2/9は横浜オープンペア。旧NEC杯がない年なので1day52ボードの最もサクッとしたナショナルのMPペア戦。パートナーはお孫さんが賢いAさん。
リードはクラブ。Pdはハンドで勝ってスペードフィネス。これは抜けてスペードバック。Hをダミーから引くとHA勝ってダイヤを3発取られ、S4C4とれて1ダウン。本当は3Sくらい出来てそうだが、3S-1は16.5/21。ダミーで見てて3NTもミリできなさそうだったのでホッと一息。
結果から言うと前半2位、後半12位のトータル3位で、トップまでオーバーオール0.5%の接戦だった。日本リーグに引き続きこれも優勝できたなー、と言う試合だ。
でもでも、こういうスコアを取るためには良いこともそこそこ起こしてないとならない。特に良かったような感じのボードの紹介から始めよう。
午前#14
Neither Vul. 4th seat.
僕のハンドは
AJ
QJT62
52
KJ65
オークションは左手から
P 1S 2D 2H ;
P 2S P ?
plan the bidding.
僕は悪くない12点を持っていて普通ならGFしたいところ。だがこのハンドの最大の魅力であるハートがフィットしてない時、どこで9個や10個とるかと言うとそんなに明らかではない。
パスというわけにはいかないが、3Cや3DでGFするのもなんなので、3Sでお茶を濁すことにしたらそれが流れる。フルハンドは以下。
リードはクラブ。Pdはハンドで勝ってスペードフィネス。これは抜けてスペードバック。Hをダミーから引くとHA勝ってダイヤを3発取られ、S4C4とれて1ダウン。本当は3Sくらい出来てそうだが、3S-1は16.5/21。ダミーで見てて3NTもミリできなさそうだったのでホッと一息。
これは良いジャッジなんじゃないかと思って背の低いHプロにコンサルトしたら、3Sにアグリー頂いた。いぇい。
#19
僕はEast、Westからフリーランで
1D 1H;
1NT ?
2Hでやめようと思っていたのに、手が滑って2C(2DへのTRF)を置いてしまっていた。流れに従ってハート5枚のインビテーションなビッドを置くと、3Cが返ってくる。
1D 1H;
1NT 2C*;
2D 2H;
3C ?
3Cはクラブを4枚持っているんだろうか。僕は、持っていると思った。
MPでm54は必ず2C置くかというとそんな事はなかろうし、m44は十分ありうる。それに、ここで何かアーティフィシャルなビッドをする人じゃない。だから多分3Cは、お誘いには乗る手でナチュラルにクラブを示しているのだろうと判断した。
ハートサポートはないが3NTより4H向きで、Hの枚数やアナーの感じをチェックしようとしているに違いない。
うーんじゃあこの辺か、と半笑いでパス。3Cは適当にハートを開発してジャストメイク、10/21。2Hは上手くダイヤを開発できればおそらく3メイク、また1NTをパスするとスペードリードで2メイクが当たりのジャッジだったようだ。でも世の中そんなうまく止まれる人ばっかりかな?
背の高い某ペアは1D 1H;2C 3Cと続き、3NTをビッドして沢山落ちてしまったらしい。Hプロは3Cにパスしか救う道は無くて、3NTダウンも止むなしと言っていた。僕のパートナーは1NTリビッドで当ててくれてたんだね。
スコアはふつーだけど、危険事態を最後のところで回避できたというところで採択。
午後#9
2H X 3H 4H;
P 4S P 4NT;
P 5C P 5D;
X 5S//
2Hで開けた後Lead Directing Doubleをして、これをちゃんと見ていたパートナーはD4をリード。DA勝ってCK剥がしてスペードを刈り集めて、HKを取りに向かうもとれずに5メイク。15.5/21。
オポーネントはSQ askの5Dに対し、持っているのに無いと答えてジャストメイクだから、セーブしているかのように見える。
しかし例えばHAリードとか、それとは別に黒いスーツのリードとかをすると、クラブでWestのハートを全部捨ててダイヤを出しに行き6メイクする。
ダイヤリードを要求した時点で相手のバッドスコアに追い込むことが出来るようになっていた、6になったら良かったけどそこまでは望むまい。
#24
Neither Vul. 3rd seat.
QJ94
K52
KJ
AQJT
オークションはPdから
P P 1NT 2H*;
2S 3C** ?
*H+m
**pass or correct
plan the bidding.
