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すれ違う男性のほとんどが振り向く。
特にこの制服はこのあたりでは人気のある有名な制服だった。

“香月女子学園”
このあたりに住む人は“なでしこ学園”と呼んでいる。

しとやかなお嬢様ばかりいるのでそう呼んでいる。
そして“香月”の名は麗羅の父、涼子の祖父の経営する学校だった。

そんなお嬢様ばかりの中でも、あの入学式では涼子は輝いていた。

つくられた人工美、そんな言葉がぴったりの涼子だった。


校門に近づくと後ろから涼子を呼び止める声がした。
「ねぇ、あなた、三組だったわねぇ」
「ええ・・・あなたは?」
「私も三組・・あっ、私、中野智恵、よろしくね」
「私、香月涼子よ、こちらこそよろしく」

初対面の挨拶が終わり、教室に入った二人は決められた席に荷物を置くと、先ほど紹介し合った中野智恵が涼子の席のところまで来た。
それにつられてもう一人、お互い同じ紹介をした後、様々な雑談に花を咲かせたのだった。

「私、○○小学校なんだけど、あなたは?」
「私は××小学校・・・・香月さんは?」
「わたし、小学校にはいってないの」
「えっ、そうなの」
「うん、家庭教師の人から勉強、教えてもらったの」
「へぇ~、涼子さんって本当にお嬢様なんだぁ」
「そんなぁ・・・わたし・・そんなんじゃあ・・」
「だって家庭教師、雇えるくらいなんだもん・・・お金持ちなんでしょ」
「・・・・・う・・うん、・・そうかなぁ・・・」
「・・・・・わたしには・・」
「ねぇ、ねぇ・・・お手伝いさんって・・いる?」
「・・う・・うん・・」
「うあぁ、すごい、一人じゃあないんでしょ」
「・・・う・・ん・・三人・・・」
「へえぇ・・もしかしてあの白亜御殿が涼子さんの家?」
「白亜御殿?」
「あら、あの付近の人たち、みんなそう呼んでるわよ」
「・・・・そうなの・・」
「ね、ね、お父さん、何してる人なの?」
「・・・えっとぉ、どこかの病院のお医者様・・」
「入学式でお母さん、見たんだけど・・モデルさん?」
「ううん、ママもお医者様だよ」
「へぇ~、そうなんだぁ」
「香月?・・もしかして、あの香月総合病院?」
「???・・さぁ・・」
「あれ・・・涼子さん、知らないの」
「・・うん・・・だれもそんなこと、教えてくれないし・・・あっ、そういえば、死んじゃったお母さんもそういう名前の病院に勤めていたような・・・」
「死んじゃった?・・じゃあ涼子さんって養女なの?」
「うん、叔母さんち」
「そうなんだぁ・・亡くなったお母さん、何してたの?・・・ナース?」
「・・・んとねぇ・・・お薬、作っているって言ってたような・・・」
「あぁ・・薬剤師さんね」
「そうなの?」
「・・・・・・・・」