気がつくと金魚はコップの中にいた

コップの向こうには海が見えた

眩しくて綺麗な海が見えた

暗くて怖い音を立てる海も見えた

コップから伝わってくるそんな海の音を聞きながら金魚は大人になっていった

一度だけでいい、海に行ってみたい…だけどそうしたら死んでしまうことも金魚は分かっていた

金魚は今日も海を見ている

キラキラ光って綺麗だ、コップに伝わる波音も優しい…

海がぼくを呼んでいる…

金魚は喜びに震えた

もうすぐ何度目かの夏だ…コップの中での最後の夏だ…

(-_-#)/))