第547回定期演奏会について、井野邉さんに訊く!

Vol.2に続いてVol.3では

ヴィオラ特別契約の井野邉さんに

今回の演奏会のことについて特にお話を聞きました。

 

山田「それにしても今回は舞台転換も大変ですね」
尾高「そうなんですよ。ただ吉松さんの曲からモーツァルトのミサへはお客さんも少し気持ちを切り替える時間が必要です。
転換の時間に少しリラックスしてモーツァルトに期待していただきたい。
そして、モーツァルト→バルトークというカップリングはヨーロッパではよく演奏されます。」

山田「なるほど。転換の時間についてまでお考えなのですね。」

山田「ところで、井野邉さんは今回の曲は演奏のご経験は???」

井野邉「いや、ヴィオラはモーツァルトの戴冠ミサはないから...」

山田「ですよね笑」

尾高「危ない危ない。このインタビュー録音されてるから笑」

井野邉「吉松さんの曲はHPAC(※1)で下野さんの指揮でやったことがありました。
朱鷺のパタパタとかね。それで覚えてます。」

山田「パタパタ!コントラバスは楽譜にsenza.arcoと書かれていて最初なんのことかわかりませんでした...」

尾高「あれも色々やり方があるけど、それはまた練習でね。それにしてもあの一曲だけでも吉松隆という作曲家の価値があるかな。と思います」

山田「バルトークのオケコンでは3,4楽章にヴィオラから始まる大切な主題がありますよね。」

尾高「ヴィオラはね、意外といいとこ取りの曲が多かったりするんですよね。だからチェロが怒ったりして。普通ここはチェロだろ!というのがヴィオラに出てきてりする」

井野邉「僕としてはヴィオラセクションというのはサッカーでいうMFのようなポジションかな。と思ってるんですよね。
野球でいうならキャッチャー。
野手の中で1人だけ逆方向を向いていて、
俯瞰できるポジションにいる。
そういう思いをお話しする機会が、最近は多いです。」

井野邉「今回の定期の中で楽員の一人として
マエストロに伝えたいことがあるのですが、
尾高さんが大フィルに監督してきてくださって以来、ベートーヴェンやブラームスチクルスを経て、古典の弾き方からアーティキュレーションの処理に至るまで、我々にインプットしてくださったものが、これまでに積み重なってきて、、、
そういった過程を経た中で今、このタイミングで、バルトークのオケコンを演奏するということは
今までに我々がマエストロと共有させていただいているものを、お客様に示すことのできる、一つのマイル・ストーンのようなものになるのではないかと思うのですよね。
自分たちで置くマイル・ストーン。
それをマエストロと作って行けたら幸せだと思います」

尾高「もちろん、易しい曲ではないので...またしっかりとリハーサルで作り上げていかないとはいけないよね」

井野邉「そうですね。それでいてセクションの役割がすごく問われる曲でもありますし、
そういうところをマエストロと我々でお互いにプレゼンテーションをできたら嬉しいですね」

尾高「そうだね。バルトークのオケコンは
各楽章のキャラクターも明確に描かれている曲ですし、そういったところもしっかり表現したいですね。本当に楽しみです。」

※1 HPACは兵庫県立芸術文化センター管弦楽団の略称

文責:山田俊介