本来スーパーアクセプトする手なんだけど、ダブルを置くチャンスが生まれた。どうしよう。
僕はどうせオポーネントのフィットはダイヤで、3Cダブってもあんま意味ないかなと判断。
逆にパスする手も無くは無くて、本当に相手のフィットをダイヤとすると、H2.5とD2に加え黒いスーツで1つはまぁ負けそう。
4S誘発してもなぁと思いつつ、普通の判断として3Sを置くことにした。これが流れる、フルハンドは以下。
Hリード、Hの3順目をNorthはラフ。DAとSAを取られて1downは13/21。
全く同じ展開で背の高い某ペアはダブルを選択、これは良くなかったと言っていた。
P P 1NT 2H*;
2S 3C** X 3H;
P P 3S P;
P 4D 4S//
で2ダウン。
このハンドよくよく見るとNorthの4Dは鬼のように出来ているので、やるかはともかく4Sビッドはベストエフォートだ。しかし進めど退けど、地獄には変わりない。Southの3Hが何を示すかは分からないが、前向きな感じは言えたのだろうか。
…この話を詳しく聞いてみたら、2Hも3Cもアラートが出てなくて、3Dに逃げられる可能性は特に考慮する必要がなかったらしい。なるほど、それは幾ら何でもかわいそうだ。
とはいえSouthが3Dをビッドして4Dまで競り合う事になればそれは落ちでEWにとっていいスコアだし、3Sを言わないことで言えるようになった3Hが意味することも、実際は曖昧だ。
3Sビッドがシャットアウト的にワークすることを見越してビッドできた、と主張するのもちょっと苦しいので、労力とリターンを考えると泣き寝入りもやむなし。
ここからはパートナーのちょっといい話、これは珍しい。午前午後からひとつづつ。
午前
オークションはEastから相手のフリーランで、
1H 1S;1NT 2D*;2NT 3C;3NT//
リードは…S8。
僕はなんでリードそこやねんダイヤ出せや、と思いながらS9に勝たせる。
ディクレアラーは手からHxをプレイ。
HQ勝って、S6。
SQ勝って僕は…DQ。
5メイクは9/21。あれ今4メイクになってたよね?しまった。
…CAがディクレアラーにあったら出来てるし、と手抜きプレイをしていた。普通のSouthなら、CAを持ってるのにスペードを続けるわけがない。
この後ずっと
「わたし、3NTでいいリードしたわよね!、されるはずもない3NTを5メイクされちゃって、酷いスコアでしょ」
とか言われる原因を作ったのは僕自身だ。世間的にはずっとダイヤが出続けるらしい、それもありそうな話だ。
午後
P P 1S 1NT//
でリードはDT。DQ勝って、元官房長官はハート3順キャッシュ。ハートはダメかとCx→CJ。これを僕はCAで勝って、PdがDAT9だったらいいなとDJを返すとDKでオーバーテイク。
おいおいDKT9で勝ってどうすんのと思ったら、残り全部ダイヤを取ってHJも取って、スペードを出して3ダウン。14.5/21。
ダイヤAKの6枚かよ、と思ってちょっと言ってみた。
「ダイヤ上から出せば4ダウンだったじゃないですか」
「私にエントリーがないから、ダイヤ一回負けたら(コミュニケーションを保ったまま)全部勝てるようになるかと思ったのよ」
うわ、正論。
急に正論言われるとちょっとビビる。
「私がDA,Kと出したら、J落とした?」
正論マンかよー。
「落とすに決まってるじゃないですか、4ダウンするんだから」
背の低いプロは僕ならハートリードしますとか言っていた。HK勝っていきなりCQ出されると、H2返しちゃって-1かもだけどね。
ちょっと工夫してH6と出す手もある。H653もHAJ963も同じリードなので、CQにC9と出してスミスエコーすれば伝わるかもしれないし、なんか状況おかしいからC9をシングルトンと見てCAを1順ダックしシグナルチェックするかもしれない。それはやっぱり-3だ。
MP戦は小技が光るので、リードが上手になってくれたようで何より。
最後に小ネタをひとつ。
横浜オープンペアの前日、東大の部室で8ボードのチーム戦を行った。その時僕と同じ場所には背の高い子が座っていて、こんなボード。
オークションは上のハンドから、
P 2S ?
で僕はパスして2S-2の200取り。背の高い子は2NTおいて3NTのスペードリード。クラブの触り方は諸説あるが、そもそもCKが裏なので3ダウンし150取られでパーシャルスイング。
「4333だし15点だし、パートナーパストハンドでNVだからパスだね。」
「なるほど」
誰もが1回は通る道のやつね。
僕は横浜に行くため、彼は塾に行くため(かわいい)、部室を早めにおいとまして一緒に帰ったのだが、午後このボード。
うちのオークションは、ルールオブ20を絶対のオープン基準にするパートナーから、フリーランで1S 1NT*;2S 3H//と進行し、なんとなくCTが勝てる展開となってメイク。13/21。
背の高い子がなんか言いたいようだ。
「これ、うちのテーブルでは、P P 2H ?ときて僕の番なんですよ!」
ほうほう、ありそう。
「これ昨日やったじゃないですか、パートナーがパスしてて4333の15点はパスだって。だから一回パスしてみたんです。」
おぉいいじゃん、教育的。
「進研ゼミで見たハンド、いや塾でやったハンドだ!ってなったわけね」
「そうなんですよ、そうしたらパートナーがバランシングダブルして、3NTが落ちました」
ふふ、無情だね。
参加者数的には最もしょうもないナショナルペア戦だったけど、Pdに3位をお届けできてほっこり。
優勝は日本リーグを勝ったIさんのペアだったのでこれも44年の重みかと思った。しかしあとで冷静に計算してみると、彼我のブリッジ歴に30年の差があるので、オーバーオール0.5%の差は年0.0167%、今回の21MP/bdmaxで計算すると0.18MP/bd*年の改善率らしいからまぁどうでもいいかという事に。
このあと美味しいお肉を食べて、楽しい週末を過ごすことができました。