甘味桜のゆるゆる甘味処 -4ページ目

甘味桜のゆるゆる甘味処

このブログは私甘味桜がアニメの二次小説や感想を書くブログとなっています。
主なジャンルはハマトラのナイアト、黒バス黒子受け、ハイキュー!!の大菅などを書きたいと思っています。

「アート、調子はどうだ?」

カラリと病室の扉を開くと、レシオはベッドの上のアートに話しかけた。
キラキラとした美しい銀髪を、窓辺からの陽光に輝かせながら彼が軽やかに振り向く。

「もう随分楽になったよ」

ふわりと微笑んだその頬には、白い大きな絆創膏。他にも、首や腕には包帯がグルリと巻かれていた。


アートがレシオの病院に入院することになったのは、数日前のこと。

ここ最近横浜では、通り魔事件が多発しており、警察も犯人を必死になって追っていた。
その中にはもちろんアートも含まれており、彼は例のごとく身を削りながら、調査を進めていたのだ。
そして到頭、犯人を突き止め逮捕……という時。
その犯人が、人質を取ろうとした。
当然警察が、アートが、それを許すわけが無い。
彼は人質を取られる前に、犯人の持っていたナイフを取り上げようとしたのだ。

だが……

犯人も捕まらんと必死な状態。アートは、数箇所を切りつけられた。


この後、怪我をした状態ながらも、圧倒的な強さで犯人を伸ばした彼は、事件を解決まで導いたのだが……問題は更にその後だった。

方がつくまでの間、酷使し続けた体が悲鳴を上げた。
寝不足、過労、栄養不足に貧血。そして、今回の怪我。
解決した安堵感もあったのだろうか。アートは現場で倒れてしまった。そして、次に目を覚ました時には、病院のベッドの上。レシオに心配そうに見つめられていた、ということだ。


「痛みはもう引いてきたか?」

傷が痛まないよう、緩やかな動作で患部を見ながら、レシオが尋ねる。
アートは、先程の穏やかな笑みをそのままに、質問に返事を返した。

「お陰様で。もう殆ど痛みはないよ」
「そうか、ならいい。……それにしても、負傷して意識のないお前が運ばれて来た時は、流石に肝が冷えたぞ」
「それは申し訳ないと思ってるよ」
「お前の正義感の強さは利点だ。だが、無理をしすぎるのは感心しないな」

するりと銀糸に指を通す。
合わさった視線の先、美しい紫眼が悲しげになるのを見て、少しばかり心が痛む。
だが、これは事実なのだ。
どうか無理をしないで欲しい……そう願うのは、恋人として当たり前だ。

「ねぇ、レシオ」
「!?」

突如色っぽい声が自分を呼び、驚きに肩を震わす。
先程の悲しげな表情はどこにやら。
艶めいた目がこちらを見ていた。

「キスして、僕にいうことを聞かせて?」

そう言われてしまえば、お終いだった。
病人、ということを頭において、そっと唇に口付ける。
久しぶりに味わったそれは、とても柔らかく甘かった。


【了】