一人の道化師が夕暮れの街を走る…

慌ててショーに向かっているのだと誰かが言う

化粧も落とす暇もないほどの一大事があったのだろうと誰かが言う

アレはピエロの幽霊だよ…と言う子供が現れる

友達の知り合いがピエロにさらわれたのだと言うものまで現れた…


また次の日も走る道化師は現れた


そして次の日も…


また次の日も…

たまらずひとりの老婆が道化師に尋ねた

あなたは何をしているのですか?

道化師は笑いながら言った

お婆さん、あなたはボクが何をしているように見えますか?

分からない…と、老婆は言った

お婆さん、当たりですよボクにも分かりません…だってボクはボクを見つけた人たちの想像するものを全て演じる道化ですから

じゃあ、あなたは幽霊で人さらいなの?

そうなりました…道化師は苦笑いした

お巡りさん!…老婆が叫んだ

捕まりませんよ、だってボクはあなた達の退屈そのものなんですから

そういうと道化師は走り出し、夕闇の中に飛び込んでゆくと溶けるように消えていった…


そんな事があったのにこの退屈な街は今日も夕闇を走る道化師の噂をする者が絶えない…


(-_-;)/))