上原選手、素晴らしい人間性です。是非、代表復帰を!」と応援してくださった方。

「大祐、新聞で見たよ!またホッケーしてるんだね!頑張ってね!」と言ってくださった方。

 
それとは反対に
 
「この記事は不快だね。」「なんでこの時期にこんな記事出すんだろうね」
など言ってくださった方。
 
色々な意見がある事はとってもありがたい事ですし、何よりもどちらの皆さんもいつも応援ありがとうございます!
 
では、その記事とは?
パラアイスホッケーの事を全く知らない方が書いた記事だと思いますので、
少し解説も含めて皆さんにパラアイスホッケーの事をお伝えし、2020年に向けてパラリンピックとメディアさんの関わり方について
お話ししたいと思います。
 
新聞でいうと、
まず、
1段目18行目の「反ドーピング」と書いてありますが、これを読むだけだと私がドーピング違反をした選手みたいに捉えられてしまいます。
ちなみに尿検査で引っかかったことはありません。
軽々しく「ドーピング」という言葉を使う事、パラリンピック前にこのような言葉を簡単に使う事、
私にとってもパラアイスホッケーにとっても、パラリンピック選手全体にとっても良い印象を与えません。
決して簡単に使う言葉でない事をメディアの方に理解して頂きたいと思います。
 
次に、
3段目の2行目「諭され」と12行目「代表で更生させたい」だが、そもそも私は「戻ってこないか」と誘われてるので、
更生も何もないと思う。まぁ~ここら辺はどうでもいいか。
 
更に、というかここはハッキリと言いたい!
4段目の1行目~3行目「長いブランクの影響は否めず、最終予選ではDFにコンバートされた」と書いてあるが、
そもそも、フォワードとディフェンスは役割分担であって、フォワードが出来ないので降格でディフェンスという考え方が間違っている。
それぞれの役割に上も下もない。チームとして戦うために必要な役割だ。
「世界で活躍するサッカー選手の長友選手はフォワードがダメで実力がないからディフェンスになった。」と書いてあったら、
皆さんはどう思いますか?
「あー実力がないんだ」って思う人はいないと思います。
ただ、この書き方をするとパラアイスホッケーを知らない人はディフェンスは能力が低い人がやるポジションだと勘違いします。
上記にも書きましたが、この記者はきっとパラアイスホッケーの事を知らないのだと思いますが、
そういう印象をこうして新聞としてみなさんに届けてしまうと、パラアイスホッケーをちゃんと知ってもらえません。
 
もう一度言います。
フォワードとディフェンスとゴールキーパーは役割であって、ランクでもなんでもありません。
ちなみに世界一のプレイヤーとして言われてる人たちはディフェンスであることが結構あります。
2002年に活躍したアメリカのシルベスターフリス。彼はチームを金メダルに導いた立役者です。
今でもまだ現役でプレーしているノルウェーのペデルセンも世界で認められた非常にレベルの高い選手です。
 
ディフェンスは守りの要でもあり、攻撃の起点でもあります。
ホッケーのディフェンスは他のスポーツのディフェンスとちょっと役割が違うような気がしています。
 
私がフォワードやっていた時は「とにかく点を取りに攻めるぞ!」でしたが、
ディフェンスをやり始めて、守りも攻めもしなくちゃいけないのが、ディフェンスだ!となった。
 
よって、ホッケーのディフェンスは全部を見てしっかりと動かないといけないし、
フォワードよりも難しかったり、色々な能力がいるな。と感じてます。
ディフェンスが機能するかどうかで、チームの状況や試合の流れに非常に大きく影響してくる。
そこが面白いと思って、私はディフェンスを希望した。
その希望が通って、ディフェンスになったのであって、フォワードが出来ないからディフェンスになったのではない。
 
次に、
4段目の11行目「試合勘がまだ戻ってないから1対1を外した」みたいな事が書いてあります。
1対1を外す事なんで世界で普通にあります。
という事は、世界の全プレイヤーが試合勘がないとなってしまいます。
プロの選手も外すこともあります。ホッケーとはそういうものです。
1対1の話で考えてみると、サッカーでいうPKのようなものがホッケーにもあります。(ホッケーはサッカーと違って、ゴールの前で止まって打つのでなく、リンクの真ん中からドリブルしていってキーパーと1対1でやります。)
サッカーは80%の確率でゴールが決まりますが、ホッケーは30%くらいの確率とサッカーに比べてだいぶ下がります。
 
最後に、
最後の段の残り4行です。
ホッケーはチームスポーツですので、チームをまとめる役目の人(まぁ、基本はキャプテンでしょうね)、ムードメーカー、指導が上手な人、先輩、後輩、様々な役割があります。
なので選手をまとめる事だけが役割ではないし、私は後輩を指導する役目だと思ってます。
それぞれの役割をしっかりとこなすことがチームスポーツであり、まとめる事だけが復活ではありません。
 
色々と書きましたが、今後も夏のスポーツも冬のスポーツもまだまだ知らない方が記事を書く事が増えていく事だと思います。
パラアイスホッケーは
・フォワードの降格がディフェンスではなくて、それぞれの役目であること
・チームをまとめるだけが全員の仕事ではなく、それぞれに役割があること。
・1対1で外すことは試合勘がないのではなく、プロでもある事であり、キーパーが駆け引きに勝ったということ。そしてそもそもこういう所を含めてスポーツの楽しさだと思います。
という事で、
・「あーあの選手、ディフェンスだから下のランクなんだね」
・「あの選手チームをまとめてないから駄目だね」
・「あっ、シュート外した!試合勘のない選手だからもっと試合すればいいのに!」
と思わないで欲しいと思います。
 
明日はアメリカ戦。
私の復帰に対して「おかえり!」「また一緒にホッケーが出来て嬉しいよ」と言って歓迎してくれるホッケー仲間たちが沢山います。
 
「元エース 復活への正念場」と題されてますが、
「2020年に向けてパラスポーツとメディアの付き合い方の正念場」という感じじゃないかと、この記事を見て感じました。
 
スポーツの事を知らずして、色々と書いたことで選手が潰されない2020年を迎えられますように。