ドヴォルザーク・セレクションII

2021年8月28日(土)午後2時開演
ザ・シンフォニーホール

指揮:尾高忠明
独奏:北村朋幹

Ant.ドヴォルザーク 作曲
    ・序曲「謝肉祭」作品92
    ・ピアノ協奏曲 ト短調 作品33
    ・交響曲 第8番 ト長調 作品88



8月4日に延期公演としてセレクションⅠ を終えたばかりですが、セレクションII も同月に続いてお届けします。


3つに分かれているセレクションには序曲が1曲ずつプログラムされていますが、
この3つの序曲は『自然と生命と愛』の演奏会用序曲の3部作を1曲ずつ取り上げています。

その中でもいちばん演奏機会が多いのが今回取り上げる序曲『謝肉祭』です。
1891年7月28日から9月12日までに作曲されました。


そこから遡ること2年。

1889年に交響曲第8番 ト長調 作品88、B.163が作曲されました。


1878年にブラームスと出会い、彼の推薦によりジムロック社から作品を出版する機会を貰います。
しかし長年続いていたジムロック社との関係が1887年頃からギクシャクしてきます。
出版社としては短い小品の作品を望んでいたのですが、ドヴォルザークはこれに応じる気がありませんでした。
その為にこの交響曲第8番も「大きな編成の楽曲はなかなか売れない」という理由で安く楽譜を買い取ろうとした為にドヴォルザークは作品を渡さず、イギリス・ロンドンのノヴェロ社から出版してしまいました。(この経緯から「ロンドン」「イギリス」の愛称で呼ぶ事もあります。)

第9番の新世界に続き人気のあるシンフォニーですが、この頃のドヴォルザークは、作曲家・指揮者として諸外国へ招かれる事も多く多忙な生活を送っていました。
それでも序曲と第8番の両曲の初演は、自身の指揮で母国チェコのプラハで行っている事から作曲家自身にとっても大切な作品であった事が伺えます。


今回の協奏曲は、ピアノ。

ソリストは、今年2月の定期演奏会にも出演してくださった北村朋幹さんです。

ピアノ協奏曲は、他の2曲よりも若い時期(35歳)に書かれた作品で、世の中に多数あるピアノ協奏曲の中では演奏機会があまりない楽曲です。
ドヴォルザークにとっては初めて協奏曲という分野に挑戦した楽曲であり、ピアニスト カレル・スラフコフスキーの依頼により1876年の秋に書き上げられました。
「ヴィルトゥオーゾの協奏曲を書き上げる事は自分には向いていない。」と言っていた様に管弦楽に重点が置かれた交響曲の様な楽曲になっています。






実はこのドヴォルザーク・セレクションに便乗して【生誕180年 ドヴォルザーク】の記念yearなので、大阪クラシック2021でもドヴォルザークのピアノ 四重奏第2番を取り上げる事にしました!(動画配信公演No.16)

第8番と同年に作曲された作品をブログ委員に新しく加わってくれているVn石原とVc石田が出演しますので、こちらもご注目頂けたら嬉しいです。

文:石田聖子