"ガジってみた"
前記事で書いた通りシンプルなガジリを取り決めたのだが出現頻度は結構高い。採用しているのは1M-1NT以降のみ。
僕はEast、オークションはEastからフリーランで
1H 1S;2NT 4S//
リードはダイヤ。A勝ってSJをいきなりフィネスする。SJに負けてDx。ローを引いてDJ勝ち。スペードだしSAに負け。CA、CxをCKで勝って、トランプ集めて、"めちゃ抜けそうな"ハートをフィネスするとやっぱり抜けてCQも取られ2ダウン。-200。
「なんか、ハートフィネスは大体抜けてそうでした」
「ダミーから見ててもまず抜けそうだったね、それでもフィネスするしかないと思ってたよ。」
でも、HK裏だと思ったのは何でだろう。この共感覚はどこからきてるのか?
その場ではよくわからないねという結論に終わったが、多分ハートフィネス効いてるときディフェンダーはクラブローを出すということなのだろう。ところで、
「やっぱり1H-1S後もガジリ欲しくない?」
「その手はオーバービッドで、1H-1S;2C-2H;2NTで良いんです。」
「でもほら、クラブが弱すぎない?」
「全然想定の範囲内です」
確かにこの手は1H-1NT後みたいなそんな感じのビッドの方が良いのかも知れないのだけど、5=2=2=4ぽく振舞うにしてはダブルトンに点が寄りすぎてるし、ガジリありでレスポンダーに8HCPないと分かれば2Sがスタンドする未来もあっただろう。
右上に-200と+620と書いてあるのは、フィネスが何パー抜けそうならフィネスしないのが期待値的に適正か計算するためである。620/820≒75%だって。人間の感覚って何処まで正確なんだろう。
次のボード。
私たちはこの日の朝のスタバで京大式ガジリに軽微な修正を加えた。
1S 1NT;2C 2D;2H
の2Hを2Sへのpuppetとして、M5Other4を表現することにしたのだ。それがこのハンドで発動して、Westのpdから
1S 1NT;2C 2D;2H 2S;3H*
*S6+H4, 17+
が表明された。3NTに4Sでコントラクトは終了。トランプブレイクはよし、DQとハート4枚が同居するスクイズのような仕上げ方をしたが、そもそもハートのアナーのあり方が良いので6メイク。
裏は、
1S 1NT;
4C* 4H**;
6S
*セルフSPL
**cue bid
で非科学的に6S、6メイク。酷い話だ。
実際Pdは、僕にSQグルトンとHAJを想定して、3NTに対しアクションを続けるべきだったかもしれない。ただまぁ、参りましたという感じ。
それとこれ、オークションは
1H 1NT;2C 2H///
私たちは弱い時、1M-1NT;2Cを2枚保証、2Dを4枚保証と取り決めていたので2Cを選択した。Westはうっかりしていて2Hをビッドしたのだけど、取り決め上2Cに対しダイレクトに3Cをいうと5-7ptsのクラブロングスーツが表明できる。これはちょびっと便利。
ガジリ導入して3戦3敗だが、えてしてこういうのはいきなり損することが非常に多い。それは、今まで一生懸命ハンドの匂いを嗅いでギリギリのジャッジをしていたところ、システムにかまけてその努力を怠るようになるからだ。
本当は優れたシステムを導入したとて、その前提に真剣なジャッジメントがあるべきなのだ。もちろん導入したては匂いの嗅ぎ方がわからないなんてこともある。こういうのは税金と割り切って次に進むに限る。
他の面白ボードは、
僕はEast、オークションはEastから
1D 2C P 2S;
X P 3H///
リードはC8。CA勝ってSJ、SA、Sx。
SK勝ってHA、Hx。HQ、HK勝って、クラブバック。
目下4敗。
ディクレアラーはダイヤをフィネスしたいが、ハンドに入るスベはラフネタのハートオーバーテイクかCKしかない。ここでCK勝ちを選択し、ダイヤフィネス。これはワークしたが、DA、ダイヤラフでDKは落ちてこない。ハンドの黒いルーザーを1枚切れるが1枚は残ってしまい1ダウン。
「すみません、HA取ったらCQを剥がしておくべきでした」
「いやこれ出来てたでしょ」
ハートを出したあとのクラブバックの瞬間7枚残っていて、ハンドは
9
T9
42
K9
ダミーは
-
7
AQJ63
Q
ここでCQ勝ってハート2枚、CKを取るとNorthは
QT6
-
KT98
-
から4枚捨てねばならず、S9かDJが勝てる形になってしまう。DK裏なら2ダウンする形ではあるが、点数の読み的に試す価値のある変則スクイズだった。
CQ剥がさない奴がいるのなら、ディフェンスはSJをダックして、のちにS9をダミーで切らせる形に持ち込むのが良いだろう。まぁ、その時は剥がされるのかもしれない。
もひとつ。
僕はEast、オークションはSouthから
P 1S 2H X;
4H P P ?
あっこれ、確か春季リジョナルで見たハンドだ!4Sで競ってみよう、これはS2枚とマイナー55以上の手を示すに違いない。
Pdは正しく意味を解釈しつつパス。HA、C2シフト(!)。C9で勝ってDT、DAに負けてDJ。ハンドのハートを捨てて、ダミーで勝ってスペードフィネス。ハートラフ、ダイヤ。これを手でローラフするとオーバーラフされて、クラブラフ、ダイヤラフと進むので1ダウン。
ダミーから見てるとD5-2な雰囲気がムンムンしてたから絶対SJで切っちゃう作戦もあるかなと思ってた。実際はそもそもSKオンサイドのトランプ3-3ブレイク以外メイクしないので、必ずSJで切るべきだったようだ。
さてブログを遡ってみたら類似のオークションが出現したのは2年前のことらしい。
しかし2年前のWestのほうがこのEastよりだいぶ良い手をしているね。実際大幅に競りすぎだったようで大反省。
チームは2日目午前中までトップだったんだけど、午後の一つ目でちょい勝ちしかしなかったら2位のスイス戦巧者チームが20-0勝ちしたようで僅かに抜かされてしまった。99.43VPと98.44VP、2IMP勝ちで逆転する。3位以下はそれなりに離れているのできっと最終ラウンドで勝った方が優勝だ。