矢崎千代二と藤田嗣治 | 山根大助オフィシャルブログ「山根大助のイタリアンな日々」Powered by Ameba

矢崎千代二と藤田嗣治

去年の暮れの日経新聞に

パステルを作っている小さな工場の事が載っていて

その記事にパステル画家、矢崎千代二の事と

彼の画が掲載されていた。

その記事を見た僕の母が、祖父の代から家にあった

昔の大阪を描いた風景画を思い出し

まさにその画が矢崎千代二のパステル画なのであった。

タッチもそっくりで夕日が好きなこの作家の画らしく

夕焼けに染まる大阪の街の画で(おそらく1930年くらいの)

煙突から煙が出ている朝日新聞社や

夕暮れ時に川沿いに光るガス灯や路面電車などと共に

印象的な橋が描かれていてポンテベッキオがオープンした頃

最初の店にずっと飾ってあった画である。

矢崎は放浪の画家だったらしく、どういう縁からか

祖父に本人が画を売りに来たらしい。

朝日新聞の社屋が大きく描かれている為、随分昔に

朝日新聞の方が買いに来た事があると聞いた。

ただ矢崎と言う人が著名な画家であるかどうかが

誰にも分からず家に置きっぱなしになっていたのが

新聞に出た事で「これ結構、ええ値段するんちゃうん!?」

となり、ちょっと調べたら美術展が何度も開かれている様子で

パステル画ではかなり著名な第一人者である事が分かった。

すっごい値段がするかどうかは分からなかった。


もう一枚、藤田嗣治の初期の猫の作品が家にある。

シンプルで凛とした猫が一匹描かれている画で

水彩画なのかリトグラフなのか木版画なのか良く分からない。

どちらも画として、とても好きで気に入っていただけなのだが、

つい不謹慎に「いくらすんのかな?」と言う世俗的且つ

無粋な興味で作家について調べてしまうのは、

人間性の問題か?景気が悪いせいか?

どちらの作家も1800年代後半に生まれて

藤田は日本とフランスで。矢崎は日本だけじゃなく世界中を旅して

相当な苦労をしながらも自分の作品世界を創り

多くの作品を残した素晴らしい人達であると言う事は

こんなきっかけながら知る事が出来た。

めでたし、めでたし、、、