映画を観て、とても衝撃を受け
原作も読んでみたい!と
すぐこの本を買いました

この本は、高山真さんという
(元浅田マコト)
エッセイストの自叙伝的小説です

やはり本の方が、
私には向いています
映画より、より痛いほど切なく、
読み終わって、しばらく呆然
そしてまた最初から再読、
そしてまた泣く、を繰り返してしまいました💦

もちろん、主人公の浩輔は、鈴木亮平さんが
龍太には、宮沢氷魚さんが浮かぶことで、
よりお話がリアルに入ってくる、
ということもありますが、

映画では、
冒頭部分、やたら性的な場面が多くて、
これってAV?、と思うほどで💦
かなり辟易したのですが

でも、映画を、2回、3回と🤣
繰り返して観るうちに(本と同じく何度も繰り返して
観てしまいます)
やっぱりこの場面があるからこそ
後半のピュアさ?が際立つのかな
とも思うようになりました

本を読んでみると
映画ではよく分からなかった背景や、
あまりにも速すぎるような展開も
3年の時がたっているのだ、
ということなどで、
納得できることも多くて
そしてより深く感動したのです
鈴木亮平さんの凄さも分かりました!
演技力!

主人公の浩輔は、32歳
ファッション雑誌の編集者です
田舎の町で、自分がゲイであることで、
虐められ、
それを恥じて隠して育った浩輔は、
高一の時に読んだ三島由紀夫の
「沈める滝」の虜になり、
「大都会は大森林より身を隠すのが容易い」
という一文で、
とにかく大都会に出る、それだけを考えて、
高校までを過ごします

そして
東京に出て初めて、
ゲイであることなど、ただの洋服の趣味の
違いほどの気やすさで受け止められる
ことを経験し
自分を隠すことより、晒すことの方に
シフトチェンジするのです

転勤がなく給料が良い、という理由で
出版社に就職して、
社会的な地位を得ると、
ブランドの服を着て
夜はゲイ仲間と呑み歩き、
だけどそれが、
「憎いほど嫌い」な故郷への復讐を
している、という意識もあります

年に一度
母親の命日に故郷に帰るときは
そのためだけに
わざわざ高い服を買う
ブランドのロゴやプレートが入った
アイテムばかりを身につけて、
東京では、ネタにされそうなそんな格好も、

田舎ではそれが「鎧」になる
「復讐」になる

映画の、この時の浩輔、鈴木亮平さん
とてもカッコいいです

ヴィトンのバッグとスカーフ
グッチのジャケット
白いパンツ
サングラス🕶️

どちらの組の?という感じなんだけど

本当に鎧を着たように、
背をまっすぐ伸ばし、大股で、
田舎の町を歩く鈴木亮平さん、浩輔は
とてもステキです

14歳の時に母を亡くし、
母のために何も出来なかったことを
ずっと後悔している浩輔

パーソナルトレーナーとして現れた
龍太が、
病弱な母親のために、高校を中退して
働いていると知って、
龍太への思いを深めていくのだけど

何よりのこの本の題名の
「エゴイスト」

浩輔は、自分の龍太への
この思いや行動は、愛などではなく、
自分のエゴイズムだ、と
思っているということ、

龍太をお金で買っていることも
龍太の母親にお土産を持たせたりするのも
自分が母親にしたかったことを、
龍太の母親にさせてもらっている
全て、自分の満足のために、
していることだ、と思っている

こんなピュアな浩輔の龍太への思いが
エゴイズムなのだと言うなら、
どんな恋愛もエゴイズムの塊りだわ、
と思うけど、

普通の?異性愛者の恋なら、
愛だ、と感情の処理も簡単なのに

「ごめんなさい」
という言葉しか出てこない、なんて

本当に切なくて、
とても綺麗なお話です


私は、LGBTである人に、何の偏見も
持っていないつもりだったのですが
その人たちの本当の思いは、
知らなかったんですね



この「エゴイスト」のように
ロックオンされて?
そこに立ち止まってしまうような
本や映画には、時々出会います

その人の作品が他に沢山あるなら
それを次々と読んでいくのですが、
高山真さんは、亡くなっていました
「エゴイスト」が映画化されること、
鈴木亮平さんが自分を演じること、は
知っていて、
「死ねない理由ができた」と言っていた
とのことですが、映画の公開には
間に合わなかったようです
小説は、この一冊だけのようです

文庫になったこの本のあとがきを
鈴木亮平さんが書かれていますが、
その最後の文

「中学生だった浩輔のように
自らのセクシャリティを理由に
命を断つ選択を考えてしまうような
少年少女が、この国から、ひとりも
いなくなることを私は願います。
そのためには社会全体の意識の変革、
制度の改革が必要だと感じています。
その変革への一助に、この本が、
この映画が、なってくれることを
強く願っています。」