今回は、オーボエのトップ奏者である浅川和宏さんにお話をお聞きしていきたいと思います。

 

【プロフィール】

・楽器

 オーボエを演奏しております。

 

・大フィル在籍年/ 楽器を初めて何年

 このオケに来て31年目、

 オーボエを始めて46年になりますがなかなか上手になりません。

 

・簡単な学歴

 東京藝大、ノースウエスタン大学大学院

 Filarmónica del Bagio

 

 

 

 

今回、コロナでこんな風になってその時どう感じましたか?

 

浅川「いやぁ、こんな風に長引くとは思っていなかったです。

ただ感染症に関しては以前、自分が入院した時に危なかった時があったんです。

命が危なくて無菌室にいて、

自分が菌がなくていちばん綺麗で、

入ってくる人がみんなが菌を持っているという状態でした。

そんな経験があったので今回ウィルスということに関しては、すごい敏感になっていました。なので、今回も人に会わないようにしていました。」

 

高見「では、買い物以外は、出ないという感じですか?」

 

浅川「いやいや、散歩には出ますよ。自分は、奈良市の西に住んでいて家の周りは田舎なので、人に会わずに散歩できるんです。散歩中は、鳥の声に耳を傾けながら山の中や森の中を歩けるんです。」

 

 

奈良側の眺め、矢田丘陵の奥が奈良市。左端が若草山。

 

 

高見「えっと、そうすると仕事場って遠いんですか?」

 

浅川「う~ん。電車でドアtoドアで一時間くらいですかね。

実は、今日も午前中にいつも通りリードを削って基礎練習してから、

緊急事態宣言が解除されたので、家から生駒山の暗がり峠を通ってとても久しぶりに大阪府に入り東大阪の平岡駅まで『12kmくらい』歩きました。

時間にして三時間弱でした。

普段が田舎の風景で、最近は、ずっとその辺にいたので、久しぶりの大阪は本当に大都市という印象でした。

他の日も法隆寺まで行ったりもしました。(帰りは、電車でしたが)

 

大阪側、六甲山とビル、大都会ですね。

 

 

住んでいるところは、散歩もできるしいいところです。

ちなみに近くのは、「高見の里」っていうところもあります。

引っ越しするって聞いていたので、僕は高見くんは、てっきりこの「高見の里」に引っ越すのかと思ってましたよ。笑」

 

高見「そうなんですね。いいところなんですね。そんなところがあるんですね。

ぜひ、いつかお邪魔したいです。

ところで、普段の仕事の時から結構歩いたりされるんですか?」

 

今日(21日)、5月になって初めて大阪府に県境を越えて行きました(徒歩で)。

暗峠、江戸時代からの石畳の道。

 

 

 

浅川「結構、歩きますよ。確実にオケの仕事に行って帰ってくると1万歩は歩いているんですよ。

それで、高見くんもどうかわからないけど、stay homeしていたら体重が増えてしまって。もう少し歩かないといけないかなぁ。笑」

 

高見「いやいや、十分歩かれていますよね。

僕は、そんなに歩いたりできてませんよ。苦笑

ところで、浅川さんは本当に長くオケに在籍していらっしゃいますよね?楽器を始めてどのくらい経ちますか?」

 

浅川「オケは、今年で31年になります。楽器を始めてからだと46年間楽器を吹いていますよ。」

 

高見「46年間楽器を吹いてこられて、こんなに人前で演奏をしなかったことってありましたか?」

 

浅川「いやぁ。ないですよね。ただ、うちは奥さんがピアニストなので、二人でこの間に少しレパートリーを増やそうってことになって数曲取り組めました。

どこかで披露できればと思います。

僕は、オーボエ吹きなので曲もそうですが、普段とにかくリードに追いかけられるんです。ほんのちょってでも良いリードがあれば、それを使いたいというのが願望としてあるんですが、今回コロナになってリードケースにストックができました。」

 

現有戦力、こんなにリードがあったためしがない、新型コロナウイルス現象。

 

 

 

