その昔、横浜に十年ほど住んでいた

その頃、足しげく通っていた肉屋があった

目当てはコロッケ♪

中はいつもホクホクして甘くもなくしょっぱくもなく、おやつにそのまま食べても、ソースをかけてご飯のおかずにしてもとてもいい塩梅、優しい味ののコロッケだった

このコロッケを子供の時分から食べていた同僚は

世界一のコロッケだと言っていたが、このコロッケよりも美味しいコロッケは私もまだ食べたことがない

横浜を離れてもこのコロッケだけのために東横線に乗りやって来たものだった

だが、去年久しぶりに訪ね一口かじって愕然

全然べつの味がした

同僚にこのことを話すと残念そうにあのコロッケを作り続けてくれていたおばちゃんが亡くなったのだと教えてくれた

時は流れる...

仕方のないことだけれど切なくて寂しい

ただ美味しいからと貪るのはいけない、

この美味しさを忘れないために、作ってくれた人たちの思いも一緒に味わうべきなんだ、

そんなことを考えながらあの世界一のコロッケの味を時おり思い出す努力をしている自分に気がつく時が最近しばしばある

先日、たまたまその肉屋のそばで仕事をしたので改めてコロッケを買ってみた

別物になっていたあの味から少しだけおばちゃんの味に似てきたような気がした

もしかしたらいまの作り手があのコロッケの味の記憶をたぐり寄せながら作っているのかもしれないなと思った

優しくて美味しい記憶はいつまでも生き続ける

(-_-#)/))