香月涼子の秘密Ⅰ


『あぁあ・・・暑いなぁ・・・』

そんなことを呟きながら 岐路を急ぐ私。
とりたてて 急な用事があるわけではない。
ただ暑いから 早くシャワーでも浴びたいだけなの。
制服であるブラウスの背中は汗まみれできっとブラジャーを浮きだたせているに違いない。

今日は可愛らしいピンクのブラだったけど 時には黒い色のブラをすることもある。
特に理由はない、ただ単に友達がよく身に着けているから私も、というくらいの感じなの。

期末試験も終わり かなりの点数だった私は 担任の先生から 入学試験の合格のお墨付きを頂いたばかりだった。
私は香月涼子、15歳。
高校受験を控える中学三年生。
燃えるような恋をしたい と言う歳でもない まだ15歳。
もちろん決まった相手がいるわけではない。
でも憧れている男の子はいる。
そんなことはすべて入試が終わってのこと・・・

なんて やや冷静になりすぎている私がいる。
だから もうすぐ夏休みなんだけど たぶん 勉強三昧で遊ぶ暇なんかないと思うわ。
担任の先生からは 合格するだろというお墨付きを頂いたんだけど 自分自身は不安でいっぱいなの。

私の希望校は近くにある有名女子高なんだけど そこの制服がこの辺りでは 可愛いと評判だわ。
私がその高校を第一希望にしたのもその制服を着たいがためだったかもしれないの。

家が近づくにつれ 知った人とすれ違うようになってくるわ。
知った人に会うたびに私は満面の笑みを浮かべ 軽い会釈をするの。
そんな些細なことで私は近所では評判の女の子になっていたのよ。
ただ単にお母様の言われる通りにしていただけなんだけど・・

やがて木々が覆い茂る大きな屋敷が見えてきたわ。
その家こそ 私の家なの。
ある時から気付いたんだけど 私んちって 結構なお金持ちみたいだわ。
友達の多くはお手伝いさんなんていないのに私んちには3人もいるのよ。
みんな おばちゃんばかりだけど・・・

門のところでインターフォンを押し 帰ってきたことを告げると 必ず誰かが迎えてくれる。
時にはお母様も。

今日は一番年長の八重さんだったわ。
「ただいま 八重さん・・」
「お帰りなさいませ お嬢様」
こんなやり取りは人が変わっても毎日のことだったわ。

私は自分の部屋に入り 大きなリボンを外し まずは汗だくのブラウスを脱いだの。
そして上半身 ブラだけになり それを映す鏡の前にたったのよ。
綺麗に伸びた髪は背中の真ん中まで伸び、切ることのなかった前髪を左右にわけていた私がいたの。