白ヤギさんからお手紙着いた。別れを告げる手紙に違いないから黒ヤギさんは読まずに食べた。

それでも気になり、さっきの手紙のご用はなあに?と書いた手紙を白ヤギさんに送った。

白ヤギさんも、その手紙を受け取ってすぐ食べてしまった。しかし、長く付き合った仲だけに、黒ヤギさんがどう返事してきたか気になって、先ほどの手紙の内容を尋ねる手紙を送った。

もちろん黒ヤギも、再び本能に従って、封を開ける前にむしゃむしゃ食べてしまった。

こうして何度も手紙のやりとりが続いた。お隣の牧場なだけに手紙は一日に何度も取り交わすことが可能だった。永遠に続くかと思われた手紙のやりとりも、互いにお腹が一杯になっていつしか終った。

白ヤギさんも、最初は別れを切り出す覚悟であったのに、お腹が膨れるにつれ、忘れ去ってしまっていたのだった。ヤギだけに。そのため、最後に黒ヤギさんが十分お腹が一杯になり、ようやく我にかえり封を開けた白ヤギさんの手紙には、たくさん食べ物を送ってくれてありがとうという感謝の内容しか書かれていなかった。

そして黒ヤギさんも、白ヤギさんからのお返しとして届いた食べ物への感謝を綴って返事した。こうして、水面下の別れの危機を乗り越え、二人は今も仲良い間柄だった。

(521文字)