大阪国際フェスティバル「4オケの4大シンフォニー2020」
昨年4月に開催を予定していました「4オケの4大シンフォニー2020」が、皆様のお陰で2021年3月3日に振替開催されます。
大フィルは井上道義マエストロとベートヴェン交響曲第3番「英雄」
この「大阪国際フェスティバル」を創られた朝日新聞社主 村山美知子さんは、昨年99歳で他界されました。村山さんのご命日でもある3月3日に開催される「4オケの4大シンフォニー2021」村山さんと親交のあった井上マエストロに、思い出話しを伺いました。
大フィル会館 楽譜室にて
道義です!久しぶりに大フィルに来てまして、4オーケストラのフェスティバルというのがありまして、エロイカを振ってますが、そのフェスティバルの大元を創られた「村山美知子さん」の事を話したい。
彼女は99歳まで生きておられたのですが、僕が美知子さんと知り合ったのは彼女が70代の頃でした。村山さんというのは朝日新聞の社主を務められた方です。
1958年にフェスティバルホールを開館させ、同時に「大阪国際フェスティバル」を毎年開催してきました。
日本では、そういった立派な立場を前面に出す事は好まれないのですが、世界的に言えば、例えばスイス、フランス、イタリア、特にアメリカは、大きな企業のトップであることに責任を持って生きてるんですね。
で、その人達が勝手な事をやるのをとても皆嫌うんです。その人達がどういう風にお金を使うか、とても興味深く見てるんです。
その、いわゆるパトロンという意味では、村山さんは日本では大きな存在があったんですね。
例えば古くは京都にある金閣寺やお寺というのは、財を成した人の家がお寺という名前になって国宝になってたりするんですよね。
美知子さんは、それと同じような事をしてフェスティバルホールを作ったんですよ。
まだ日本にホールが無かった時、東京にも日比谷公会堂しかなかった頃にホールを作った。しかもホテルと一緒に作った。これは世界中から羨ましがられた。その後イギリスのロイヤルフェスティバルホールが真似をしました。ニューヨークのリンカーンセンターも。
ホールがホールだけでなく、何かと絡めて作るという事を世界で初めて村山美知子社主がやったと思います。
それで、大阪が物凄く元気だった。東京では出来ない事ができた。
ヨーロッパの一流の人たちを呼んできて東京では聞いたことのない演奏家も来てたから、東京からじゃんじゃん聴きにきてた時代もありました。
大阪国際フェスティバルの歩み
岩井:フェスティバルホールのリニューアルオープン前に、マエストロとご一緒に大フィルがフェスティバルホールで音響テストをしました。その時、村山さんもお越しくださいましたね。ーーーーーーー
井上:新しくなったフェスティバルホールは村山さんの意思を受け継がれててね、以前のような間口の広いステージだったりね。
しかも以前と同じようにVIP席があるなんて! 今や日本には無いよVIP席なんて(笑) で、フェスティバルホールのVIP席は良い音がするんだ。世の中の良いホールで切符の一番高い席なんて一番音が悪いんだよ(笑) 2階や1階の端に行った方が音が良い。
でもフェスティバルホールはVIP席が一番良い。これは売りですよ。あそこはいくら高くしても良い (笑)
村山さんが、反響板の四角いデコボコしてるのを見て「あれいったい何なの、あのデコボコしたの。何だか気持ち悪くない?」って言うんですよ(笑) はい、僕は言いました「見慣れてないからです」と。
「音響テストもして3階席もVIP席も良い音で聴けるようにするために、こういう形になった。見慣れたらなんでもないですから(笑)エッフェル塔だって最初にできた時はパリの住民は皆反対したからね」なんて話しましたね。
でも、とても喜んでいらっしゃいました。
そのしばらく前から、村山さんは転んで歩けなくなった...
皆さん、気を付けてください。年をとって歩けなくなるとダメなんだ。年を取る事は良い事なんだけど、健康で年を取ることくらい難しいことはないです。
不健康で生きるんだったら…早く死んだ方がましと僕は思ってますよ。僕は指揮者が年を取って、オケの皆が助けるような演奏をしてもらいたくないんで、決して80歳まで生きようとは思ってないです。
本当は75歳で首くくろうと思ってたんだけど(笑)…色んな事情で(笑)自分のオペラ作っちゃったもんで、えっと?76歳まではその仕事があるんで(笑)生きなきゃいけない状態になってきてる。
まぁそういう事もあるけれど...(笑)
幸いにして僕は癌で死にそうになったけど、今も喉はダメなんだけど、でもこうやって喋ることが出来て、なんとか元気でやってますが、残念ながら村山さんは寝たきりになってた。
何度も病院に行きましたけど、最初のうちは僕が行くとパッと起きて1時間くらい喋ってくれてたのが、だんだん目が覚めてもすぐ寝ちゃう...僕の事が分からなくなってきて...最後は寝たままで...
お葬式は、大フィルと一緒に、とても良いお別れの会をやらせていただきました。
(井上マエストロの指揮でワーグナー「ジークフリート牧歌」を献奏いたしました)
村山社主 お別れの会 2020年9月1日
これからも、フェスティバルホールと大フィルが一緒に、良い大阪の優れたオーケストラになってくれることを!
僕は同級生の尾高君を応援してますが、フェスティバルホールで大フィルらしさをどんどん出して。
大きなオーケストラじゃないと鳴りきらないホールだからね、頑張ってほしい。
皆さんも是非応援してください!
聞き手:ヴィオラ奏者 岩井英樹
●大阪府の緊急事態宣言解除に伴い、クラシックコンサートは収容率100%での開催が認められましたので、3月1日(月)10:00~チケット再販売を開始いたします。当日券もございます。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
第58回大阪国際フェスティバル2020
日本取引所グループ(JPX) Special
4オケの4大シンフォニー2020
ベートーヴェン生誕250年
【振替公演】
開演/14:00
◆井上道義指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
曲目/ベートーヴェン:交響曲 第3番「英雄」
◆藤岡幸夫指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団 ※指揮者が変更となりました。
曲目/ベートーヴェン:交響曲 第5番「運命」
◆飯森範親指揮 日本センチュリー交響楽団
曲目/ベートーヴェン:交響曲 第6番「田園」
◆外山雄三指揮 大阪交響楽団
曲目/ベートーヴェン:交響曲 第7番
※2020年4月18日(土)の振替公演です。
料金/S 9,000円 A 7,500円 BOX 14,000円 バルコニーBOX(2席セット)18,000円 学生席 1,000円
チケット再販売/2020年11月28日(土)
お問い合わせ/フェスティバルホール 06-6231-2221
主催:朝日新聞文化財団、朝日新聞社、大阪国際フェスティバル協会、フェスティバルホール、大阪交響楽団、大阪フィルハーモニー協会、関西フィルハーモニー管弦楽団、日本センチュリー交響楽団
特別協賛:日本取引所グループ(JPX)
協賛:朝日放送グループホールディングス、竹中工務店