布川事件の櫻井昌司さんが獄中で書いた詩
「母ちゃん・父ちゃんの死」を感情いつぱいに歌つた時

息子と重なって涙がこぼれたそうです。

「私たち夫婦は無実の息子が帰つてくるまで
どんなことがあつても死んではならない。
二人揃つて元気でいなくては」
そうだよね
足利事件の菅谷さんだつて
布川事件の櫻井さん、杉山さんだつて
塀の外に出てきたときには
この世にはいなかったんだよね
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『 父ちゃんへの手紙 』
「父ちゃん、変わりはありませんか」
書いた文字と共に
私の心は故郷へ飛ぶ
宅地化が進んだ故郷に
もう建って二十六年になる古びた我が家は
私が捕らわれた時のままで
帰りを待っている
今年も独りの冬を越した父のもとに
古びた我が家に
心は飛ぶ。
「こっちも元気です。ご安心下さい」
書いた文字の中に
私の心は父の思いを見る
十七年間
無実の罪を負う息子を持った親の心は
辛いこと
苦しいこと
哀しいこと
書けないことの数々を
何も書かない文字の中に読むだろう
父の思いを見る。
何を書いても
すべての思いは書けない
何を書いても
十七年間の思いは伝えられない
でも、私の心は
語り尽くせない思いを抱き
独りの家で背を丸める父の姿を見る
その姿に
今日の便りを書く。
「父ちゃん、もうすぐ春です。
希望を持って頑張りましょう。」
もう何度も
もう何度も書いた文字だけど
書くたびに文字と共に
私の心は故郷へ帰る
明日の春を信じて
今日も故郷の古びた家で
私の帰りを待つ父のもとに
心は帰る
「父ちゃん、もうすぐ春です。
頑張りましょう。」
( 1984. 1 ) 櫻井昌司
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寒い中
街頭で宣伝する日々
毎月の千葉刑務所の面会
身体が心配です

冤罪被害者の家族の生活は大変だと感じる夜です。