【地球の記録】記事より↓↓
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投稿日:2026年8月28日
主要な小麦輸出国すべてに問題が起きている
先日、In Deep で以下の記事を書かせていただきました。
食料供給警報:小麦の価格高騰と供給不足が避けられない理由
2026年8月24日
この記事では、世界の主な小麦輸出国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ロシア、ウクライナ等)のほぼすべてにおいて、今年の小麦収穫あるいは輸出量が大幅に減少する見込みについてふれています。
特にひどいのはアメリカで、小麦生産量が、「 1970年代以来 55年ぶりの歴史的な低水準になる」ことが確定的となっています。
また、ロシアとウクライナは、世界の 3分の1程度の小麦を輸出している食料供給の上で重要な国ですが、戦争によって「ほぼ輸出が停止している」状態です。戦争は激化しており、黒海ルートの輸出が再開される見込みは立っていません。
日本の小麦は、そのほとんどがアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入されているものですが、この中で重要となるオーストラリアも今年は生産量が 20%以上低下する見込みであることを、オーストラリアの ABC ニュースが報じていました。
この報道は、他にも、これからの食料問題に関する問題(ディーゼル燃料の高騰や不足、肥料の高騰や不足など)を述べていて、わかりやすい記事でしたので、ご紹介したいと思います。
なお、アメリカのディーゼル燃料在庫は「過去最低」の水準を記録しています。
現状では、多くの主要国では昨年までの小麦の在庫が積み上がっているため、すぐに価格が高騰したり、不足するということはないでしょうが、経済規模の小さな国では、かなり早くに小麦の不足や価格高騰が起きる可能性が高そうです。
オーストラリア ABC ニュースの報道です。
気候変動、戦争、燃料不足が飢饉への懸念を煽る
Climate, wars and fuel shortages foster famine fears
abc.net.au 2026/08/25

オーストラリアの農家は、昨年に比べて大幅な減産が見込まれる冬作物の収穫作業を進める一方で、エルニーニョ現象への備えを強めている。
どうやら、食料問題の第2ラウンドが始まりそうだ。
世界経済が燃料価格の高騰にようやく順応し始めた矢先、新たなインフレの波が押し寄せようとしている。
今回は食料不足が主な問題となり、地球上で最も貧しい国々が最も深刻な影響を受けるだろう。
投入コストの上昇、貿易ルートの混乱、気候変動という致命的な三重苦が重なり、食料供給、特に穀物、とりわけ小麦の供給が大幅に減少した。
オーストラリアを含む世界の食料輸出国は、精製燃料と肥料の価格高騰と、巨大なエルニーニョ現象の勢力拡大という二重苦に陥っている。
一方、中東と東ヨーロッパで起きている二つの戦争は、北半球における最近の収穫物からの食料供給に壊滅的な影響を与えている。
しかし、急速に変化する気象パターン --- エルニーニョ現象が猛威を振るう前から、ヨーロッパと北米の主要な食料供給地帯で山火事や干ばつが発生している --- が、農家が作付け計画を縮小する中で、問題をさらに悪化させている。
経験豊富で活動的であるオーストラリアの農家は、すでにエルニーニョ現象に備えている。
世界で最も乾燥した有人大陸で穀物を生産する際の気まぐれな状況に多くの人が適応してきた一方で、エルニーニョ現象によって引き起こされる気象パターンの変化(オーストラリア北部と東部の大部分で深刻な干ばつが発生している)は、ますます不規則になっている。
オーストラリアの農家が規模を縮小
小麦は、作付面積において地球上で最大の単一作物だ。
米やトウモロコシと同様に、穀物はより多くの最終製品量を生産する作物であり、人間の栄養にとって不可欠な主食である。
通常、オーストラリアは世界の小麦市場の 10~ 15%を供給している。
しかし、今年は例年とは全く異なる年になると予想されている。
小麦、大麦、キャノーラを含む冬作物の総収穫量は、昨年比で約 21%減少する見込みだ。
オーストラリア農業資源経済科学局(ABARES)によると、作付面積は 12%減少し、1090万ヘクタールになると予測されており、これは過去 6年間で最小となる。
