今回はチェロの石田が第2ヴァイオリントップ奏者である宮田英恵さんにインタビューをします。ご存知の方も多いと思いますが、私たちは大フィルの業務以外でも室内楽で共演する機会が多いので今回もいつもの様に自然に会話が始まりました。

 

 

 

 

 

【プロフィール】

宮田 英恵(ミヤタ ハナエ)

楽器:ヴァイオリン

入団年:2013年

楽器歴:31年

 

名古屋市立菊里高校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部を卒業。同大学大学院修士課程修了。大学卒業時にアカンサス音楽賞を受賞。ベルリン・ドイツ交響楽団2010-2011シーズンアカデミー生として在籍。ベルリン芸術大学を最高成績で卒業。

大阪フィルハーモニー交響楽団第2ヴァイオリントップ奏者。ベルリントリオ、Quartetto RoSSo、ペンタトニカピアノ五重奏団のメンバー。

 

~「ちょっと待ってください、後で写真撮るので背景が気になるんですよ…」っと5分以上セッティングに集中(笑)⇦英恵ちゃんらしいです。

 

石田「では、始めましょうか。プロフィールの中でいくつか話を聞いてみようかな。

   ヴァイオリンを始めたきっかけはなんでしたか?」

 

宮田「えっと、父の友人の奥さんでヴァイオリン奏者の方がいらっしゃって

   (オギャーって生まれた時から私の事を知ってる)『自分が教えると甘くなって

   しまうけれど、違う先生を紹介するのでヴァイオリン習ってみない、

   向いていると思うし』って

   感じで勧めてくれたのがきっかけですね。」

 

 

5歳の時の写真、この頃は毎日30分練習していたそうです。

初めたのが4歳の3月らしいので、ヴァイオリン初めて9ヶ月くらいの頃です。

 

 

石田「へぇ~、それでヴァイオリン嫌いになった事はなかったの?」

 

宮田「なかったです!」(即答)

  「その当時、習い事をいくつかしていてその中のひとつがヴァイオリンだった

   ので、週一で4歳の時から通ってましたね。」

 

~小さい時から運動が好きで活発で座ってられないタイプだったので、

 立って弾くヴァイオリンは彼女にピッタリだったようです。

 

石田「音楽の道に進むきっかけはありましたか?」

 

宮田「中2の終わり頃に音高行こうかなって。14歳の時にこっちの道に進むと

   音楽で将来食べていくことになるけど、それは大丈夫なの?って聞かれた

   時に「えっ。」そんな大変な事なの?って思っていましたが、

   音高に行ったほうが好きなヴァイオリンを勉強できるなって」

 

石田「留学先をベルリンに決めたのは?」

 

宮田「人生初めての海外は*ジュニアオケでヨーロッパツアーに行って、

   大学3年の時には藝大の選抜のチェンバーオケで**ボッセ先生や岡山先生と

   一緒にドイツ演奏旅行があり、その時に「あっ、私ここ好きだ!」って

   ドイツの居心地が良かったんです。

   その後大学院の時に日独交流のイベントで***澤先生、高関さんの指揮で再び

   ドイツに行く機会がありました。

   その時に現地で講習会を受けたりして、ベルリンかフライブルクのどちらかに

   留学したいなって考え始めました。」

 

~ここでもフィーリングを大切に留学先を見つけてますね!

 

 

大学院1年で初めてベルリンへ行った時のKonzerthaus

 

 

石田「ではこの後、皆さんにもお聞きしている質問を聞いていきたいと思います。」

 

①自粛が始まった時に感じた事、その後2ヶ月経って感じ方が変わりましたか?

 

宮田「他の楽団の演奏会などと同様に、大フィルにも2月末の時期に1公演中止の

   連絡が来たとき、これからどうなるのか不安をまず感じました。

   今までは幸い怪我や病気もなく演奏会ができなくなる状況というのは

   経験した事がないので、次々と公演中止が増えてくるにつれて

   ”全く終わりが見えない”という大きな恐怖に変わっていきました。

   でもネガティブな事が起きても音楽家はそれを音楽に還元していかない

   というか…。」

 

石田「それをエネルギーにしていかなくては行けないって感じはあるよね。」

 

宮田「音楽は楽しいものを表現するばかりではないからこの気持ちをポジティブに、

   未来に何かつながるエネルギーへ変えていかなくてはいけない。

   これが無意味じゃないと思って。」

 

石田「なるほど無意味じゃないなって。うんうん。」

 

~三月の定期演奏会は生ライブ配信を大阪フィルとして行いましたが

 どう感じましたか?

