ギルがこの世界からいなくなって1年です。

「僕もこいつも、苦しいとか痛いとか苦手だから、無理な延命処置はやめて」

 

それが最初に先生に言ったこと

 

あの頃、緊急事態宣言が出て

 

僕は毎日一緒にいられた。

 

14年間、ずっとそばにいてくれた相棒

 

ずっと世間話をしながら、残った時間を過ごしていた。

 

1年前の今日、あまりに苦しそうなので病院へ

 

入院が決まり、自宅へ戻った瞬間

 

病院から「すぐに来てくれ」と電話があった

 

5分で病院についたら、もう息が止まるから声をかけてあげてくれと先生から言われた。

 

僕は声をかけた。

 

でもね。先生。

 

悲しいけど。

 

僕、プロの演出家なんだ。

 

先生の優しい嘘。

 

先生のお芝居。

 

全部分かっていたんだよね。

 

あの時、ギルの心臓は止まってたよね?

 

僕の気持ちを汲んで、お芝居してくれたんだよね?

 

僕らの別れを演出してくれたんだよね。

 

プロだから・・・

 

すぐに、それに気づいたけど

 

嬉しかったんですよ。

 

こんな優しい先生に、最後まで治療してもらえたんだなって・・・。

 

 

君がこの世界からいなくなってから

 

君がいたからこそ書けた「信長の犬」は帝国劇場で上演されたよ。

 

 

 

君がいたからこそ書けたこの作品は声優アワードのシナジー賞を取ったよ。

 

 

 

僕にとって、人間も犬もない

 

僕の人生によりそってくれた命です。

 

君とすごした日々はキラキラと輝いていて

僕の人生の宝物です。

 

1年

 

まるで昨日のよう

 

あいも変わらず

 

君が愛おしくて 寂しくて、悲しくて

 

大切です。

 

だから

 

君が「文翁の犬だ!」って誇れる人間になるように頑張るよ。