大阪クラシック2020 

9月18日(金) 第16公演 大阪市中央公会堂 中集会室

 

ベートーヴェン 七重奏曲

 

【メンバー】

ヴァイオリン 宮田 英恵

ヴィオラ   佐藤 まり子

チェロ    石田 聖子

コントラバス 山田 俊介

クラリネット 田本 摂理

ファゴット  日比野 希美

ホルン    高橋 将純

 

 

 大阪クラシック5日目の夜、中央公会堂の中集会室にて、ベートーヴェンの七重奏曲の公演が終演しました!

 ヴァイオリンの宮田英恵さんを中心に集まったこのメンバーは、今年の大阪クラシックで初めて結成されたメンバーでしたが、リハーサル初日からとにかく雰囲気がよく、真剣なリハーサルの中にも笑顔の絶えない最高のメンバーでした。

 

 「この作品は私がずっとずっと温めてきた大切な作品で、ベートーヴェンイヤーのこの年、今日のためにとっておきました」という、宮田さんのトークから始まったコンサート。

 一回一回のリハーサルも、とにかく真剣にみっちりと行われ、メンバー全員のこの作品と演奏会にかける想いがとても大きいことを、全員がステージの上で感じる中、コンサートが始まりました。

 

 

 この作品は全6楽章から成る大曲ですが、本番というのはやはり本当にあっという間で、終楽章のテーマが始まった瞬間に、「あぁこの素晴らしい時間があと少しで終わってしまうなぁ…」と思いながら演奏していました。

 

 

 音楽を心から愛するメンバー7人が集まってこの素晴らしい作品を演奏することができたことに、本当に心からの幸せを感じたコンサートとなりました。

 

 

 

 終演後にメンバー全員で撮影!最高の音楽のあとの、みんなのこの笑顔(^^)

 

 

 

 

 この作品はヴァイオリンが大変に活躍する作品ですが、同じくらいにクラリネットも大活躍する作品です。

 2楽章冒頭のテーマをはじめ、素晴らしい演奏をしてくださったクラリネットの田本さんからも、メッセージをいただきました。

 



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 本番当日の朝、TVを点けると、ベートーヴェンが残した「不滅の恋人」への手紙から、その恋人を解き明かすという内容の番組を放送していた (2001年制作の再放送)。奇しくも、ベートーヴェンを演奏する日に流れてきた事もあり、薄識?!な私は興味深く観いってしまった。

 その番組によると…、ベートーヴェンは耳の治療の為、チェコの温泉地を何度か訪れた。不滅の恋人への手紙は、その時に近くの別の温泉地を訪れる事が分かっていた貴族の令嬢・ブレンターノ (既婚者) に宛てた物との説が有力らしい。

 その滞在中に、どうやら二人は会うことにも成功したようだった。ベートーヴェンのチェコとの関わりは意外にも?深く、交響曲第7番の2楽章はボヘミアの音楽からヒントを得ていたり、第8番に至っては、なかなか結婚まで辿り着けない自分達の切ない恋の渦中、異国で出会うことが出来た喜びを表しているという。

 唯一、彼の交響曲の中で、誰にも献呈されていない (献呈のために書いていない) 曲でもある。ちなみに交響曲第8番は、今回の大阪クラシックラストコンサートで演奏した。


 今回の七重奏曲と直接関わる内容は無かったし、後にこのような人生を送るとは想像だにしなかった頃の作品だから、この曲へのヒントは勿論得られなかった。

 だが、ベートーヴェンという人が送った人生のほんの一片でも知る (想像する) 事により、作品に対するイメージはガラリと変わる。


 「ベートーヴェンの若々しい生き生きとしたニュアンスを出そう」という言葉が練習中に飛び交っていたのを思い出す。

 「苦悩の人生」というイメージが拭えないベートーヴェンだが、作品20というこの曲には、そのイメージは不要なのではないか、という確信 (少なくとも今夜演奏する時には) を持って家を出たのだった。


 今年はコロナ禍にあって、ベートーヴェンイヤーである事が薄れてしまっている。そんな中、気のおけない仲間とこの作品が演奏出来たことは忘れられない経験となった。

 皆、素晴らしい時間をありがとう!!


 クラリネット 田本 摂理

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 またこのメンバーで皆さまに音楽をお届けできますように。


 

 今年も大阪クラシックを開催出来たことに心からの感謝を込めて

ファゴット 日比野 希美