吉野家、280円売れすぎジレンマ 第2弾「牛キムチクッパ」発売

 吉野家は1日、280円の低価格メニューの第2弾「牛キムチクッパ」を売り出した。9月に発売した第1弾の「牛鍋丼」は、1カ月足らずで1000万食を突破するヒットを記録。同月の既存店売上高は19カ月ぶりにプラスに浮上した。第2弾の投入で、一段の集客アップを狙う。ただ、280円メニューばかりが売れ、看板の牛丼を注文する客が減少。客単価が大幅に下がるという“ジレンマ”も抱えている。

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 牛キムチクッパは、「うまい、からい、やすい」がキャッチコピー。牛丼用の肉と自家製キムチにオリジナルスープを組み合わせた。カロリーは414キロカロリー(並盛)で、牛丼(並盛)の667キロカロリーの6割程度に抑え、弱点とされてきた女性客を取り込む戦略だ。

 1日から8日午後3時までは、牛キムチクッパを注文すると、生玉子か半熟玉子が無料で付くキャンペーンも実施する。

 吉野家は、すき家と松屋のライバルによる牛丼値下げの包囲網で“独り負け”の苦戦を強いられてきたが、牛鍋丼の発売で9月の既存店売上高は前年同月比5.9%増に浮上。来店客数が24.5%増と大きく伸び、安部修仁社長も「インパクトがあった」と、反転攻勢に手応えを感じている。

 ただ、来店客の約6割が牛鍋丼を注文した結果、客単価は15%減と大幅にダウンした。安部社長は280円メニューについて、「既存店売上高と客数の回復が目的」と説明するが、ここまでの単価の落ち込みを想定していたかどうかは分からない。

 牛キムチクッパの発売で、さらに280円メニューを注文する客の割合が増えれば、さらなる単価の下落は避けられず、売上高の伸びも抑えられる。「集客目的のため、利益率は高くない」(アナリスト)との見方もあり、利益的にも280円メニューの割合が高まるのは痛し痒しだ。

 さらに、牛丼以外に複数の主力メニューを販売することで、「原材料費や店舗運営のコストが上昇する」(同)との指摘もある。

 一時的ではなく、持続的な集客に加え、これを機会に女性やファミリーなどに客層を広げられるかが、吉野家復活のカギとなりそうだ。