「大祐は試合勘が戻ってないので、痛い目に合えばいい。そのために今日は沢山試合に出した」というような事を監督がメディアに応えたそうです。
それを聞いたとあるメディアの方が私にこう質問してきました。
「試合勘が戻ってないのは、合宿なども仕事で出れない時があり、アイスタイム(氷の上で練習している時間のこと)が原因では?どうなんですか?」と強い口調で言われました。
ちなみに今長野市ビックハットで開催されている大会の初戦で私はベストプレイヤーに選ばれました。試合勘がない私がベストプレイヤーに選ばれて良いのでしょうか?
確かに私は仕事で合宿に出れなかった事はあります。
何故なら、私はプロのホッケープレイヤーではなく、仕事をして生きているからです。
仕事を完全に辞めてスポーツだけしろ!となったら、日本の何人の選手が選手を辞めなくてはいけなくなるでしょう。
まだ、日本にスポーツだけで生きていく時代は来てません。
そもそも、誰と比べてアイスタイムが少ないんだろ?
年末年始に氷に乗ったり、各クラブチームで練習したり、健常者のチームにお願いして一緒に練習したり、これもアイスタイムです。
日本代表合宿だけがアイスタイムではありません。
そして、アイスタイムだけがホッケーではありません。
筋トレするのもホッケーのため。さて、筋トレは氷の上でしますか?違います。ジムだったり、家です。
動画を見て、動きを研究する。さて、動画を見るのは氷の上でしますか?違います。会議室だったり、家だったりです。
後輩に動きを教えてるために、紙に図を書いたりして説明する。さて、これは氷の上だけですることですか?違います。
上手い人の動画やNHLのプレーを見て研究する。さて、これは氷の上ですか?違います。家のテレビだったり、試合会場だったりします。
全てが氷の上だけで行われているわけではありません。
どんなスポーツも同じだと思います。
バスケットコートの中だけでバスケをしているわけではありません。
フィールドの中だけでサッカーをしているわけではありません。
それぞれが、それぞれの場所で、それぞれのスポーツをしているんです。
目に見えるものだけがスポーツではありません。
一人一人がイメージをしている、考えている、寝る前に今日のプレーはどうだったんだろ?
これも全て含めてスポーツです。
色んな積み重ねで上達していくんです。
それは今教えている後輩を見ていてとても感じています。
日々成長してくれている後輩に私はとっても感謝しているし、とっても嬉しく思っています。
これも全て含めてスポーツです。
きっと、アイスタイムで教えている時間より、オフアイスで教えている時間のが長いです。
でも、成長しています。
何故なら、これも全て含めてスポーツだからです。
ご飯を食べながら、コーヒーを飲みながら、同じチームメイトとコミュニケーションをとる。
そのことによって、お互いのやりたいことが理解できて、信頼が深まる。
これも全て含めてスポーツです。
今回は個人の取材は禁止というルールの中、廊下で声を掛けられて強い口調で言われる。
我々はルールの中でスポーツをしています。
是非、ルールの中で取材(スポーツ)をして欲しいと感じました。
2020年に向けてメディアの皆さんに取り上げて貰える機会が増えたのはありがたいですが、こうして潰されてしまう選手もいるのではないかと不安になる日でした。
選手も益々アスリートとして見られる時代になると思います。
選手も必死にやりながら、2020年以降がパラスポーツにとって良い状況になると良いですね。