G7広島サミットが無事終了しました。交通規制が広範囲に及び、市民生活にも予想以上に大きな影響がありました。しかし、そのような不便な環境に不満が沸き上がることはなく、むしろほとんどの市民がこの広島サミットの成功を祈り、見守ったのではないかと思います。

 

 そのような環境もあってか、このサミットは大きな成功をおさめたと言えると思います。多くの人の尽力が報われ、サミットは大きな成果を残して終了しました。

 

 インドをはじめとする多くの国々の参加もこのサミットを盛り上げることになりました。中でもゼレンスキー大統領の参加は、このサミットを特徴づけるものでした。ウクライナとロシアの戦争の最中でのサミットはG7、その他の国々の結束を強めることになり、そのメッセージは世界にはっきりと伝わりました。このことがこのサミットを有意義で、意味のあるものにしたと思います。

 

 さて、このいわゆる西側諸国とその周辺の国々の結束の先にどのような未来を描くべきなのかという点が重要です。具体的には中国とどのような関係を築くのかということです。このサミットは成功裏に終わりましたが、一方で中国との関係には全く寄与することはありませんでした。むしろ中国の反感を招く結果となっています。

 

 無論、中国としっかり対峙し、不当な要求や、圧力に屈しないために、固い結束と強いメッセージを送ることは重要なことと思います。しかし、現在の世界情勢を考えるとき、中国を抜きに世界を考えるとことはできません。中国の力は年々増大し、世界における影響力は明らかに大きくなっているからです。大国である中国といかに付き合っていくかを考える場として、今回のG7は成果を上げることはできたとは言い難いと思います。

 

 本来であれば、このG7には中国が加わっていなければいけないのです。中国が参加することで初めてサミットという名にふさわしい会議が成立しうるということは誰の目にも明らかです。そのような時代の中で、中国と果たしてどのように関係を築いていくかというテーマは今回のサミットでは、あまり深く議論されなかったと思います。

 

 今回の広島サミットが成功を収めたことは間違いないと思いますが、その一方で、重要な現実的課題については深く議論されることなく、先送りにされてしまったと思っています。