Ch.1…ロンドとは何か?

◯ロンドとは…「ブロックを圧縮させて(コントロールして)置き去りを狙う戦い方」。ロンドの必須条件として、「推進力」がある。それがないと「置き去り」ができない。→「圧縮」するだけで「置き去り」にできないと逆効果になってしまう。

・ロンドで重要なのは、「ゲートの入口」を意識すること。ゲートの入口とは、DFとDFを結んだ線の手前のことで、どちらのDFからも等距離でDFからのパワーを受けにくい

・「ゲートの入口」が開いていれば、ゲートを突破する。一方で、ゲートが閉まっているなら、外が空いているので、外から攻める。

・ドリブルは相手に向かってするのではない。ゲートの入口に向かい、ゲートを通過する。

・ロンドの基本は、①「ゲートの入口」を目指してゲートを通過する、②圧縮させて外を使う、③相手を釣り出して、ブロック内へ侵入する。この3つを使い分けて相手を操ることがロンドの基本である。

◯ティキ・タカについて

・上述のようなロンドの距離を縮めたパスワークがティキ・タカである。引き寄せて、置き去りにするという狙いは、同じである。

ブロックの中で止まらないのがロンド、ティキ・タカの原則である。「ゲートの出口」に顔を出した時、そこでパスをもらえなかったら、そのままゲートの外へ移動していく。そして、次の人がそこを狙って入っていく。「ゲートの入口」と「ゲートの出口」を常に意識して狙い続けることで、自然と人が回転していくのがティキ・タカの特徴である。

ロンドは基本的に早くやる必要はない。早く動かなければいけないのは相手である。

Ch.2…ロンドの原理

◯ゲートの入口をとる

・ロンドの発動条件は、ボール支配率80%以上

ただ支配率が高いだけではなく、守備ブロックの中へ侵入するシーンが頻発する。

・全員が「するするドリブラー」である必要もある。最優先は相手を置き去りにすること。押し込み、油断をつく。そのための狙いとして、「ゲートの入口」を取る必要がある。

・一般に行われているサッカーの攻撃は、相手の裏を速くつくことを目的としている。一方、ロンドは相手を集めてから置き去りにするので、必ずしも速く攻める必要はない。

◯横つり出し

・まずは「逆自動ドア」を覚える。サッカーでは、攻める人が近づくとDFとDFの間が閉まり、遠ざかると開く。だから逆自動ドアと呼ぶ。

・横方向へ移動して、相手をつり出す。釣り出し方はなんでもいいが、「反発ターン」を使うと便利。「反発ターン」とは、腰を落とした状態からインサイドでボールを引いて、後ずさりするようなボールの持ち方。

・反発ターンは、相手に顔を向けた状態で後ろにドリブルするような感じになる。相手に背中を向けたり、横向きになると、一気にプレスをかけられ、圧力をまともに受ける。相手のプレスを止まって受けないことが大事。顔が向いているだけでも相手はプレスを躊躇する。

・相手をつり出すと同時に、サポートの選手はボールホルダーの選手の斜め下に移動する。ボールホルダーが「ゲートの入口」へパスを送り、パートナーはゲートの入口でボールを受ける。

・ここからは主に2択。ゲートが閉まっていなければ「ゲートの入口」を突破する。相手がゲートを閉めれば、外側が空くのでそこを使う。→その判断を「ゲートの入口」で行う。ゲートの状態を見る。正確に「ゲートの入口」を取れていないと、通過するにも外を使うにもうまくいかなくなるので重要。

◯縦つり出し

・相手をつり出して縦並びにする。つり出しとパス&ムーブで1人を置き去りにできていたら、もうゲートは開いている。この局面では2対1となるので、パスをもらってゲートをドリブルで通過してもいいし、パートナーがゲートへ移動し、そこへパスを出して通過してもよい。

無理ならキャンセルする。無理ならやり直す。無理な勝負はしないのがロンドのやり方。

・ロンドは相手を走らせ、動かして、操る戦い方。なので、強引さはあまり必要ない。

・「2を作る」…味方の後方(下につく)にポジショニングし、数的優位を作るロンド特有の動き。攻撃だけでなく、ボールを奪われた時のカバーの役割もある為、"攻守連動"の役割を持っている。

