上手の次に来るもの | 太亮の独言毒言

太亮の独言毒言

絵本作家、イラストレーター、デザイナー、アート・ワークショップなどで
活動している木村太亮の公式ブログ。
まあ、単なる戯言だとお聞き流し下さい。連絡先は、deeworks3623☆gmail.com

先日、とある若手のイラストレーターの子のファイルを見せてもらった。
とてもデッサン力もあるし、技術的には問題がない。てか神経質に巧みだ。
でもね、何か訴えてくる何かがない。

しばし考えて、僕は彼にこう答えた。
「絵の話だけれど音楽に例えて良い?」
「ハイ」
「音符ってのがあるでしょ。あれを間違いなく演奏出来るのは
素晴らしい事だと思うけれど、それだけでは人を感動させられない。
僕はそう思うんだよ」
「・・・・・・」
「それは巧みな技術者なんだと思うのね」
「ハァ」
「そこから上に行こうとしたら、音符を超えなければいけない」
「ウ~~~ン?」
「わざと外して描けと言っているのではないのだけれど、
何か魂持った時に音符の枠には収まらない一瞬がある。それが大事」
「ってことは、僕はまだ技術者なのかなあ?」

今度はこっちがウ~~~~ン?
「そんな事は僕は分からないよ。僕は君じゃないから」

んで、二人してしばらく「ウ~~~ン?」って唸っていた。

でもね、僕のワークショップで提唱している事が一つの答かな?と
さっき思いついた。
要するに「目指して構築して行くだけではダメ!」
ハプニングの連続で「出来ちゃった」の方が心に響く。
なぜと言われると、ちょっと困ってしまうが、たぶん、
「知識で描いていないから」だと思う。
「感性」だけで進めて行く作業だから心の深層の
何かに触れる事が出来るんじゃないかと思う。

技術は鍛錬で上達する。同時にテクニックの知識も増える。
でも「一発勝負」の気持ち良さからは
だんだん離れて行ってしまうんだと思う。

彼には「クロッキー」を勧めた。
たくさん失敗して、失敗した線を自分の作業だと認めてあげる事をしなさい!って
んで、それほどの描画力があるのなら下描きしなきゃいいじゃん。
とも勧めてしまった。

ウ~~~ン、若者の未来を迷わせてしまったかな?

真面目な子だけにちょっと心配。