ジェット天秤に関する個人的思い入れです。
ちょっと長いけど、どうかお付き合いください。
ジェット天秤。
投げ釣り経験者なら、必ず一度は使ったことがあると思います。
初めての海釣りが、ジェット天秤に市販の投げ釣り仕掛けだった人も多いんじゃないでしょうか。
僕も例に漏れず、初めてはジェット天秤に市販のケン付き流線3本針。エサは青イソメ。
いかにも初心者の定番って感じだけど、これでもキス、メゴチ、チャリコ、セイゴ、チヌ、結構いろいろ釣れたし十分楽しかった。
サビキ釣りもススメられたけど、足元に落とすだけの釣り方は退屈に感じたし、遠投サビキは仕掛けの仕組みがよく分からず。
撒き餌するフカセ釣りはエサ代が高いし、子どもが小遣いで出来る釣りじゃない。
他にもいろんな釣りが有るけど、ジェット天秤に市販の仕掛けって本当に簡単で、海釣り初心者が始めるにはもってこいです。
ジェット天秤が釣り人口の裾野を広げた、と言っても過言じゃない気がします。
そんなジェット天秤、富士工業が発売したのは1966年のこと。
なんと57年前!超ロングセラー!
写真は富士工業のホームページより。
ジェット天秤って初心者向けの投げ釣りオモリ程度に考えてましたが、よく考えるととんでもない発明品。
一体誰が発明したのか?
開発の裏話や開発者の苦労が知りたくなって、富士工業さんに問い合わせてみました。
ところが、会社にも資料が残って無いのか、それとも社外秘にしたいのか、事情は分かりませんが、もらえたのは当時の広告資料のみ。
ジェット天秤開発秘話、誰か情報有ったら教えてください。
それともう一つ気になるのが、類似品がとてつもなく多いこと。
代表的なのは第一精工のキング天秤。
第一精工が釣具製造を始めたのが1967年ですから、間違いなくジェット天秤が先。
1977年にはダイワもサーフテンビン発売。
PAT.Pってなってますが、調べた限り特許情報は出てきませんでした。
(もしも間違っていたらごめんなさい)
申請したものの特許は取れず、といったところでしょうか。
他にも今ではプロマリンのソニック天秤も有るし、
僕が知らないだけで、他にも有るかも知れません。
だけど、こんなに類似品が多くていいのかなぁ?って思い、富士工業さんが何か対策しなかったのか、いろいろ調べてみたらやっぱり有りました。
平成9年から平成12年にかけて、富士工業さんはジェット天秤の商品登録出願をしたけど、結局通らなかったみたいです。
詳しく知りたい方は、「平成13年第48号審決取消請求事件」で検索してみてください。
富士工業さん、ジェット天秤の開発に携わった方、なんだか気の毒に感じます。
これだけの物を発明したんだから、開発者にはもっと敬意が払われてもいいはずなんですけどね。
それは置いといて、裁判所の資料をみてビックリしたのが、ジェット天秤の販売個数。
なんと。
1976年から2000年までの販売個数。
52,573,339個。
え???
年平均200万個。
は???
なんですかそのとんでもない数字は?
このデータが出てから23年も経つし、累計個数はもっととんでもないことになってそうです。
57年にわたるロングセラー、年平均200万個、累計はいつの日にか1億個、釣り人口の裾野を広げ続けるジェット天秤。
「初心者向けの投げ釣りオモリ」なんて軽く考えちゃダメですよ。
間違いなく、もの凄い発明品です。
富士工業さん、商品登録出願がダメならギネスブックに申請したらいかがでしょうか。
けっこうマジで。