2021年最初の定期演奏会は、待望のエリアフ・インバル氏指揮による、
プロコフィエフ交響曲第1番ニ長調作品25 古典交響曲
ショスタコーヴィチ交響曲第10番ホ短調作品93
ロシアプログラムで無事開催されました。

新型コロナウイルスによる多大なる影響による渡航や入国制限により、海外音楽家の来日が非常に困難となっている状況の中、インバル氏は2週間の隔離期間も受け入れて登壇してくださいました。


日本のお客様へ音楽を届けたいという一心で、強い決意と共に来阪してくださったことに大フィル一同感謝と喜びの気持ちでいっぱいでした。


2017年7月第510回定期演奏会でマーラー交響曲第6番悲劇的の演奏をして以来、3年ぶりの登場となったインバル氏の音楽への情熱は、私たちの想像を遥かに超え、リハーサルから2日間の本番の最後の音の瞬間までとても刺激的な1週間を過ごしました。

インバル氏の指示により、弦楽器の配置は普段の大フィルとは異なり、第1ヴァイオリンの向かい側にチェロという並びで行います。
(客席から見て左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン 、ヴィオラ、チェロ)

ちなみにこれは、マエストロのこだわりの配置で、毎回このように並んでいるのが特徴です。









 





この配置によって、特にショスタコーヴィチは低弦・低音パートの重厚感のある動きと、ヴァイオリンなどの高音楽器の速い音型のコントラストや、ユニゾン(全員が同じ音型を演奏する)の一体感が特徴的なので、今回の配置によってよりそれらがよりくっきりと浮き出たのではないかと感じました。

今回のプログラムは、2作品とも弦楽器は目まぐるしく駆け巡る旋律がとても多く、運動神経、体力、集中力、そして前述した長大なユニゾンの部分には精神的な忍耐力も必要です。

弦楽器にとってはこの2作品を全力で演奏した後は、弓を持つ右手の運動量が多く、とても鍛えられたような感覚があります!

 


インバル氏の指示、彼の持つ作品へのイメージやテンポ、フレーズどれもとても明快で、リハーサルからとても生き生きとされていましたが、本番中はそれがさらにパワーアップして、音楽できる喜びを噛み締めているような充実感に満ちた素敵な表情でした。




初日の本番後に、楽屋エレベーターでインバル氏とお会いしたときに、私は一番感じていたことを質問をしてみました、
宮田「マエストロはどうしてそれほどまでにお若いのですか?」
インバル氏「音楽だよ!音楽が僕をそうさせるんだよ、オケのプレーヤーも音楽を常に生き生きと演奏し続けれる人は、長生きするよ!!!」
とおっしゃっていました。

とても単純なことだよ、当たり前じゃないか!という雰囲気でおっしゃるマエストロに、こういう時代だからこそ原点が大事だと、大切なことに改めて気づかされた爽快な1週間でした。

【左から、Tp高見、Vn宮田、インバル氏、Fg日比野、コンサートマスター崔氏】



Vn宮田 英恵