楽器:ファゴット

大フィル歴:2015年入団

学歴:愛知県立芸術大学音楽学部卒業。同大学院修了。

 

 

岩井「ノンちゃん(普段、日比野さんをこう呼んでます)色々聞いちゃうよ、良い?」

 

日比野「はーい、よろしくお願いしま~す。」

日比野希美(のぞみ)さんです~。2ndファゴット奏者です。

 

岩井「ファゴットは何時から始めたの?」

 

日比野「高校のオーケストラ部で始めました。オーボエが希望だったのですが、顧問の先生にファゴットを薦められて。それまでファゴットは全く見たことも聴いた事もなかったのですが(笑)。でも、すぐにファゴットの魅力にハマりました。

高校2年生から*青谷先生に習い始めて、さらに面白くなって、ファゴットで音楽大学に行きたいと思うようになって。でも先生は、何を言ってんの?皆もっと中学から習って大学に行くってのに!と言われましたが、レッスンの度に課題よりももっと練習して頑張ったら、先生が、じゃあ挑戦してみるか!と言ってくださり…」

 

岩井「高2から受験準備って!頑張ったね。」

 

日比野「元々ピアノで音楽高校に行きたかったのを断念した経験から、音楽大学入試の課題は把握してたのと、その勉強も積み上げていたので、無事音楽大学に入学でき、大学院でも学べました。」

 

岩井「コロナの自粛、長かったよね。何か感じる事はあった?」

 

日比野「毎日のように公演キャンセルという連絡がきて、みるみる想像以上の事が世界中で起きて、信じられない日々で…でも、こんなに四季って移ろうのかと感じたりもしてました。コロナで自粛中、個人的に人生の大きな転機がありましたが、普段見過ごしてる事って多かったんだなって。桜が咲き、新緑になり…今まで分かってるつもりだった四季を改めて感じてました。」

 

自然の多い場所まで車で出掛けてお散歩。

 

岩井「コロナ太りとか、体調管理で困ってる方が多いけど、ノンちゃん健康そうだね。」

 

日比野「健康管理は、もう趣味のようになってて、早寝早起きの規則正しい生活と食生活もコントロールを続けられたので、とても元気で~す。」

 

岩井「ようやく少しずつ公演が再開されました。」

 

日比野「再開最初の6月の尾高先生の公演。こんなに演奏できる事が幸せで奇跡なんだと凄く思いました。これからも、一つ一つの演奏会ができる幸せを忘れず、演奏していきたいなと思ってます。」

 

岩井「我々も9月から本格的にコンサート再開ですが、9月と言えば大阪クラシックだよね。」

 

日比野「今年も開催される事が本当に嬉しいです。今年は全体が例年と違うスケジュールですが、ベートーヴェン七重奏曲と、ドボルジャークのセレナーデを演奏します。ドボルジャークの管楽器は今回普段の1st、2ndを入れ替えて演奏するんですよ。つまり私が1stで小林さんが2nd。他のパートもそうなんです。お楽しみに。」

 

岩井「演奏家として経験も積み上げてきました。今、音楽家として自分がこうありたいと思うことに変化はありますか?

 

日比野「学生の頃は演奏が上手くなりたいと一生懸命で、イタリアのファゴット奏者、セルジオ・アッツォリーニさんが大好きで、そういう奏者になりたいとかでした。でもここ最近思うのは、音楽というのは自分の生きていることが全て、過ごしている時間や自分の生きざまが音楽の全てなのだと感じるようになって。そういう、自分の感じた事や経験した事を、どんな些細なことも見過ごすことなく、それらを演奏という形で投影できるような音楽家になりたいと心から思います。」

 

岩井「おぉぉ悟ってるね!生き方がにじみ出るみたいな音楽家ね。僕らの先輩にも沢山いらっしゃるよね。浅川さんとかね。ところで2ndファゴット奏者って、コントラ・ファゴットも担当だから、準備も大変でしょ?両立は大変じゃないの?」

 

日比野「実はファゴットとコントラ・ファゴットを別物と感じたことがなくて、私はファゴットの延長線上にコントラ・ファゴットがあると思ってるので、コントラを特別扱いする事が無いんです。その辺色々お話しを聞くと、他の奏者さんとは違うなと感じる事もありますけどね。コントラって遣り甲斐があって、コントラは2ndファゴットと違って自分を出しやすいから好きなんです。」

コントラ・ファゴット。こっそり写っているのは、体格がコントラ(笑)なホルン奏者 高橋君。

 

ノンちゃんとコントラ・ファゴットは身長同じです(笑)

 

コントラ・ファゴットは分解できないので、そのまま入る特大ケース。ツアーケースなので頑丈で重量もあります。

 

相棒のコントラ・ファゴットと同じ身長のノンちゃん。ケースの上でお昼寝もできます(笑)…ってのは冗談です。

(良い子は真似をしないでね)

 

岩井「凄いなぁ、常に自然体でポジティブだよね。ところでノンちゃんって、いつもニコニコしてるけど、怒ったりしないの?」

 

日比野「んんん…争うことに良さを見いだせないと思ってるので…もうちょっと「怒り」というものを覚えると音楽も変わるのかなぁ?と思いますけど…」

 

岩井「さすがノンちゃんだよな。今のままが最高に良いよ。他に今思うことを聞かせて。」

 

日比野「わたしは普段、演奏と同じくらい、もしくはそれ以上に大切にしていることがあって…それはお越し下さったお客様、日頃から大フィルを応援してくださっている方々とお話させていただくお時間なんです。今演奏会をしても、どうしても終演後お客様と交流をさせていただくことが難しく、帰る時にいつも寂しいなと思ってるんです。お客様とお話しするのが大好きなので、はやく以前のようになってくれたらな…。それと、今年も第九で締めくくれたらなと願ってます。」

 

岩井「ほんと、そうだね。全ての音楽家が普通にステージに上がれる日が早く訪れるよう願おうね。今日はありがとう。」

 

日比野「こちらこそ、楽しい時間をありがとうございました。」

 

 

*青谷良明さんは元名古屋フィルハーモニー交響楽団ファゴット奏者で愛知県立芸術大学の元非常勤講師。