こんにちは、Vn.宮田です。
さて!!!
今回私がインタビューさせていただいたのは、大フィルをその溢れる音楽への情熱と圧倒的な存在感でリードしてくださる、ソロ・コンサートマスター崔 文洙さんです!!!

【プロフィール】
崔 文洙(チェ ムンス)
楽器:ヴァイオリン
入団年:2009年
桐朋学園、モスクワ音楽院及び同大学院卒業
第17回ホテル・オークラ音楽賞受賞
新日本フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団の両楽団においてソロ・コンサートマスターを務める。

2月末から演奏会の中止が相次ぎ、崔さんと私が最後にお会いしたのは2月22日(土)、大フィル第535回定期演奏会でした。
そのときは終演後普段通りに握手と共にご挨拶し、まさかその次にお会いするのはビデオ通話になるとは、想像もしていませんでした。

 

【2月定期演奏会にて。ソロ・コンサートマスター崔 文洙氏、ヴァイオリニスト辻 彩奈氏、指揮者秋山 和慶氏




約2ヶ月ぶりに崔さんと直接お話しする嬉しさと、初ビデオ通話、初インタビュー、、ドドド緊張の中、着信の宮田、かなりドキドキドキドキ、、、、


崔 「もしもーし、ご無沙汰してます、お元気ですか?」

〜お元気そうな優しい声に安心して、宮田の緊張はすぐ緩和(笑)〜

このブログの主旨などについてお伝えした上でのインタビューでしたが、崔さん自身からこの試みについて

崔「動画やテレワークも沢山出てきているし、ブログという形もいいと思うよ、みんな同じじゃなくても違ってて。ここから色々なものを発信していけるといいですね。」

という賛同のお言葉をいただきました。

様々なことをここから発信していけるよう、メンバーと共にこのブログを盛り上げていきたいと思います!


〜いよいよ、インタビュースタート!!〜

①自粛が始まったときに感じたこと、その後2ヶ月経って感じ方が変わりましたか?


崔「2月25日に政府からコロナウイルス対策の基本方針が発表されて、それ以降次々と演奏会が中止になり、僕が最後に演奏会で演奏したでのは、2月28日でした。
その頃は、正直ゴールデンウィーク明け頃には演奏会も再開できるのではないか、と思いました。
しかし、それが今も再開することができない状態で、3ヶ月弱が経っている現在はとにかく『自分たちにできることは一体どんなことなのか』を日々考えています。

不要不急という言葉が多く出始め、音楽を不要不急と表現することに抵抗があることは否めませんが、これだけ不安の多い中で現実的にはオーケストラが通常通りの規模で演奏会を再開させるのはまだ当分先になってしまうことも理解はしています。

ですが、演奏再開を願う気持ちがあるので少しずつできることは試みるべきだと思っています。

インターネット配信という方法での演奏会も今回の状況によって増えたのですが、

やはり『ライブ(生演奏)その場で聴いていただくこと』これは、人々の生活や人生になくてはならないとても大切な場だと思うんです。

同じ空間で、直接アイコンタクトを取りつつ、プレイヤーそれぞれの体調、会場の温度、様々な状況の中でお客様がそれぞれの思いを抱いてコンサート会場に来てくださいます。
同じ演奏というのは2度とないわけで、一回きりの感動を分かち合うのがライブの醍醐味です。
しかし、それができない現状は我々音楽家や演奏会の存在意義さえ問われているような、今はそんな感覚にさえなります。

僕は、人が生活していく上で音楽はなくてはならないもの、心に必要なビタミンであり、音楽がない生活はありえないと思っていますし、みんなはどこかでわかっていると思うんですよね。

今オーケストラや小編成のものでも演奏会を開催した場合には批判もあるかもしれませんが、それを気にして何もしないのでは、前に進んでいくことはできません。

世の中の状況も見つつ、いつ演奏会が再開できるかを決断することは容易ではありませんが、僕たち演奏家にとって演奏会の機会がないということは、演奏する意味が失われてしまう。厳しい状況だけど、何とかやり方を探し出してそれ実現したいと常に思っています。」

 

 





②自粛解除されたら、どのようにしていきたいと思いますか?

