に嘘をつかず持ち出せるとしたら立花孝志と同程度の鳥頭である。自分で言った事を平気で反故にする大ウソつきである。

 

以上のように、①~④の点を指摘したが、およそまともな言動ではない。ルールから平気で逸脱する遵法精神のなさや、それを平気で正当化する発想は通常人としては問題があるとしか思えない。そもそも、ルールを定めるために選挙民から負託をうけるのが議員、政治家という職業である。その職業につくものが遵法精神のかけらもないという状態を具現化しているのがNHKから国民を守る党(現政治家女子48党)である。2023年3月現在、統一地方選が始まろうとしている。この時期にこのような発信をSNSで行うような連中は批判を加えられて然るべきである。政治には市民の監視の目線が必要である。その監視の目があってもなお、傍若無人なふるまいを続けるのがNHKから国民を守る党(現政治家女子48党)なのである。党首(現事務局長を自称)は2023年3月に脅迫、不正競争防止法違反、威力業務妨害罪での刑事事件の公判が完結し、懲役2年6か月(執行猶予4年)の判決を受けた不届きものである。触法行為上等、遵法精神無しの集団の暴走は防がなければならない。それが法治国家日本の法による統治を守るために欠かせない重要なことなのである。

 

最後に、有名な映画「プラトーン」であった印象的なセリフを紹介する。

言い訳なんてケツの穴と同じよ。誰にも一つはある。