「中東紛争は、世界の液体燃料と肥料の供給に大きな混乱をもたらしている」と、オーストラリア農業資源経済科学局は6月に報告した。
オーストラリアは肥料のほぼすべてを中東から輸入しているため、今年の大部分においてホルムズ海峡が閉鎖されたことは、地元の農業に深刻な影響を与えた。
「これまでのところ、供給の混乱は物理的な不足というよりも、投入コストの大幅な上昇という結果をもたらしている。ただし、植え付け時期の初期には、短期間の燃料供給停止が一部発生した」と報告書は述べている。
価格高騰により、生産者の利益率は圧迫されている。それに加えて、オーストラリア北部の耕作地域では極度の干ばつが続いているため、一部の農家が作付けで大きなリスクを負うことをためらうのも無理はない。
農業資源経済科学局の予測によると、2026~ 2027年の国内冬作物生産量は 21%減の 5450万トンとなる見込みだ。
ディーゼル価格が再び高騰
米国とイランの間で戦争終結に向けた交渉が決裂して以来、原油価格は 1バレル 90ドルを再び上回る水準まで急騰したが、これは高水準ではあるものの、今年初めに記録した 1バレル 126ドルのピーク時を大きく下回っている。
しかし、下のグラフが示すように、精製燃料(ディーゼルなど)の世界価格は、中東からの石油と精製燃料の供給が停止したイラン戦争初期の頃の法外な水準にまで急騰している。
それは、ウクライナによるロシアの石油精製所への継続的な爆撃によって、世界最大級のディーゼル燃料供給国の一つが市場から姿を消したためだ。
ディーゼル燃料価格は過去1年間で 45%以上上昇した。
過去1年間のディーゼル価格の推移

貿易制裁にもかかわらず、ロシアは通常、大量のディーゼル燃料をトルコに輸出し、トルコはそれを欧州市場に転用している。しかし今、ロシア国民たちが燃料を求めて列をなす中、ロシアは燃料の輸入を余儀なくされている。
ディーゼルは農業における主要な燃料であり、上記のような価格変動は利益率を極限まで押し下げるため、作付け計画に大きな影響を与える。
さらに、ウクライナへの攻撃は世界の小麦輸送にも混乱をもたらしている。
ロシアとウクライナは、世界の小麦貿易量のほぼ 3分の 1を占めている。しかし、黒海からの出荷は現在完全に停止している。
ロシアによるウクライナのオデッサ港への攻撃に対し、ウクライナはロシアのノヴォロシースクにある輸出施設を砲撃し、甚大な被害を与えた。
気候パターンの変化も一因となっている。
ウクライナはこれまで穀物輸出の代替ルートとしてドナウ川を利用してきた。しかし、深刻な干ばつにより、この水路は通行不能となった。
こうした異常気象は、ヨーロッパの生産者、特にフランスとドイツにおける収穫量の急激な減少につながった。
米国の干ばつとトランプの関税
FIFAワールドカップ開催中にワシントンがカナダの山火事の煙に覆われた時、それはホワイトハウスの人々にとっても、地球規模の気候変動が起きているという厳しい警告となるはずだった。
米国とカナダを合わせると、世界の小麦輸出量の 25~ 30%を占める。
しかし、アメリカは半世紀以上ぶりの最悪の小麦収穫量となる見込みで、1930年代の大恐慌時に大規模なダストボウルが発生したグレートプレーンズでは、再び深刻で壊滅的な干ばつに見舞われている。
近年の豊作により備蓄が積み上がったため、世界の小麦価格は上昇傾向にあるものの、差し迫った供給不足にはまだ対応できていない。
そして、別の種類の戦争もまた、世界の食料貿易の混乱に拍車をかけている。
ドナルド・トランプの強硬な貿易戦術により、多くの小国は小麦供給に関して米国と購入契約を結ばざるを得なくなった。
バングラデシュ、インドネシア、イスラエルは、自国の輸出に対する関税を回避するための相殺協定の一環として、他の供給業者よりも米国産小麦の購入を優先することに合意した。
しかし、この取り決めは、バングラデシュが自由市場で小麦を購入するのではなく、米国産小麦の取引価格を受け入れざるを得ないことを意味する。バングラデシュ国内では多くの人々がこの合意を非難し、再交渉を試みている。
インドネシアの取り決めはさらにひどい。関税を 19%に引き下げるためだけに、年間最大 200万トンの米国産小麦を購入することに同意したのだ。
すでに強い圧力にさらされているインドネシア経済は、食料品価格の大幅な上昇に耐えられる可能性は低い。
北アフリカや中東の干ばつに見舞われた国々では、食糧不足が深刻な政治的不安定をさらに悪化させるため、被害はさらに大きくなると予想される。

