図書館に予約していた本。
桐野夏生さんのものは、全部読みたい!
と思っています。
つくづく、いろんな種類のお話しが、
書ける人なんだなぁ、と思います。
これは、バブル期の証券会社を背景にした、
ふたりの女子社員と同期入社の男性社員の
お話しです。
私も、新卒としては、証券会社に入社して
4年間だけですが、働いていました。
株式は、男性社員だけが扱っていて、
女性社員は、その補助的存在。
店頭でお客様の相手をしていましたが、
国債や社債などの債権は、セールスも
担当していました。
一流の会社でもあり、
お給料も群を抜いて良くて、
迷わず入社を決めたのですが、
その仕事の胡散臭さ?が、
年々分かるようになると、
どうにもその仕事が辛くなって
お見合いで結婚に逃げてしまいました💦
このお話しの5年くらい前に
やめたことになり、
当時は、周りからも自分でも、もう少しいれば、
バブルで随分いい思いができたのに😝と
思ったりしたものですが、
この本を最後まで読むと、
やはりあの時辞めて良かった、などと
現金にも思ってしまいました🤣
バブルが始まったばかりの
1986年、同期で、福岡支店に入社した
短大卒の佳那と高卒の水矢子。
そして、福岡支店に配属になった、
男性社員の望月。
外見も学歴もパッとしない望月が、
その調子の良さ、口のうまさだけで、
大きな顧客を掴み、
同じような野心を持っている佳那と
手を組んで、
あっという間にトップセールスに
のし上がっていくところや、
実際にもあったNTT未公開株の売買など、
雰囲気が分かるだけに、
ちょっとワクワクもして、上巻は、
嫌〜な感じを思い出しながらも
楽しく読みました。
高卒の水矢子は、
ただ母子家庭の貧しさから逃れたいだけ、
大学への進学費用を貯めるだけと
2人とは違うスタンスで、
割り切って働いていますが、
華やかな佳那には、憧れを持っています。
下巻に入ると、
望月と佳那は結婚して、望月の転勤で、
水矢子は会社を辞め、大学への進学で
3人とも望みだった東京へ出て行きます。
もうそのあたりから、嫌な予感満載で、
読み進むことを躊躇するほど😰
最悪の結末に向かってお話しは進みます。
1986年から、1991年までの
たった5年間。
バブルの波に乗り、
その中でさんざん泳いだ望月と佳那と、
その波には乗り切れず傍観していた水矢子。
その対比も面白いですが、
それなら水矢子には幸せな結末が待っていて
欲しかったけど…😞
そういえば、
証券会社の店頭で働いていた時、
(バブル期のだいぶん前です)
私の前に、1億の現金を持ったお客様が来店し、
これで割引債を買いたい、と言われたことを
思い出しました。
心の中で、「やったー❗️」と喝采をあげましたが、
別室で、その1億を数えた後で、
支店長から、お断りするように、とのお達しで
がっかり😞
まぁ、マトモなお金ではないことは、
あきらかですけどね💦
確かにちょっと怖い仕事ではありました😂
私は、このお話しの頃は、結婚し、
ただ子育てに追われて、
バブルも、その消滅も、全く無関係で
ほとんど関心もなく過ごしていましたが、
あのまま証券会社で働いていたら、
バブルが弾けた後の雰囲気は、
どうだったのか、と考えるだけで、
ぞくっとするようです。
いろんな世界を書く桐野夏生さんですが、
私が好きなものは、
女性が主人公のもの(大抵そうですね)
波乱万丈ありながら、
最後結末では、
例え破れかぶれではあっても、
主人公が何かを振り切ったように
解放され、弾けるような感覚。
その胸がすくような、爽快さが
とても好きなのです。
この本は、残念ながらそういう結末では
なかったのですが、
上下巻、700ページほど、
一気に読んでしまいました。
やはり怖いもの見たさ😱面白かった!
私の夏風邪?から、3週間。
今、職場は、何故かコロナ大流行。
5類になったので、もう本人だけの問題
になりましたが、おかげで大忙し。
せっかくの、お休みが、次々潰れて行きます😰
皆さんもどうぞお気をつけ下さい。