高見「ちなみにこの三ヶ月で当たりリードは、どのくらいできたんですか?笑」

 

浅川「そうですね。毎日毎日作れるので、リードケースにが20本入りと25本入りに結構入っているので40本はあるかな。たぶん、これは世界中のオーボエ奏者がそういう状態なんじゃないかな。でも、この後梅雨が来るとね

 

この5本のナイフでリードを削っています

 

 

高見「あ、湿気でダメになっちゃったりするんですか?」

 

浅川「うん、湿気もそうだけど気圧とかね。リードの閉じ具合、開き具合が変わってきてしまうんですよ。。」

 

高見「え・・・。もしかして、なかったことになっちゃうんですか?」

 

浅川「うん、まぁ。でも秋になるとまた使えるようになったりするので、リードってそれが面白いんですよ。僕は、基本的に自分自身のためだけに作っているので、これだけあれば一年以上行けますね。」

 

高見「リード。そうですよね。僕ら金管楽器は、唇交換できないので、羨ましく思いますが、良くも悪くも大変なんですね。」

 

高見「三月に定期演奏会をライブ配信コンサートしましたね。」

 

浅川「ハイドンとモーツァルトをやってからのストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲、春の祭典というなかなか面白い内容でしたよね。僕は乗り番的に全乗りだったんですが、本当に楽しかったんですよ。

ハイドンとモーツァルトのこのシンフォニー は演奏するのは初めてだったんですが、人数も少なく室内楽みたいに楽しかったです。

そして、その後の協奏曲、春の祭典にいって、大勢の中の一人になれて、こういうのも仕事だよなぁ。こういうとこがオケにいる醍醐味だよね。」

 

高見「ああいう大編成は、大フィルの醍醐味の一つですもんね。あの時、テレビカメラの数凄かったですよね。」

 

浅川「あの日にあれができてよかったですよね。これからもああいうのやらないんですかね?でも、日本中でやらなくなっちゃったのかな?」

 

高見「舞台上でも三密ですもんね。でも、緊急事態宣言解除されて、これからは、少しづつやり方が変わっていくんですかね?」

 

浅川「あ、すみません。猫が出たいって言って。」

といって猫ちゃんが、部屋から出て行きました。

 

 

 

「なんか部屋散らかっててごめんね。」

 

高見「いえいえ、壁にかかっているの素敵だなぁって思って。」

 

浅川「これはですね。いろんな人が何処かに行くたびに僕にお守りを買ってきてくれるんです。

ところで、僕は今年が最後の年なので、毎回のコンサートがその曲の最後のコンサートなんです。なのに今回コロナでなくなっていってしまって・・・・。

 

まるで、野球で打席が回ってくると思ったのに試合がおわっちゃった。みたいなそういう感じです。まだ、試合があればよいけど、今は雨天中止みたいになってしまってますので。」

 

高見「今のところ大植さんの指揮の6月の定期演奏会(注4)が次のコンサートになりますよね。」

 

浅川「あれあって欲しいよねぇ。やりたいよねぇ。

だからリードを作ったりするのは、オーボエ奏者にとっていざ鎌倉!っていう時にいつでもできるようにリードは作っているので」

 

高見「でも、作りすぎて、材料がなくなっちゃったりとかいうことは、ないんですか?」

 

浅川「そりゃあねぇ。僕もケーンは、一生分くらいのストックはあると思うよ。」

といって見せてださいました。

 

高見「ちなみに楽器ってどのくらい持ってらっしゃいますか?」

 

浅川「オーボエは、9本かな、あとイングリッシュホルンは、2本かな。あ、僕は吹いてないけどね。吹かないけど持ってるんだよ。笑」

 

高見「あとは、オーボエ ダ モーレもあるんですか?」

 

浅川「ダモーレは、持ってないんですよ。ドイツとかみたいにバッハとかたくさんやるようならば、持っててもいいんだけどね。日本だとボレロくらいだからね。なので持ってないです。

ダモーレってトランペットと相性いいんだよね。バロック音楽でトランペットは、D Durがお多いでしょ?そこでオーボエもですが、ダモーレがすっごい合うんですよね。まぁ、持ってないんだけどね。」

