1VP差なく2位に付けていてラストラウンド。試合前、チームメイトと順位表を見ながら。


Tさん「良いところにつけてるね」


僕らにプレッシャーをかけまいとしてくれてるんだろう。何度も優勝を経験してる人だから、我々トーシロペアが浮き足立たないように、言葉を選んでコメントをしている。


僕「悪くないですね」


気持ちは確かに受け取りましたよ。
隣にはPdがいた。何を言うのかと思っていたら、


Pd「このスコアだと……残留は決まりましたね」


Tさんと僕でずっこける。いい具合にリラックスしてる。


ラストラウンド、対戦相手は関西のチーム。
12月の日本リーグの前半戦の後、VPをフィネスするKさんとの話。


「君らは優勝全然あるんちゃうん。うちのチーム、今でこそ3位だけど降格もあると思ってる」


まぁまぁ確かにメンツは12月の方が強そうだったけど、1月は彼が頑張ったみたいで降格って感じの順位ではなかった。

その昔Iさんからいい言葉を聞いたことがある。


「ブリッジってのは、チームメイトがどんなにヘボでも自分が完璧ならチームは勝つし、もう一人完璧なら完封できる」


比較の問題で、ヘボ側も上手側もやったことあるけど今ならわかる。これは本当にそう。負けたらいつでも自分の責任、それ以外はあり得ない。後半戦、Kさんも頑張ったのでしょうね。


彼とはテーブルを囲まず、僕はNorth。まずこのハンド。


オークションはNorthの僕から


1D P 1H 1S;
P 2S P 4S//


リードはDQが濃厚だが、どうせ我々はダイヤがフィットしてて1勝くらいしかできないだろう。ハートリードはパートナーにHAかHQがあれば少なくとも1勝できるし、そうでない時パートナーに入ってハートを出してもらうエントリーは乏しそう。そんなふうに考えて、自分から出してみることにした。HK!


HKリード、パートナーは偶数枚とシグナルしてHA勝ち。ディクレアラーは悩んでSK、SAと取ってC4→CQ。パートナーはクラブ奇数枚を示唆。これをCAで上がってHT。

ディクレアラーはCKをSouthにマークしているので、諦めのハートロー。HJ勝ってハート切って、CAで1down。CAで騙し切れた格好だ。


チームメイトのKさん
「ハート切ってダイヤ出せば-2やん」

それな、ダイヤコンティニューは完全に安全なので。僕はもうお腹いっぱいだったよ。

裏はDQリードから似た展開で、スペードを取らず、CAKをNorthにマークしてメイク。いい感じ。


所でダブルダミー分析にかけて気づいたんだけど、この4Sほんとは落ちるのよね。でもどうやって?
















リードの時に考えてたことが戻ってくるんだけど、正解はDQリードをDKでオーバーテイクしようとして、Southからハート出されたら終わるからDA勝ち。CQが出てきたらCK勝ってローダイヤでパートナーに渡り、ハートバック。これで落ち。D2-2でかつD9がエントリーになることを見越してDQリードが正解だったようだ。見越さなくても良いけど。



裏表共に、Northが1Dオープンからの2NTリビッドをしてSouthの4H。S9リードはSA勝って、HA、ハートと出すとHK勝ち。ダイヤバックで5メイク。Westのチームメイトはオープニングリードで悩んだらしい。


「DQ出せばよかった」
「やたら悩んでる割には普通のリード来るな、と思った」


確かにDQリードは当たるかもしれない。DQホールドされたらCJ。CK勝って…でも4メイクか。CA勝ってHA取ってスペード4順の下にクラブ捨てても4メイクなので落ちはしない。


「後ろにキビッツァーがいたんだけど、すごい考えてS9出したから何考えてんだコイツと思われたかもしれない」「ハートリード以外はあると思ってた。」


僕も以前似たようなリードを見たことがある。
大学2年生の時NEC杯のラウンドロビンでEngland v Nedtherlandをリアル観戦してて、トランスファーウィーク2オープンにオーガスト、サイドスーツにアナーありときて逆サイドの4Mとなった時、EnglandがそのサイドスーツのAQJから即Qを出してたのが印象的だった。オランダ人は悩んでロー、Q勝って次の一手は0秒でJ、そのスーツ3勝。
あんまり関係なく2ダウンだったがちょっとカッコいい。偶にはKを引いてみよう。



僕はNorth、オークションはフリーランで僕から


2NT 3H;
3S 4C;
?


スラムはむちゃくちゃやる気出るんだけど、4Redのどっちがどっちのスラムトライとか決めてなかったのでおとなしく4S。するとPdからRKC。


2NT 3H;
3S 4C;
4S 4NT;
5H* 5S;
6S 7S//

*2/5key w/o SQ


裏のテーブルは4Cに6Sと言って終了。世の中でこのアイスコールドな7Sにたどり着いたのは我々だけだったので大体そんな感じなんだろう。


Pd「4Hって言ってくれたらスペードやる気ありだと思ってました」


その感じで行くと、例えば2NTオープンにハートへTRFしてダイヤを紹介すると、ハートのスラムトライは5Cになる。


2NT 3D;
3H 4D;
?

4H:サインオフ
4S:ダイヤやる気あり
4NT:赤いスーツにやる気なし
5C:ハートやる気あり
5D:サインオフ


こういう4Sや5Cの、トランプを除く次のステップをRKCと取り決めとけば良いね。

なんというか、唯一7Sにたどり着いたのは嬉しいけど、日本リーグ1部のNSサイドですらおそらく取り決まってないのだから、何かもの寂しさを感じてしまう。


そんなこんなで15.00VP勝ち、これは優勝したかもしれない。スコア発表に期待が高まる。

現1位のチームも勝ったとのこと、でもまだ十分勝ちうる。さぁどうだ、結果は…0.07VP差で2位。


そうか、そうなのか。1IMP未満の差か。
悔しくて対戦チームを素直に祝福することはできなかった。優勝したのはIさんのチーム、彼の言葉を思い出す。「俺は44年ブリッジやってんだ。」

この1IMPは遠くて重い。







…その時はそう思ったけど、冷静に考えれば僕とのブリッジキャリア30年差なので、1年で0.0023VPしか上積みできないと思えばどうでも良いか。

1IMPロスはどこにでもあるし、なんなら圧勝するチャンスもあったけど、いきなりのパートナーと組んで、日本リーグ1部でも普通に勝負になるんだというのがわかって嬉しかった。データムもほぼぴったりアベレージだし。


しかしチームメイト強かったな、また引き続き教えてもらおう。