定期リハーサル初日後、
今回の定期で、当初予定されていた
アンガス・ウェブスターさんが政府の入国制限につき来日できなくなったことをうけ、
急遽、代役として指揮を務めてくださることになった松本宗利音さんに少しお話を伺いました。



 

 ⁃ 松本さんは、昨年11月に大阪フィルハーモニー会館で、本番をご一緒させていただいたのが初めての出会いでした。今回、定期演奏会を指揮される。ということですが、大阪フィルの印象はいかがでしょう?

松本「いやぁー。良く鳴るなぁーーーー。
それが、本当に素直に感じられました。
東京のオケなどは現在も最大で14型で定期演奏会をされているところも、多く...
私も指揮者としての本格的な活動が始まってすぐ、このコロナの時期にかかってしまったので...
16型の響きというものも、またとても新鮮で、

大阪フィルの音。というものをまさに肌で体感しています。」

 ⁃ そうですね。昨年11月にご一緒した時はオケは12型でしたので、その時とはまた印象が大分違うかもしれません。

松本「あと、やっぱり楽員さんみんなが温かいですね。なにかこちらがアクションをすると必ず返してくれる。というのがとても良いですね。」

 ⁃ 大阪人ですから笑。今回、選曲につきましては元々決められたいたものをそのまま引き継いで。という形になりましたが、いかがでしょう?それぞれの曲についてお話をうかがっても良いでしょうか?

松本「そうですね、アーノルドとブリテンについては、私も初めて指揮をします。
ですので0からの取り組みとなりました。
実は今回元々指揮をされる予定でした英国人のウェブスター氏が、8月後半時点で、もしかしたら入国できるかも。という連絡を受けていたのです。そのことを聞いて、なぁんだ。と思って一度スコアは棚に戻してしまったのですが。
やはり、入国制限が厳しく正式に自分が指揮をすることが決定されてから、まぁ集中して勉強しました(笑)」
松本「アーノルドの序曲については、大変わかりやすい曲ですよね。とてもとてもシンプルに描かれていますしメロディーもとても美しい。
オーバーチュアとして取り上げるのはとても良いと思います。
その分、ブリテンのVn協奏曲はとても複雑ですよね。今日はオケだけでのリハーサルでしたが。また、ソリストが入ってくると違ってくると思います。」

 ⁃ 今回、Vnのソリストを務めてくださる辻彩奈さんですが、彼女との演奏経験は今までには?

松本「はい、今年の春に。その時はチャイコフスキーをご一緒させていただきました。
そして、今回ブリテンの協奏曲をご一緒することになって、都内で事前に打ち合わせをさせていただいたのですが...
なんというか憑依したように弾かれるのですよ。
このブリテンの、反戦のメッセージだったり最後は眠りについていったり。すごい世界観のある曲なのですが、それを辻さんはとても素晴らしく表現してくださると思いました。」

松本「チャイコフスキーについては、日本での演奏回数が多すぎて、指揮者にとってもオケにとっても新しい発見をすることがとても難しいのですが、、、
実は私はロシアに行った時にオペラを聴きにいったりもしたのですが...マリインスキー歌劇場で、オケの音はピットからだったのですが
すごい音がするなぁ。と思いまして。音量ではなくて、音色が。なのですが。
今回、チャイコフスキーの5番も3日もリハーサルができますので、改めてピュアな気持ちでオーケストラの皆様と音作りをできたら。
と思います。」

 ⁃ ありがとうございます。最後に、大阪の皆様に一言メッセージをいただけますでしょうか。

松本「僕も大阪で育ったので、大阪フィルという存在は昔からとても大きなものでした。
朝比奈先生から大植英次氏、井上道義氏。
そして尾高先生と、全くカラーの違うマエストロ達と歩んできた大阪フィルの音というのは財産だと思います。
その中で、私なりのサウンドを大阪フィルの皆様と作り上げて行けたら。と思います。」

 

ありがとうございました!
 

文:山田俊介