「死ぬ時、生まれた日」?
窪美澄さん、7冊目くらいです。
主人公は、15歳のみかげ。
父親は早く亡くなり、母親も10歳の時に、
恋人と出ていき、帰って来ない。
それからは、5歳年上の姉、七海が、
夜のバイトなどで、2人の生活を支えている。
みかげは15歳だけれど、
まるで、この本の表紙の絵の
頼りない幼女のような姿そのままで、
考え方も、心も、とても無垢で幼い。
それはたぶん、10歳の時から、
姉と2人だけの世界で閉じこもって
生きてきたから、なのかもしれないけど。
それは、だけど、
たった5歳年上なだけの姉七海が、
その若さのゆえに、より強い思い込みで、
いろんな苦労を全て背負い、盾になり、
妹のみかげを世間から守ってきたからだ、
とも思えて、まだ20歳の姉の七海が
つくづく可哀想にも思えます。
都心の古ぼけた団地
時代の吹き溜まりのような場所で、
姉とふたり、
生きている実感もなく、
未来を思うこともなく、
ただひっそりと暮らしていたみかげ。
中学時代にひどいいじめにあって、
高校は、夜間高校に通い始め、
パン工場でバイトもするようになるのだけど、
身体も弱く、勉強もわからず、
仕事も単純な作業しかできない自分に
深いコンプレックスを持っている。
だけどそんなみかげに
夜間高校で、人生で初めて2人の友達ができる。
韓国籍のふーちゃんと、
吃音障害のある倉梯君。
ふーちゃんは、とても元気で物知りで、
みかげにはとてもできないコンビニのバイトを
しているし、倉梯君はとても頭がよくて、
みかげに勉強を教えてくれる。
それから突然現れた、
団地警備員だというおじいさん、
ぜんじろうさんに、みかげも無理矢理、
警備員の仕事をさせられるようになって…。
ぜんじろうさんと、ふたりで、団地の
独居老人の見回りをするようになる。
古ぼけた団地。
貧困、孤独死、ヤングケアラー、差別、
いじめ、ゴミ屋敷、ネグレクト、など
底辺の吹き溜まり、
もうここしか行くところのない人たち。
結婚し、ここで家庭を持ち、子供を育て、
そしてひとりになった老人たち。
みかげもまた、この団地で生まれ、育ち、
ここから出るどころか、
外に行く所があるなどと考えたことも
なかったけど、
ぜんじろうさんと、お年寄りを、
尋ねていくうちに、自分達姉妹が
周りの大人達からずっと見守られていた、
という過去を初めて知り、
そして、ぜんじろうさんが
亡くなる所を見ることで、
人は死ぬのだということを、
実感として知ります。
そして、2人の友達と触れ合ううちに、
自分にも未来があるのだ、と分かり、
将来のことを考えて、それが楽しみ、という
生まれて初めての思いも、
持てるようになるのです。
生きているのか、死んでいるのか、も
よく分かってないような、
みかげのそれまでの人生が、
ぜんじろうさんや、
ふーちゃんや倉梯君に出会うことで、
初めて少しづつ色がついていき、
脈をうち始め、
やっと自分で考えることができ始め、
自分の気持ちを自分の言葉で、
話すことができるようになります。
団地が取り壊されることになり、
老人たちも、そして、
みかげたち姉妹も、それぞれが、
新しい場所に移っていくことになります。
未来に向かって旅立つような、
そんな明るいお話の終わりでした。
私の住む、この団地も、やはり、
とても古くて、自治会では、毎年、
建て替えや、改修工事の話が、出ています。
だけど、私は、ここが大好きです。
ここしか行く所がない、というような
後ろ向きの気分からではなく、
ここがいい!という肯定の気分です✌️
離婚して、ここに越してきた時、
それまでの家よりは、当然、
狭くて古いけど、
南向きのベランダのいっぱいの陽射で、
やっと明るい場所に住める!
深呼吸できる気がする!
とものすごく嬉しかったことを、
今も覚えています。
できればずっとここで終わるまでいたい、と
思うけど、
この団地の寿命の方が、先に尽きるかな?
この本では、同じような 古い団地が、
スラム街のようなイメージで書かれていて、
それは、何となく残念🫤
そんな所ばかりではないのです😄
確かに、同じように、
お年寄りの一人暮らしが増えていて、
それが問題にもなっているのですが🤔
(私もいずれそうなるけど💦)
今年初めて育てた朝顔は、
まだまだ蕾をつけ、花を咲かせています。
朝顔の足元には、秋の花の、
りんどうや桔梗も咲いているけど、
なかなか朝顔を片付けるとはいきません。
6月の初めに種を蒔いてから、
もう9月の終わり😀
ホントに楽しかったなぁ、と。
つるが伸びていくのを、支えに巻いたり、
ヒモで固定したり、毎朝、今日は、どこに、
何色が咲いたかな、とベランダを見るのが
とても楽しみでした。
この間、来年は曽野綾子さんの本の題名にもなった
「天上の青」という品種を植えてみよう、
などと思っている自分に気づき、
来年のこと、楽しみにするなんて🤪
と、驚きました。
たぶん60歳になった頃から、
癌を患ったということもあって、
このブログのタイトルどおり、
今がいちばん!と思って、過去も未来も
考えない!と思ってきたのですが、
朝顔が、来年🥰を思わせてくれました!
それはやっぱりとても明るい希望です。
大げさだけど🤪
まるで、この本の、初めて将来を楽しみ、と
思えた、みかげみたいです。
違うか😅