・"下につく"の定義…①ブロックの手前なら、相手ブロックの進行方向に対して"下"のポジショニング。②体を開いてカットインを狙う位置なら、カットインを狙う方向に対し"下"のポジショニング。

◯ゲートの入口…ゲートの入口と出口を結ぶ線がはっきりと見えていることがロンドの前提になる。①自分がゲートに向かうことで相手を圧縮させ、外側をオーバーラップする味方にパスを出せば、相手2人を置き去りにできる。②自分が縦にドリブルすることでゲートを開かせ、味方にゲートを通過させる。

・ワンツーは必要ない。ロンドはボールと一緒にゲートを突破して相手を置き去りにする。ワンツーだと相手を置き去りにできない。

◯もちつき…開いてを圧縮させるための手段。ゲートの入口に向かうと圧縮、入口から離れると相手が拡散する。

・ポイントは、「ゲートの入口」で決断すること。それより早いタイミングで外を使うと圧縮が足りないので相手に対応される。

◯インサイド持ち・つるけん…足のインサイドでボールを引きずるように移動し、相手にパワーをかけさせる。相手をつり出すためのボールの持ち方。つるけんは、上体をおこし、アウトサイドでボールをすぐに触れるように構えること。DFが少しでも動いたら、パッと抜く。

◯鏡の動き…ゲートの入口と出口でパサーと受け手が同じタイミングで現れるようにすること。早すぎても遅すぎてもよくない。

◯するするドリブル…ゲートの入口と出口が見えていれば、そこに相手が存在しないかのようにドリブルで抜けられるようになる。

Ch.3…ロンドの実践

・ロンドの基本はボール保持者の「下につく」。相手を中央に圧縮させ、外のスペースが空いたら外を使っていく。

「ゲートの入口」をとる、「ゲートの出口」に入る、タイミングが合わなければ、守備のブロックから抜けて別の選手が入ってくる。これを繰り返せば自然と旋回が起こる。

Ch.4…ロンドの技術

◯つるけん①…最小限の動きで相手の圧力を無力化する技術。顔は相手に向けるが、視線は相手の背後。ロンドでは、対面する敵は相手にしない。見るのは目の前の相手ではなく、その奥。

◯つるけん②…相手がピクッと動いた瞬間にかわす。つま先で小さいモーションでボールを押し出す。

意味もなく無駄に首を振らない。ポジショニングや体の向きに注意し、視野の確保を意識する。そうすれば、次に狙うことに集中できる。

◯パワーの利用…横や後ろに動くことで、わざと相手にパワーをかけさせる技術。その瞬間に入れ替わったり、ボールを隠しながら回ったりする。

◯ティキ・タカ…相手にパワーをかけさせて、「置き去り」を狙う。相手の背後へパスを出すのが目的。

・2をつくる…相手に寄せられたとしても、下についた選手にボールを下げれば、即座に相手の背後をつくパスが出せる。「2をつくる」時のポイントは2人が離れすぎないこと。

・パワーの利用…1つは横パスで相手を食いつかせる。例えば、受け手が少しボールを流し、相手が食いついたときにパサーに戻す。2つ目は、縦の関係を作り、パワーをかけさせる。敵に背中を向ける形でボールを受け、下についた選手にボールを下げる。そして横パスを使って相手のパワーを利用して、パワーをオフにする。そしてまた別の場所で「2をつくる」。

◯切る、まわる、ターン…相手のパワーを受けないボール運び。①「切る」足裏を使ってボールを引く急激な方向転換。相手の足が届かない十分な距離をとって使った方が有効。②「まわる」これは、「切る」よりも間合いが近いときに使う。ボールを隠しながら弧を描いてまわり、相手のパワーを受けずに方向を変える。大きく回ることがポイント。③「ターン」これは「まわる」の途中で相手がより強いパワーをかけてきた時に、逆をとる技術。

・「切る・まわる・ターン」を使うときは、常に顔を上げて「ゲートの入口」を確認しながらおこなうことが重要。