崔「大阪フィルは『大フィル会館』という練習場を持っており、そこで演奏会ができるので例えば、お客様同士の距離を取り、会場の扉を開けたままにする、その他奏者スタッフ一同できる限りの対策を全て行うなどして、まずは弦楽アンサンブルができるとよいのではないか、と感じています。

もちろんソロリサイタルなど、もっと少人数のものも可能ではありますが、オーケストラは本来大規模のアンサンブルをするものなので、やはりアンサンブルをお届けしたいという思いがありますね。

開催にあたって決断力は必要ですが、健康管理はもちろんのこと、細心の注意を払ってできる対策はして、万を辞して一丸となってやればお客様にもご理解いただけるのではないかと思います。

演奏会を少しづつ再開するとなれば我々奏者のリハーサル時も、様々なことを気を付ける必要があります。
リハーサルに関する会話以外はなるべくしないようにする、マクスの着用必須、手指のこまめな消毒、管楽器にも必要な対策を行う。
そういったことを習慣づけていることがまず、大切になってくると思います。

オーケストラの音楽づくりは、人と人とのコミュニュケーションが本来は制限なくあるべきですが、演奏会を再開させるためには今まで経験したことがないことも模索しながら、工夫して試みていかなくてはならないですね。」

③今何をしていますか?

崔「最初は『何をしていいのかわからない』と思ったのですが、自粛で外出できないとなると、ご飯も作るようになったり、
規正しく練習時間が決まったり、夕方から数時間はウォーキングの時間、自然と1日のリズムができています。

それと、最近変わったことはテレビを見なくなりました。

最初はなんとなくずっと見ていたのですが、よく聞いていると本当に知りたい情報は出てこないことも多いので、
知りたい情報は自ら調べて確認すれば十分だと気が付きました。
見なくなったら見なくなったで静かで、心穏やかで良いし、メディアの見方を考えなくてはならないと思うようになりました。」

~ここまで様々な話を伺い有意義な会話が繰り広げられ、崔さんが自炊されるお料理のことが気になる宮田でしたが、最後に1つ気になることがありました。崔さんが飼われている4羽の鳥たちのことです。~

宮田「ところで、崔さん、普段は大変多忙で鳥たちもボスはどうしたのだろう?!と不思議に思っていますよね?」

崔「そうだね、最初はきっと、『なんでよく家にいるんだろう?』と思ったでしょう。最近は慣れてきてると思いますよ、あははは~!」


~最後に崔さんは、こんな思いをお話ししてくださいました。~



演奏家としてはとにかく早く演奏したい、集まりたい、まずはチューニングの時間を共有したいと思っています。

今思うのは、オーケストラはもちろん音楽を皆で共有する喜びもありますが、それぞれの強い個性もあるので、意見がぶつかったり楽しいことばかりでもない。でも、こういう状況に置かれると当たり前のように演奏できる機会があったのは有難いことだと、心から改めて思います。


きっとみんな思っていると思いますが、再開できる際は良い雰囲気で始めれたらいいなと思っています。

それぞれの奏者が工夫しながら音楽家として自粛期間を過ごし、久々のリハーサルで音出したらびっくりすることもあるかもしれませんが、しばらく離れていた分ある程度時間はかかったとしても、また丁寧に音楽作りをしていこうと思います。

宮田「様々なお話を、お元気そうな崔さんの顔を見ながら伺えて嬉しかったです!ありがとうございました!」

崔「英恵ちゃんも元気そうで何よりです!またね!」


崔さんに次回のインタビュー楽員をリクエストしていただきました!
1番オーボエ 奏者、浅川 和宏さんです♫
お楽しみに!


【崔さんウォーキングコース簸川神社(東京都文京区)↓】



インタビュー:第2ヴァイオリントップ奏者 宮田 英恵 5月14日