 

高見「ところで浅川さんのお誕生日は、12月ですよね。大フィルは、その日ではなく、その月で終わりになるんですよね。もし、乗り番が合えば、年末の第九が最後になりますね。」

 

浅川「まぁ、そういうこともできますね。まぁ、30日まで働かなくてもいいような気はしますよね。分かりませんが。いずれにしても、12月のどこかのコンサートになります。」

 

高見「浅川さんは、自粛期間中、お料理とかもされていたんですか?」

 

浅川「実は、ここ最近に家内がホールで録音する予定で、でもホールが閉まるかなぁ、できるかなぁ。というところだったのでずっと家で練習していたんです。だから、三食ずっと僕が作っていました。家内的には、三食作らなくて良いし、今までより楽になったって言われました。」

 

高見「うちは、子供が一人増えたよ。って言われました。汗」

 

浅川「昔、メキシコにいた時(注1)に食べてた時のご飯を思い出して、あれ食べたいなって思って、いろいろ買ってきて、作ってみました。」

 

高見「どんな感じの料理なんですか?サルサソースとかをかけたりするやつですか?」

 

浅川「そうそう!そういう感じ。痛い、みたいな乾燥した辛さ、そっち系の辛いものですね。

 

高見「じゃあ、浅川さんは、結構辛いのお好きなんですね。」

 

浅川「そうですね。昔、よく中華料理を作っていた頃、近所に住んでいたビオラの周(注2)さんと料理対決をしたりしていましたよ。」

 

高見「周さんと浅川さんは、同じくらいですか?」

 

浅川「彼は、数ヶ月だけお兄さんだけど、嘱託だから65歳までかな。」

 

高見「トップ奏者だと61歳までですもんね。」

 

浅川「まぁ、トップは、変わらなきゃいけない時ってあると思いますよ。なので良いと思います。」

 

高見「最近、僕 You Tubeでフランクフルト放送響の演奏見ることが多いんです。ベートーベンを間隔を開けて演奏していました。」

 

 

 

 

浅川「ウィーンフィルの人とか身体大きいし、ぎちぎちに座って演奏しているよね。これからどうしていくんだろうね。

 

浅川「そうそう、最近は、ソーシャルディスタンスって言葉がありますよね。実は、普段、僕の隣の野津さん(注3)が、ステマネさんがセッティングした椅子を動かして、オーボエの方に来て座っているんです。ある時、始まる前に鉛筆で位置を記してから終わった後に、測ってみたら30cmくらい、こっちに来てました。」

 

高見「それって浅川さんの事が大好きなんじゃないですか?」笑

 

浅川「いやいや、僕の時だけでなく、大森くんの時もだから。

今度そうだったら、野津さんにソーシャルディスタンスって話をしないとね。」笑

 

 

今回は、オーボエのトップ奏者の浅川さんにお話をお聞きしてきました。

お散歩(12kmくらい)とかリード作りが捗った話、メキシコ料理、中華料理の話、今年最後なので一つ一つのコンサートが最後のコンサートになる話など感慨深かったです。次回は、フルート 田中さんにお話をお聞きすることになります。

 

お楽しみに。

 

 

注1:メキシコにいた時

アメリカ留学後にメキシコのオーケストラに在籍されていたそうです

 

注2:周さん

上海出身の大阪フィルのヴィオラ奏者

 

注3:僕の隣の野津さん

大阪フィルフルートのトップ奏者でオーボエ と隣り合って演奏する機会が多い

 

注4:6月定期演奏会

6/8、現在 曲目を変更して開催予定です。 

曲目は、リヒャルト・シュトラウスやバーンスタインなどの予定でしたが、コロナの関係でもう少し小さな編成ということで下記のようにへんこうになりました。よろしくお願いします。

 

ベートーヴェン/交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

  ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

  *休憩なしの演奏会です。  *指揮者は変更ございません。

 

 

インタビュー:トランペット高見信行  5月21日