一穂ミチさんの「スモールワールズ」は

もうずっと前に図書館に予約して

待っているのですが、まだまだ

届きそうにありません。


この「パラソルでパラシュート」

一冊だけが、図書館の本棚にありました!


一穂ミチさん、3冊目です。


最初に読んだ「砂嵐と星屑」と似ていて、

大阪弁と、知っている場所、お店、駅、

のおかげで、ハイハイ!と思いながら、

読み進み、所々、

そのリアルさに吹き出したりしながら、

軽く楽しく読めたのですが、

今の時代の女性の生き辛さのようなものも

初めて知ることができました。


主人公の美雨は、29歳。

一流会社の受付で契約社員として

働いている。

29歳の誕生日の夜、美雨は、

大阪城のコンサートホールで

売れない芸人の亨と出会い、

やがて古い一軒家で、亨や芸人たちと、

共同生活をすることになる。


できることも、やりたいことも、

何もなかった美雨。


今の会社の受付嬢は、30歳までで退職

ということになっている。

後1年。

その後どうするかは、

まだ決められていない。


美雨は昔から

母親世代のOLがいいな、と思ってきた。

お茶を汲んで、コピーをとって、

会議室を整えて、資料をホッチキスで留めて

そんな仕事。

そんな仕事をして、

好きなスープはるさめを、買える程度の

収入があればいい、と思っている。


だけど現代は、

なまじ、「女性が輝く」だの、

「夢を追うのに年齢は関係ない」とかの

キャッチフレーズに振り回されていて

美雨のような思いは、

向上心のない負け組とされている。

そういう意欲のない人間の

生きて行くポジションがないことが

辛いと思っていた。


初めて、そうなのか!と

思い至りました。

私はまさに美雨の母親世代のOLで、

男女雇用均等法などまだなかったから、

女性は、一般職としての採用しか

なかったから、と

そういう時代だったから、

仕方なかったんだ、と言ってきたけれど、

それを言い訳にできる時代は、

ある意味、楽だったのかもしれません。


売れない芸人たちとの生活で、

それまでの常識は、全て覆り、

30歳になった美雨は、

まだ仕事も決まってないけど、

だけど、笑いながら、何でもなく、

ただ生きてやる、と思うようになります🤨


中に出てくる

亨と、相方の弓彦との漫才も、

なかなか面白いし、

芸人たちに対する温かさが、

すごく感じられて

一穂ミチさんは、きっとお笑いが

大好きなんだろうな、と思います😊


美雨の会社の先輩の

アニメオタクの浅田さんの

「現実逃避すんな、って言うけど、

現実見てるからこそ、非現実を愛してんのよ。

逃してもくれへんくせに。」

という言葉や、

「魔法はかけられるものじゃなくて、

自分でかかるもの、」

という言葉も、とても素敵😄


笑いながら軽く読み終わったけど

何かを深く納得したような?

そんな清々しい感じの読後感でした。


そして、この本を読んでつくづく思ったのは、

私はもう頭の中の思考も、

大阪弁になってるわ!

ということ。

だから亨や芸人さんたちや浅田さんの

言うことが、ニュアンスも含めて、

よくわかるので、とても読みやすいんだな、

と感じます😝

この間の同窓会で、

故郷の方言で喋ろうとすると、

頭の中で、1回、翻訳してたもんね😅



是枝監督の「怪物」を観ようか、と

仕事帰り、

映画館の前まで行ったけど、

ちょっと時間が合わなかったし、

結局、映画館前の庭の紫陽花を見て、

それで帰ってきました💦