こんにちは、ちびまるです。
「ナデシコ」も佳境に入ってまいりました
ではでは、本編へ
冬は日が暮れるのが早く、
すでに外は少し薄く暗くなっていました。
彼女(彼)は、恐る恐る車を降りながら、
「ここって 治安が悪いってことないの?」
他にもいろいろ文句をつけながら、
案内されるままマンションに入ってきました。
「どうぞ。」
その部屋のドアを開け、先に入ってもらおうとしたところ
「あなたが先にはいって。あたしブーツだから・・・。」
わたしは先に入って、電気をつけよとブレーカーを上げましたが、
電気が来ていませんでした。
「しまった。電気がきてない」
前の住人が関西電力に引越しの手続きをする際、
関西電力の人がその部屋の電気の元を切りに来ることがたまにあります。
「あたしは大丈夫よ。」
大丈夫と言われても、こちらが大丈夫ではありません。
夕暮れ時のうす暗い小さなワンルームの部屋に二人っきりです。
相手は、私より体がひとまわり大きな、それもニューハーフです。
考えたくもない不安がよぎったりします。
「それじゃ どうぞ。」
「う~~ん。・・・・・・・。」
6帖ほどの部屋を彼女(彼)は、
まるで檻の中のクマのようにウロウロしています。
家具の置き場を考えているのでしょうか、
立ったり座ったりを繰り返します。
ユニットバスの中を覗き込んで、
私の浴槽に入るように言いました。
「私って大きいでしょ!?
浴槽が小さくないか見たいの。ちょっと入ってみて!」
大きいか小さいかは、自分が入るのが一番わかるはずなのに、
なぜ私が入るのでしょうか?
めんどくさくなって私は言われたとおり浴槽に入ってきました。
と同時にまたお決まりの行動のように、
彼女(彼)も狭い浴槽に入ってきます。
“やっぱり、こうなるのか!”
「も~!何やってるんですか~!」
「彼氏と一緒に入るときのことを想定して・・・。」
「彼氏~!?」
だんだんアホらしくなってきたので
「もう帰りましょう。」
「いや! もっとここにいたい!」
「契約したらずっ~と ここに居れますよ!」
「・・・・。」
私は早くこの狭い暗いワンルームに
二人っきりの状態から抜け出したくて
急いで入口玄関ドアで靴を履きながら、
ドアを開けようとしました。
これまた同時に彼女(彼)も狭い玄関で一緒にブーツを履こうと
大きなゴツゴツした体をぶつけてきます。
ドアのレバーハンドルを回して、
押しているのにドンっと音がしてドアが開きません。
真っ暗のワンルームの狭い玄関口、
もうそこには30cm間近のところに彼女(彼)が立っています。
“もう~ 勘弁してくれ”
と思った矢先、そのドアのサムターン(鍵)がかかっていました。
そう、部屋に後から入ってきた彼女(彼)が鍵を閉めていたのです。
「何でこんなことするんですか!」
ついつい私は声を荒立ててしまいました。
「誰かが入ってきたら怖いし・・・」
私にとってホントに怖い出来事でした。
“ホンマに ええ加減にせえよ!”
心のなかでつぶやきながら、
ようやく無事マンションから脱出でき、急いで事務所に帰りました。
事務所に帰って席に着いたとたん彼女(彼)は
「やっぱりお店の寮に居ることにします。」
「はッ!?」
彼女(彼)は何もなかったかのように涼しい顔をして帰って行きました。
「・・・・。」
まったく、ユニークというか、ふざけてるというか・・・、
いろんな珍客が来店されることは珍しいことではありません。
お部屋探しは ホームメイトFC難波西店
へ
【本編はすべてフィクションであり、登場する人物もすべて架空のものです】
人気ブログランキングへ