「慾深き」


#140novel 最初はあなたを遠くから眺めるだけで満足だったのに、もう少し近くから眺めたい、笑顔も見たい、声も聴きたい、話もしたいと少しずつ欲深くなる。そして願いが叶いあなたとの関係が始まってからは、過去の切ない記憶と現在の高揚感に飽き足らず、将来に渡りこの幸せが続けばと、さらに多くを望み出す。







「昼酒」


#140novel 平日の昼間から酒を飲んでいる。今日は午後から会社を休み、映画の後この店に入った。店外では人々が忙しく立ち回っている。まだ明るい内から自分の思考と活動をあえて低下させる背徳と非日常さが一層甘美な酔いになる。温まった昼間の血液が酒を脳に全身にくまなく届けていく。昼酒の旨さは格別だ。




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「慾深き」は、明治の小説を読んでいて「慾」という旧字体を見かけて、使ってみたくなりました。


欲という字に比べると、心があるだけにより悩ましいものなのかもしれません。「食欲」とか「睡眠欲」はまだ健全です。身体が欲するものだから。「性欲」さえも、身体の生理反応としてなら、素直なものかもしれませんが、慾はその人の根源からくるものかもしれません。


さて、この小説では「慾」というものを、素直でまっすぐな面から書いてみました。慾深いことも、このような情景であれば微笑ましいものではないでしょうか。




ここのところ、慌ただしい生活をしているせいか、かえって「昼酒」のようなものに憧れます。昼間の酒は、イケナイコトしてる感が満載で、それにより一層魅惑的です。


多分、昼間は人間も活動的であるため血液の循環もいいので、夜飲む酒よりは酔いやすいと思います。


ああ、昼酒できる落ち着いた日が、早く来ないかなぁwww