楽器:バストロンボーン
大フィル歴:1984年入団
楽器歴:45年

山田「今日はすみません!リハ前のデリケートなお時間に!
時間もないので早速お話をうかがってもよいでしょうか?」
吉田「はい、よろしく。」


 

山田「ようやく、大フィルも少しずつ活動が始められるようになりましたが
今、音楽を演奏できることに何か感じることはありますか?」
吉田「まぁ、今やっと活動が始められて・・・
休み中に音楽活動が何もできないジレンマというか・・・
レッスンもできなかった
だから今、音楽ができてすごい喜びというか。初心に戻ってるなという感じが
すごいする。オケができて良かったな。と感じています。」
山田「吉田さんはご自宅で音出しはできるのですか?」
吉田「それは、できるよ。有り難いことに」
山田「それは良いですね。金管楽器の方は中々皆様音出しにも苦労されてるようなので…」

山田「今回、大フィルの十八番とも言えるブルックナーを定期演奏会で大フィル本来の16型でようやく演奏できるわけですが、何か思うところはありますでしょうか?」
吉田「ブルックナー自体を演奏することもすごい久しぶりな感じがとてもするし…
昔(朝比奈先生時代)は、毎年ブルックナーを4曲、5曲していたからね…
僕はブルックナー自体に特別な思い入れがあるわけではないけど、
大フィルでブルックナーを振った指揮者というのは、
朝比奈先生がご存命の間は、朝比奈先生以外では尾高さん、パーヴォ・ヤルヴィ氏と…
下野さんもだったかな…そういう方々だけだったので、今回の定期で飯守先生と
ブルックナーを演奏できるのが、とても楽しみですね。
飯守先生自体とご一緒するのも僕はかなり久しぶりだし、どんな演奏になるのか
とても期待しています。」
山田「僕もブルックナーの6番を演奏するのは初めてなので、新しい体験にワクワクしています。」

↑吉田が入団した翌年の朝比奈先生指揮でのブルックナー6番を演奏した時のプログラム


山田「ブルックナーと言えばオルガンを思わせる金管の重厚なサウンドを思い浮かべますが、朝比奈先生時代を体験していた金管奏者として、大フィルの若手奏者に伝えたい思いなどはありますか?」
吉田「この間、カーテンコールで配信されていた大フィルの昔の映像を見て…
正直みんなどうやって出ているんだろう?と思ったりもする笑
ただ、映像なしに音だけで聞いてみると結構自然にタイミングも音楽も流れていて。
独特な音色があって…映像と鳴っている音のギャップが…あれはあれで一つのスタイルだったかな。
今の大フィルは本当に洗練されてきていて…昔はいつ止まるかヒヤヒヤしたりもした。」
山田「(・_・;)汗」
吉田「だから、皆さん朝比奈先生のブルックナーを継承して今の大フィルがあるとおっしゃるんですが、僕の感覚としては、もはや昔とは違うオケという印象がある」
山田「そうですね。確かに、伝統とは受け継ぐものであり進化させるものとも思います」



山田「今後の活動もまだまだ先は見通せない状況ですが…大フィルのファンやお客様に伝えたいことはありますでしょうか?」
吉田「6月の定期で久しぶりにフェスティバルホールでお客様に演奏を聴いていただいて…正直、ちょっと涙が…大植さんに『おじぎしましょう!』って言われた時は感じ入ってしまった。
ここだけの話、昔に先輩からお客様のためだけに演奏してはいけない。自分達が楽しめないとお客様も楽しめない。と言われたことがあるんだけど…
やっぱりこうしてホールにお客様が入って演奏すると、
聴いてくださる方がいてこその我々演奏家だな。と改めて思いました。
これからも、お客様に演奏を届けるために頑張っていきたいです。」
山田「低音の仲間として一緒に頑張っていきましょう!」

山田「今日はリハ前にお時間をいただいて本当にありがとうございます。」
吉田「こちらこそありがとう。」

インタビュー:2020年7月16日 コントラバス 山田俊介