 

石田「私は前半降り番だったので、どういう風に観えるのか聴こえるのか分かってて

   後半舞台に出て行ったけど、英恵ちゃんは全部乗ってたからアーカイブが

   観れるようになって初めてどんな感じだったかを知ったわけだよね。」

 

宮田「そうなんです、あの時はプログラムもVn協奏曲や道義さんらしく対抗配置とか

   色々だったけど舞台に乗って本番となると、緊張感がすごくて。」

 

石田「最初のみんなの緊張感凄かったよね。」

 

宮田「そのときに感じたことは、演奏会というのは舞台上のみで出来上がる

   ものではなく、その会場のお客様の雰囲気や温度や空気感など

   様々なものが影響すると思うんです。お客様がいないのは、とてつもなく

   寂しくて。お客様が聴いてくださるコンサートがどれほど有難い事なのか

   痛感しました。」

 

~このライブ配信の経験については他の団員も様々な思いがあるのではないでしょうか。

 

②いま、何をしていますか?

 

最近流行っているダルゴナコーヒを作ったそうです。

 

 

宮田「カフェで受ける英会話レッスンをはじめたのですが、外出自粛になってから

   オンラインレッスンに切り替えて続けています。あとは6000歩か7000歩

   ぐらい歩く様にしています。コロナ太り対策です。

   その他はヴァイオリンに関しては姿勢を見直したり、

   基礎練習や自分がやってみたかった作品を練習してます。」

 

実家に帰って練習をする時はネコがケースの側へ

 

 

③自粛解除になったら、どうしようと思いますか?

 

宮田「これって私もインタビューしてて感じたのですが、すごく難しい質問

   ですよね。世の中がどうなるか分からない中で話すのって。

   自粛解除となっても、すぐに今までの日常に戻るのは難しいので、

   演奏会再開のためにはどんな工夫が必要かをしっかり考えて、

   出演人数を工夫したり…。」

 

石田「今までみたいに2時間のプログラムは当分難しい様な気もしますが、

   どうなるかな。」

 

宮田「お客様の中でも今まで通りっていう人と演奏会に行くのは心配で…って

   いう人と分かれるだろうし…。 ライブ配信って言っても生の演奏会とは

   感覚が全然違うしお客様のアンケート調査ってしてみたいですね。」

 

石田「お客様がどう感じてるかは知りたいところだね。

   そんな中で私たちがブログをはじめたけど、

   そのことについてどう感じてますか?」

 

宮田「やり方を模索したりしましたが、自分でもインタビューしてみて文字に

   しようと思うと動画などで聞いてる話よりその言葉を噛みしめるんですよ。

   文字で人の考え方を知るとより一層深く印象に残ると思うので、

   ブログっていう方法は結構正解だったかもしれないって、

   始める前より思ってます。」

 

〜まだまだ色々、話は尽きないですがが、最後にまとめてもらいましょう。

 

宮田「私は普段からオーケストラは、大人数の人が集まり作品を表現するので、

   1人1人のエネルギーがとても大切だと感じています。

   人生におけるポジティブな出来事もネガティブな出来事も、全てこれからの

   音楽に還元しよう、そんな風に今は考える様になってます。」

 

 

 

 

 

 

 

ウォーキングの際に撮った写真も送ってもらいました。

 

 

 

インタビュー 石田聖子 5月18日

 

 

 

*ジュニアオケとは、NHK名古屋青少年オーケストラ

運営員で、同じく名古屋出身の船隈さんと同じオケで演奏をされていたそうです。当時はお互い話しをした事はなく大フィルに入団された後に知ったそうです。

 

* *ゲルハルト ボッセ:( 1922ー2012) 独ヴァイオリン奏者、指揮者

長きに渡りゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターとして活躍、引退後は東京藝大での指導、新日本交響楽団をはじめ指揮者としても活躍。 大フィルにも亡くなる直前まで指揮者としていらしてくださいました。

 

岡山潔:(1942ー2018) ヴァイオリン奏者

東京藝大を卒業後にドイツへ留学しその後ボン・ベートーヴェン・ハレ管弦楽団のコンサートマスターとして活躍。その後読売日本交響楽団のコンサートマスターを経て母校の東京藝術大学の教授として活躍。

 

***澤 和樹:(1955~ )ヴァイオリン奏者、指揮者

ソリスト、室内楽奏者、指揮者、指導者として活躍。 2020年は澤クァルテットのメンバーとして結成30周年を迎える。東京藝術大学学長

 

高関 健:(1955~ )指揮者

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者、仙台フィルハーモニー管弦楽団レジデント・コンダクター、静岡交響楽団ミュージック・アドヴァイザー。東京藝術大学指揮科教授。