桜がもし何週間か咲くものなら、これだけ日本人が桜に惹かれたり、花見に一生懸命にはならないのかも知れません。

限られた数日の盛りだから、なんとか時間をやりくりして桜の許に行き、混雑の中、目に収め、感嘆し、記憶し、カメラのレンズを向ける。その儚い数日を長らえようとするかのように。


舞台も似ているところがある。この公演は一回限りで、舞台が終われば消えてしまう。DVDとかもあるが、あれは舞台に真に触れているとは言わない。僕が芝居の公演の感想をなんとかブログにとどめたいと思うのも、そんないつしか消えてしまいそうな芝居の公演の記憶、実態に少しでも長らえる生命を与えたいと願ってのこと。



そんな桜の花や、劇団の人たちの渾身の舞台に比べるべくもないし、一緒にするのも大それたことですが。

僕がこのブログで140字の小説を書くのも、自分の内に浮かんだうたかたのような着想やら雰囲気を何とか言葉か筋道にしようとしたもの。

これに取り組む前までは、多少はメモを取ったりはしたが、ほとんどは時間が経つにつれ忘れて行ってしまうものだった。

140字の小説という形を与えられて、ようやく僅かながら生命を持ち得たのでは、と勝手に思うことにしている。


放っていたら消えてしまう、桜の花、芝居、言葉のまとまりに、少しでも長い生命を。









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