客演首席チェロ奏者 花崎薫 インタビュー
・楽器を初めて何年になりますか。 50年になります
・大フィルに所属して何年経ちましたか。 2013年2月からなので7年になります。
・プロフィール
東京藝大、ベルリン芸大卒業、新日フィル首席奏者として25年務め、現在 愛知県立芸術大学 音楽学部教授。 東京藝術大学、武蔵野音楽大学、相愛大学、名古屋音楽大学などでも後進の指導にも力を入れ ている。
今回はチェロパートのボス、花崎薫さんにお話しを伺っていきたいと思います。
大フィルの中にも「花崎先生」として大学時代からお世話になった同僚も沢山いますが、長年 新日本フィルで崔コンマスと信頼関係も築いてきた花崎さんが大フィルにいらして頂き、 7年になります。
今回は、今までオーケストラでの色々な経験もふまえてお話を伺っていきた いと思います。
石田 「大フィルの活動再開の第一弾は、定期正会員向けの非公開の演奏会でしたが、久しぶ りにオーケストラで演奏した時の感想はあるでしょうか。」
花崎 「特に深い感懐があったわけではありませんが、ジュピター*はいい曲だなぁと改めて 感じました。」
石田「その後6月の演奏会から1ヶ月でブルックナー、16型にソーシャルディスタンスの距離で の演奏でしたが、どう感じましたか?」
花崎 「奏者同士の距離が通常の倍くらいあり、お互いのコンタクトが取りにくかったですが、
譜面を一人で見られるのはありがたい(最近眼が悪くなってます)」
石田「大フィルでもブルックナーの6番は26年ぶり、定期で取り上げるのは35年ぶり。
なかなか演奏される機会が少ない曲でしたが、
長年オーケストラで演奏されている花崎さんにとっては、どんな感想をもたれましたか?」
花崎 「6番は初めてでした。多分2番などと同じく少ないと思いますが、実は5番も多分2回しか弾いておりません。
1回目は大学1年生の時で、新日本フィルのエキストラに初めて行った時でした。
指揮は朝比奈 先生でした。」
石田「朝比奈先生とは、ほかにもどんなプログラムを新日では共演されましたか。」
花崎「たくさん共演しました。ワーグナー指輪全部、ベートーヴェンシンフォニー全曲、ミ サ・ソレムニス、ブラームスシンフォニー、協奏曲、など全作品、マーラー大地の歌、etc.
特にブラームスの*ピアノ協奏曲2番(第3楽章にチェロの長いソロがあります。) は、先生と2回やってます。
ソリストはいずれも園田隆弘先生。
同じ指揮者、ソリストと2回やるのも珍しいですね。」
石田「7月の定期演奏会を指揮された飯守泰次郎さんとも共演は今まで多いと思いますが、印象に残る演奏会 は何かありましたか?」
花崎「特にこの曲というのは無いのですが、いつも飯守さんの言葉の奥にある音楽を何とか表 現できたらと思います。
実は一度、シューベルトのアルペジョーネソナタを聴いていただいたことがあります。 とてもいいレッスンをしてくださいました。」
石田「えっ、レッスンをして頂いたのですか、それは凄いですね!」
石田「今は大学での指導がお仕事の中心だと思いますが、お忙しい中でもオーケストラを続けたいなという思いは何故でしょうか。」
花崎「一番の理由はオーケストラが好きだからです。後は素晴らしい指揮者、ソリスト、素晴らしいオケの仲間たちに会えるからでしょうか。」
ケルン音楽大学元教授、クラウス・カンギーサー先生との焼き鳥屋での一枚です。
彼はもう75歳になりますが年齢を感じさせないエネルギッシュな方で、このときも大学の学生オーケストラの公演でR. シュトラウスのドン・キホーテの素晴らしいソロの演奏を披露して下さいました。
もう1枚は2016年6月定期終演後**
文楽の三味線・鶴澤清志郎が演奏会にいらして下さいました。
右側から
花崎・鶴澤清志郎・石田・崔・服部・Procházková 尚子(エリシュカさんの通訳・トロンボーン奏者)
文楽は好きで以前よく鑑賞に行きました。(歌舞伎も好きです)
思いもかけず鶴澤清志郎さんにお目にかかることができ、年甲斐も無くミーハーになってしまいました。
石田「コロナ騒動後のご意見や生活のスタイルの変化などを教えてください。最後に今後(今 年)、どの様な事をしていきたいですか? 」
花崎「普段家にいられることが少ないので、久しぶりに(というか初めて)ずっと家にいられ たのは嬉しかったです。
楽譜、CD、の整理もできたし。ただお気に入りの飲み屋、食べ物屋に行かれないのが 残念です。
昨年、ベートーヴェンのチェロ作品全曲コンサート***で弾きましたので、来年レコーデ ィングする予定でいます。」
石田「大阪でも昨年はベートーヴェン の演奏会を行なってくださいましたが、CDも楽しみです!」
本日はありがとうございました。
* モーツァルト作曲 交響曲第41番 ハ長調 K. 551 「ジュピター」
* *指揮:ラドミル・エリシュカ
ドヴォルザーク/スターバト・マーテル
***昨年、東京文化会館小ホールにてベートーヴェン のチェロとピアノの作品全曲演奏会を2日 間(二週に渡り)で取り上げる演奏会を行いました。 またこの演奏会は、クラシック雑誌『音学の友』2月号にてベートーヴェンクライスの副代 表 平野昭先生が「評論家が選ぶ2019年のコンサートベスト10」に選出して下さいました。