今日は凄く久しぶりに(なんと3月の定期ぶり！)みんなが大フィル会館に集まりました。
今回はドキドキのリハーサル開始前ですがフルートトップ奏者の田中玲奈さんに船隈慶がお話を聞いてみたいと思います。
【プロフィール】
田中 玲奈（たなか れいな）
旧姓: 渡邊 玲奈（わたなべ れいな）
楽器歴: 24年
中学の吹奏楽部でフルートを始めました
入団年:2016年
京都市立京都堀川音楽高校→東京芸術大学→東京芸術大学大学院→ベルリン/ハンスアイスラー音楽大学
兵庫県立芸術文化センター管弦楽団→現在
Twitter: Reina_flute 稀に発信
～どこでやる？ここの部屋にしようか？オンラインではなく、対面でのインタビューです～
船隈「お久しぶり！！最後に会ったのは、、4月のオーディション？3月の定期はまだ育休中だったよね？約３カ月ぶり。」
田中「うん。４月に復職したよ。最後に演奏したのが去年の7月定期やから、リハーサルは11ヶ月ぶり！」
～船隈と田中は数少ない同い年メンバーなのである～
船隈「育休お疲れ様！」
田中「もうお家が保育園状態の毎日だったよ・・。」
船隈「まだ育休中だったけど、2月末からコロナの影響でどんどん演奏会が中止になってどんな気持ちだった？？」
田中「コンサート中止の連絡は入ってきていたけど、実際自分の復帰は4月やったから、ああ大変ねぇ、、と初めは軽く思ってた。その矢先に保育園の自粛が先に始めてしまって、演奏会が開催することになったら子供どうしよう！？と思っていたよ。」
船隈「うんうん。そしてコロナがこんなに長引いちゃったけど、どんな毎日を送ってた？？」
田中「自宅待機の自粛期間中は、楽器はほとんど出さなかったよ。」
船隈「！？」
田中「1日5食用意して、0歳と3歳の面倒を見て、子供の相手で一日が終わる。（離乳食中期）0歳がまだ夜通し寝れない子で、夜もいつ出動（抱っこや授乳）がかかるかという日々だったので夜の練習も厳しくて。このまま復職だったらコンディション戻せていなかったかもしれない。今回６月のコンサートが決まって保育園も再開して、急に寝てくれるようになったので、ママの空気を先読みしてくれたのかもしれないよ。
お家にジャングルジム買ったり、テント買ってピクニックごっこをしたり、おもちゃ買って、ア○ゾ○プ○イ○で映画もいっぱい見たし、プ○キ○アの映画も全部3回ずつくらい見たし。毎日家の中を守るのに必死でした。日々どう乗り切ったか、今はあまり覚えてない（笑）。」
船隈「今日実際みんなは3ヶ月ぶりだけど、玲奈ちゃんは11ヶ月ぶりに集まってみて、どんな感じ？まだ演奏してないけど（笑）」
～インタビューはリハーサル直前～
田中「いや、ブランクあるの私一人だけだと思ってたから、みんなブランクを持って新鮮な気持ちで臨んでいることは、ちょっと嬉しい（笑）前回の育休の時は8ヶ月ブランクがあって復帰したんだけど、復帰戦はほんとチューニングみんなと合うかなぁとか、練習してきた音程で大丈夫かなぁと不安でいっぱいでした。いきなりリヒャルトシュトラウスのドンファンだったし（笑）」
船隈「育休の話ばかりになるけど、前回の育休明けと比べたら、今回はだいぶ違うんじゃないかな？」
田中「うん。だって距離もすごい離れてるし（弦楽器は1.5メートル、管楽器は2メートルずつ離れるセッティングになっている）、どうなるのかなぁ？？それはみんなも感じていると思う。」
船隈「復職に向けてどんな準備をしていたの？」
田中「初めは４月の復職を想定して、育休明け直前に旦那がまとまって休みを取ってくれて、その期間に集中して練習してたよ。でも赤ちゃんいると、どうしても4時間確保が限界やった。今は保育園のおかげで楽器の調整も完了してコンスタントに練習時間を確保できているよ。」
船隈「男だとどうしても分からない部分もあると思うんだけど、そうやって妊娠と出産を経験して、長く楽器を離れる期間もあって、その前後で何か演奏が変わったと思う？」
田中「うーん３年前の復帰の時も、長い休みで悪い癖と共にリセットされるんじゃないかと期待したんだけどね、、、、見事に全部戻っちゃう。私の場合、長年の癖は楽器から離れて治るものだと期待できなくて、じっくり基礎とか一から見直して練習するしかないんやなぁって体感したよ。」
船隈「息使いはどうかな？」
田中「産休直前、お腹が大きかった時は、しんどかったよ（笑）（産休直前の本番は定期でチャイコフスキー交響曲4番）どうしても息が長くもたなくなっちゃうから、循環呼吸(注①)を乱用していたよ。吐ききろうとすると胎児からSOSが発信されていたような気がしたよ。内臓の位置が戻ってからは呼吸も戻ったよ」
船隈「循環全然わかんなかった！（笑）何かメンタル的には出産前後で変わったと思う？緊張しなくなったとか？」
田中「そんなマジック、良くも悪くも全くないんだなぁ。（泣）ただ体力的に、楽器と衣装を持って終演後電車で帰るのが大変だったかな。でも、長期楽器から離れても、スッと元の自分の演奏に戻れる方だと思う。（悪い癖と共に）人と合わせる能力は落ちちゃってるかもしれないけど・・・・・・・・・・」
船隈「いよいよ復帰だけど、意気込みは？」
田中「これまでの演奏会とは最初は違った形でのスタートになってしまうかもしれないけど、多くの人が動いてくれいたから今日のリハーサルが実現していると思う。私は家の中しか守っていなかったので、感謝しかありません。どこのオーケストラも今は厳しい状況下にあると思う。これからは演奏の有料配信もありやなぁって思った。実は少し前から有料配信には興味を持っていたけど、今回を機に多くの配信があって、楽器すら出せない自分は置いていかれたなあ～と思っていたよ。でも、配信によってこれまで大フィルの演奏を聞いたことがない方々も、それを聞いて頂いて実際生で聞いてみたいなぁって思ってくださったら素敵だし。今後は集客も難しくなるし、とにかく団員みんなで一致団結して、少しでも良い演奏をお客様に届けられたらいいなぁと思っています！」
船隈「今日のリハーサルが大フィルにとっても玲奈ちゃんにとっても力強い新たな第一歩になりますように！玲奈ちゃん、復帰リハ直前のインタビューありがとうございました。」
～パチパチパチ、いえ～い～
注①循環呼吸: 息を吐き続けながら同時に息を吸うことにより音を出し続ける演奏技法。
インタビュー: クラリネット船隈慶 6月16日