スタッフのみんなに伝えたい事。 | 山根大助オフィシャルブログ「山根大助のイタリアンな日々」Powered by Ameba

スタッフのみんなに伝えたい事。

このところ景気の低迷により、何となく世間全体がしみったれてつまらないと言うか、

僕を含め閉塞感に包まれている気がする。


レストランもご多分に漏れず、店を開けていればお客で溢れかえる訳ではなく、

やはり消費というのは高揚感、というか盛り上がりが無いと伸びていかない、

・・・というか気分的に消費を楽しめないんだと思う。


こういう状況の中で、僕自身が忘れていたなと思う事がいくつかあり、

反省を込めて、ここに記す。



お客様はポンテベッキオに何を求めて来るのか?


美味しい料理、気持ち良いサービス、雰囲気、調度や手に触れる物の質感、

心地よさ、・・・etc、他にも色々あるだろう。


でも、それは誰もが考える事。


僕は、ポンテベッキオらしさに特化した諸々が味わえる事だと思う。

ある意味の過剰さも必要だろう。


例えば僕は車が好きなので、解りやすくフェラーリを例にしよう。


フェラーリは車である。

だから、走るし止まる。移動が出来る。

それは当たり前。


でもフェラーリ買う人は、フェラーリらしさを買うのだ。

フェラーリは自分の魅力をよく理解している。

だから、エンジンは最低8気筒、12気筒ならもっと良い。


音も走りもすこぶる刺激的だ。

燃料キャップからドアミラーに至るまで、フェラーリだとすぐわかる魅力に溢れている。

欲しい人はもはや車を買っているんではなく、フェラーリという存在を手にする事を、

喜びとしているのだと思う。
その上動く。


アルファロメオは、まあ普通の車の部類に入るが、

大袈裟な程のグリルと、細部に至るまでのデザイン、音、

そして乗り味に特化した車だ。

乗るとテンション上がる。


好きな人にはたまらないが、仮にそれらを無くしたら平凡な車だ。

それを買う人は恐らくいない。


例えばポンテベッキオのどこかの店で、

トマトソースにカニの身が少し入ったパスタをお出ししたとする。

まあ美味しく出来るだろう。


でも、…普通。何の面白さも無い。


文句が出るようなものではないだろうが、何かが引っ掛かるだろうか?

もう一度食べたいと思ってもらえるだろうか?


フェラーリはそんな車を作らない。

アルファロメオもきっと何か狙ってくる。


僕らはスタッフ全員で、

何がポンテベッキオらしさで、

何がお客様の琴線を突くのか?

何が尾を引くような引っ掛かりを持つのか?

何が面白いのか?

必死で考えて仕掛けていかなければならない。


美味しい事は勿論だ。

それは最適調理を始めとする、明確な調理理論でクリアしていける。

余計な物を付け足さないシンプルな構成も、ポンテベッキオらしさではある。


でもプラスアルファがいる。

その事を、料理をするスタッフは全員がはっきり解っていなければならない。

メニュー開発の場では、その辺を踏まえて考えているつもりだが、

意識していないと面白さのポイントや表現が弱まり、

お客様に伝わらない。


何気ない一皿やパーツに、ポンテベッキオらしからぬ物が

提供されてしまう事は良くない。


全店を上げて徹底しなければならない。


僕らは5業態と物販部門を持っている。

それぞれセグメントは違うが、それぞれのセグメントでポンテベッキオをやり切っているだろうか?


BMWはたくさんのシリーズ(セグメント)を持っている。

凄いなと思うのは、彼等は自分達がどうあるべきかをよく理解している事だ。


安いモデルから一番高いモデルまで、徹底して精緻な回転をする

いかにも良く出来た機械を表現しているし、操縦性もスポーティーでスムース、

(駆け抜ける喜び)のキャッチコピーを正に体現している。


つまり、価格帯の違う、目的の違う店であるにも関わらず、

どの店もキチッとBMWの良さを出し切っているという事。


悪くない事は購入動機になりにくい。

アルファなんか、ある意味欠点のある車だと思うが、

それをわかった上でも欲しい人がいるというのが凄い所だ。


まさに、“欠点を無くしていくより長所を伸ばせ”だ。



そこでスタッフのみんなに問いたい。


みんな、欠点の少ない、まあ美味しいと言える

普通のおとなしい料理が作りたいのですか?


面白い、びっくりする程美味しい、「何すんねん」と呆れらるような、

アホな、過激な、そんな素敵な店で働きたいんじゃないの?


料理人の立場で書いたけど、勿論サービスも全く同じである。


そんな店にするのは、僕の仕事でもあるが、

みんなそれぞれが、そう強く願い、考え、常に問題提起していないと、

常にどうすればそうなるかアイディアを出し続けていなければ出来ないと思う。


言い換えれば、僕はポンテベッキオの山根を演じ続けなけらばならない。

みんなでポンテベッキオというビジネスをやり切る、演じ切る事ではないのかな。


ワンピースのルフィーは、ルフィーというキャラクターをやり切る。

読者を裏切ってはいけない。

多分作者はルフィーという設定を明確に持っていて、

色々なシチュエーションを与え、「ルフィーならどう言う?」「ルフィーならこう行動する」

という風に勝手に動き回らせているのだと思う。


もう一度原点に帰って、ポンテベッキオとは何なのか?

ポンテベッキオは何を期待されているのか?

ポンテベッキオならこうするだろう!


という事を、みんなと考え、やり切りたいと思う。


もっとお客様をくすぐり、惹きつけ、虜にする為に、あれこれ仕掛けよう!


きっと面白いぜパンチ!




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