「バンカラ」


#140novel あんな男に憧れるって、どこがいいの?と私の友達は言う。頭ボサボサだし、学生服は所々擦り切れてる。明治の男?バンカラ?大物気取ってるの?と散々な言われよう。でも自分を彼の少し後ろに寄り添わせた姿を想像すると、結構しっくりくる。髪は私が撫でつけて整え、服は私が綻びを繕って上げます。





「土佐鶴」


#140novel
高知の女性は、はちきんと呼ばれる男勝りの気風だとされる。飲み仲間の高知出身の女性もさばけた性格で、相当な酒豪。地元の銘酒土佐鶴をコップでぐいぐい空けていく。彼女が店の人に土佐鶴を頼むと、口の悪い仲間達は鶴じゃなく亀だからね、と軽口を叩く。確かに彼女は鶴より亀のイメージか、色々と。


(なう、への投稿から、かなり変更しています)



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バンカラ。今はもう死語かな。大正から昭和初期にかけての旧制高校生の弊衣破帽(すりきれた学生服と破れた帽子)の様です。当時の「ハイカラ」に対する「バンカラ(蛮カラ)」です。


身なりなどには気を払わず、あるいは気にしない体(てい)で、ドイツ哲学や文学など真理を追究したり、天下国家を語り合うような行動様式でしょうか。武士道にもつながるのか。僕はこのような硬派、痩せ我慢、清新な態度は嫌いではありません。時代遅れかもしれませんが、彼らのようなエリートは確かに日本の各界で活躍し、日本を世界でも有数の国に引き上げたのです。 

戦前を、軍国主義化した暗黒の時代だと一方的にみなすのは歴史的にも正しくありません。





だい。のブログ
さて、土佐鶴は前回に続いての日本酒シリーズ。僕の出身の広島も酒どころで、賀茂鶴とか竹鶴といった「鶴」のついた銘柄がいくつかあります。縁起物としての鶴もあるでしょうし、また鶴の持つ清新なイメージがキリッとした辛口の酒のイメージに合うのでしょうか。


しかし、この土佐鶴は滑稽な感じにしてみました。高知はほんと酒呑みが多いですね。男性も女性も。


「はちきん」というのは、勝気でさっぱりした土佐の女性の気風を言う言葉です。由来ははっきりしませんが、やや下ネタで八つの金玉、つまり4人くらいの男性をうまく使いこなす、なんていう説もあります。なので高知出身の女性にはあまりこの言葉を好きでない人もいるようです。


さて、上の小説の鶴だの亀だのといったエピソードは完全に創作です。女性に対して亀は失礼ですよねwwでも、まあ、亀は鶴の十倍長生きで縁起も良いということで許してもらいましょうw


そうそう、日本酒に鶴の名のついた銘柄も多いですが、亀のついた日本酒も多いです。神亀とか初亀、亀齢とか、亀仙人、亀の翁など、かなりあります。縁起をかついで、というところでしょうか。