こんにちは、ちびまるです。

あっという間に日曜日も終わり、

また1週間が始まりましたね涙


さてさて、今日も営業マン奮戦記の続きです。

ではでは本編へ ダウン ダウン



もう既に外は真っ暗です。ひと気も少なく、
遠くで足早で歩く人が何人かいる程度です。
家主のところに着いたときも既に暗かったのでしょう。
その時は気にも留めていませんでした。


やっぱりダメだった・・・。

でも、このまま帰ったらどうなるんだろう?


自分の無力さを痛感します。


この仕事はいろいろな状況下のお客様と接します。
すべてのお客様のお部屋探しが、
希望に満ち溢れた楽しいものであればいいのですが、
今回のようなケースも決して少なくはないのです。


営業マンとしてお客様にのめり込んで暴走していまい、
本来の仕事を忘れてしまってはいけません。
たとえ少しでも可能性があるなら、少々無理があろうが
、がんばってみるというのも決して悪いもんじゃありません。


少しでも可能性があるなら・・・。


車のドアを開けながら、タバコに火を付けました。
夜空を見上げると今にも降り注ぐような星空が
一面に見えます。
白い息が雲のように星空を覆い、
そしてまた星くずが現れます。


・・・・。


年の暮れの星空はまるでイルミネーションのように
チカチカと輝いて見えます。
ただ冷たさだけを感じさせる輝きです。


・・・・

もう一度いってみよう。


ドアを閉めたその手でもう一度ドアを開けました。
恐る恐る家主の会社に入って行きました。


社長!もう一度お願いします。
私が責任を負います。


社長はしばらく黙ったまま、
新聞を少し下げ顔を覘かせながら


来ると思った。
君がそこまで言うんやったらワシはかまわんよ。


新聞を見ながら、決してこちらを見ようとしません。
でも、新聞の向こうで微笑みながら言っているのは、
はっきりわかります。


ありかとうございます!


契約書もお金の件も全部君に任せるよ。
来年持ってきてくれ。後は頼むで。


わかりました!


あっ そや!~、来年もよろしくね。


はい! こちらこそ


私は何度も何度もお辞儀をしました。
出てすぐに自分の会社に電話をしました。
もうすでに8時半になろうとしています。


もしもし、さっきの客はまだいるか?


はい、居ますよ。 どうでした? 」


OKをもらったよ!


よかった!。みんな残ってますよ。
早く帰って来てください。忘年会行きましょう!


みんな残ってくれていました。後で聞いた話ですが、
他の営業マンが二人の子供に暖かい缶コーヒーや
お菓子を買ってあげてたようです。


会社に帰って事情を話しました。
母親は目を潤ませながら何度も頭を下げていました。
だんだん場慣れてきたのか、下の男の子はお店の中を
走り回っています。
とりあえず契約書の記名と決済を済まし、
鍵を渡しました。


一通り書類を交わした後、
アパートまでそのまま送って行きました。
アパートの前まで来たとき、ふと風呂のことを
思い出しました。


しまったっ!


もうこんな時間では、
大阪ガスに連絡しても開栓に着てくれません。


すいません。今日はお風呂に入れません。


いいですよ。住むところがあるだけで充分です。


冷たい部屋の隅にうずくまるように座っている
二人の子供を横目に、
何気なしに流しのガスコックを回しました。


<シュー!>


あっ! 出る!


出ました。ガスが出ました。
実は家主が風呂の調整点検で
ガスを開栓していたのです。
感動です。
私は体の力が抜けていくのが感じました。


お風呂に入れるの?


男の子が無邪気に母親に問いかけます。


うん!入れるよ!


思わず私が返事をしてしまい、
その子はニッコリと微笑みました。


風呂は旧式のバランス釜のため浴槽に水を貯め、
釜のコックをひねりました。
ゴー、ゴーと湯を沸かす音が響き渡ります。
二人の子供は本当に嬉しそうです。
母親も涙目で喜んでいます。


このあと、きっと親子三人で
暖かいお風呂に入ることでしょう。


人にはそれぞれの家族があり、
それぞれの事情を抱えています。
その家族の抱えた事情は詳しくは聞きませんでしたが、
それを聞いても私たちには解決できません。


だた、できることはお部屋探しを通じて
お客さんの要望にできる限り応えるだけです。


あまりお客様にのめり込んでしまって、
本来のあるべき業務を忘れてしまう
そんな営業マンがいるのも事実です。
もちろん、我々は営業部隊であるがゆえ
追求するものは営業数字であるのは
言うまでもありません。


ただ、情熱をもった仕事をしたいと思うだけです。
その後、私たちは今年最後の忘年会へと、
夜のミナミの街に消えて行きました。


いつになく、吐く息が白く、そして熱く感じる夜でした。





ようこそ 右矢印 ホームメイトFC難波西店へ ラブラブ



次回からの営業マン奮戦記 は 「保証人 」 という重ための物語ですあせる
                


【本編はすべてフィクションであり、登場する人物もすべて架空のものです】